毎日暑いですね。
私の仕事場は公園の近くなので
せみの声がたくさんして、ますます暑さが増してくる感じです。
東北出身の母は生前、せみの声を聞くと「涼しくなる」と言ってましたが、私にはその気持ちは未だに理解できません。
今日はカウンセリングのお話をしたいと思います。
カウンセリングは、まだまだ日本では
「気軽に受けられない。」
「こんな簡単な悩みで行くのは、抵抗がある。」
などと言う人も少なくありません。
そのために、私も看板も出さず、
普通のマンションの１室を借りているのですが、
そのせいか、軽い？というより
『軽そうに見える』
相談で来る方も結構いらっしゃいます。
会社の悩み
恋人の悩み
家族が仲が良いために起こる問題
本人の浮気の悩み
など、
その方たちは、「こんな悩みで来てすみません」と言います。
でも、ずっと話を聞いていくと
話している本人たちも気付かない
深い悩みが見えてきます。
人間て本当に複雑で、
聞きながら（顔には出しませんが）
こんなところから深い悩みが続いていたと
カウンセリングしている私が
驚くことも結構あるのです。
恋人のことで悩んで来た人が、
実は会社の人間関係が深刻だったり
あるとき、浮気した女性が、
「自分の気持ちがコントロールできない」
と相談に見えました。
一見 彼女が一方的に悪く見えていましたが、
ただの浮気と片付けられない傷が見えてきました。
実は彼女、結婚前
結婚したかった別の人と
ご主人に無理やり別れさせられていました。
親戚も親もご主人の味方になり、
周りがご主人のことを強く勧めた事もあり、
自分の気持ちを無理やり納得させて結婚したそうです。
でも、数年後
ご主人が彼女を裏切りました。
彼女がそれを攻めたとき、その際に
「別れたければ別れてやる。」
と言った言葉が彼女を傷つけたのです。
「子供が出来てから別れる」
と言われても遅すぎます。
～それなら結婚前、私が他に好きな人がいたときに
私の事をあきらめて欲しかった～
そう思ったそうです。
それから二十年、
彼女は妻として、母として静かに暮らしてきました。
子供の手が離れた最近になって
結婚できなかったその人に似ている人に出会ったとき、
押し込められた彼女の心が動きだしてしまったのです。
「今は幸せと感じているのに、
ばれれば何もかも失うと分かっているのに
自分ではコントロールできない。」
無意識のうちに、傷ついた彼女が、
ご主人に復讐してしまいました。
20年たった今も、心の底では
彼女はご主人を許していなかったのです。
カウンセリングにいらっしゃる多くの方は、
本当はどうすることが一番いいことなのか
分かっていらっしゃることも多いのです。
でも、頭では分かっていても心の部分がついていけない。
心の傷の根本は、
無意識に押さえ込まれたもので
自分でコントロールできる領域ではありません。
そのためにカウンセリングが必要になるのです。
ただ、１度や2度で
ずっと押し込められていた傷が治って
すぐに改善できるものではありません。
長年かかっているのですから、
自分自身を納得させ、前にすすむには
やはりそれなりに
時間もかかってしまうのです。
でも、押し込められた気持ちも、
吐き出していくうちに
徐々に変化していきます。
カウンセラーが出来ることは
ほんの少しのお手伝い
・・・限られています。
でも、悩みがあるのは一生懸命生きている証拠でもあります。
自分で前にすすみたいと思う限り、
きっと、出口は見つかると
そう信じて 欲しい・・
来談者中心療法を提唱したカールロジャースは、
『良くなる力が人間には内在している』といいました。
私もそう信じています。
カウンセリングを受けに来たクライアントの中には
メールで近況を報告してくれる人もいます。
そんなメールを見ることが、また励みになって
「いい仕事だな～」と
思う、今日この頃です。