また
間が開いてしまいましたが……
再開します
途中からなので
良かったら
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
その石段、通るべからず
「じゃけぇ、三人目には驚いたよの。わしらはてっきり、上のフジヨシさんが、落ちたと思うちょったからの」
稔は、いかにも驚いたとばかりに、薄い眉を吊り上げる。
どこか含みのある言い方に、矢儀はざらりとした嫌悪を感じた。と、同時に、稔の口から出た個人名――”フジヨシさん”が気になる。
いきなりの名指し。何か、根拠があるのか。
美紀が、難しい顔で相槌を打つ。
「一応、上のミコさんの証言じゃあ、事故があった時、フジヨシさんは町に出ちょったらしいけぇねぇ」
「一応、アリバイはあったらしいがの」
「アリバイ?」と、矢儀は思わず、鸚鵡返しに問うた。
途端に、話は途切れる。
「……四年前の転落は、事故だったんですよね?」
矢儀は、双方に視線を向けた。
美紀が渋々口を開く。
「まぁ、警察が事故で片付けたんじゃから、たぶん事故じゃったんよ。ほれに、噂じゃあ、亡くなった三人目の男性は、身体の具合が悪かったらしいけぇ。じゃけぇ、石段から落ちたんじゃろうって――」
「上に行ったんが、運のつきじゃったんじゃろ」
稔は片頬を吊り上げ、歪に笑った。
白けた沈黙が流れる。
訊ねたいことは山ほどあった。
矢儀はできるだけ遠慮気味な口調で、しかし、ズバリと尋ねた。
「”上”とは……もしかして、石段の上ですか?」
矢儀の推測は、当たりらしい。
「ま、まぁ、昔の話よね」と、美紀はいきなり早口になる。
「今はもう、上には誰も住んじょってないけぇ」
相当に、動揺しているのか。首に掛けたタオルで、美紀はやたらと顔周りを拭く。
そもそもの言い出しっぺである稔は、我関せずとばかりに、あらぬ方向を向いてしまった。
矢儀は、狼狽える二人をぼんやりと眺めながら、考えを巡らす。