オレがマザコンかどうかより

とにかく母親との絆について


松本人志




つづき




小学校三年生といっても、体はそこそこ大きい。その子供を乳母車に乗せて押している母親は、道行く人には、かなりのインパクトだっただろう。ハタから見れば、ちょっとした乞食親子に映っただろう。うちのババァときたら、そんなことはいっさいおかまいなし、淡々とオンボロ乳母車を押し続けていた。まさに、 "母は強し"というところだろう。






































































オレとババァの間には、言葉にできないのようなものがあるように思える。普段、テレビで母親のことを口にするのもそのせいなのかもしれない。



きっと、それはマザコンなどという次元のものではないだろう。オレは、ただ単純に、ババァが今よりももっとボロボロになったとき、今度はオレが代わりに、その乳母車を押してやろうと思っているだけである。





おわり真顔





「松本」の「遺書」
P177-179

ISBN978-4-02-261191-8
C0195
¥800E

朝日新聞出版