81.大人のための少女小説『ケ・ハレ 〜仁保中郷土史研究部は今日も活動日〜』第2章 上の秘密㊾
初めての方はこちらもどうぞ→★途中からなので下記☟”これまで”をお読み頂けたら嬉しいですはじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説ケ・ハレあらすじまずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです①ケ・ハレ 序章(神の放物線)学校内転落事故のゆくえ②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)その石段、通るべからず③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)石段の上の秘密☟前回文末部分「話を整理(せいり)してみようか」 枝を取りに行きながら、矢儀は二人に告(つ)げる。ついでに、拳(こぶし)半分(はんぶん)くらいの石も、片手(かたて)で持てるだけ持って、再び広場(ひろば)の中央(ちゅうおう)に戻(もど)った。 石を足元(あしもと)に置(お)き、片足(かたあし)で地面(じめん)を均(なら)した後、枝で長さ一メートルくらいの横(よこ)一本(いっぽん)線(せん)を引く。☟本日更新はここから 「まず、山神(やまがみ)信仰(しんこう)が未遠(みとお)に根付(ねづ)いていた時期(じき)」 矢(や)儀(ぎ)は、ひとつ石を取り上(あ)げ、織田村(おだむら)と兼行(かねゆき)に向き合う。二人は自然(しぜん)と、近寄(ちかよ)ってきた。「池田(いけだ)さんの話だと、池田さんの曾祖母(ひぃばあ)ちゃんも知らない大昔(おおむかし)らしい。池田さんを八十代前半から半ばと想定(そうてい)すると、池田さんの曾祖母ちゃんは、おおよそ明治(めいじ)始(はじ)めの生(う)まれと思われる」 そこで矢儀は、石を一つ手に取り、横一(よこいっ)本線(ぽんせん)の右(みぎ)寄(よ)りの上(うえ)に置(お)いた。続(つづ)けて、ズボンのポケットから手帳(てちょう)を出(だ)して、確認(かくにん)しながら話を続ける。「となると、山神信仰が未遠に根付いていた時期は、少なくとも明治より前。さらに、もっと絞(しぼ)るなら、江戸(えど)中期(ちゅうき)より前であることも、おそらく間違(まちが)いないだろう」 矢儀は、また石を一つ手に取り、先ほど置いた石よりさらに右側(みぎがわ)に置く。「ああ、なるほどの」 兼行が納得(なっとく)したように頷(うなず)く。「なんで、“なるほど”なんです?」 織田村がぽかんとした顔で訊(き)いてきた。〜続く〜