以前、癌研で膝にできた肉腫を手術して以来、年1回のレントゲンとCT検査が恒例となっていました。


先週、検査が終わり、先生が、「来年で15年になるね。15年たてば、もう再発の心配はないだろうから、来年の検査で、もう終わりにできるよ」と言いました。


15年、大塚にあった癌研も有明に引っ越し、幼稚園だった2人の子供も、息子17歳と娘は数日前、誕生日を迎えて20歳になりました。



ペットもいたし、子供のことでもいろいろあったので、「再発するのでは?」という不安を持つ余裕もないほどの14年でした。



病気で、病院を紹介されて検査を受け、

結果を待っているとき、のんきに

「疲れがたまったんだ。帰ったら健康ランドでも行こうかな?」

などと考えていた私に、

「すぐ入院のための検査をして、手続きとって」

と言う先生の言葉が・・・


心の準備もできないままに、

ベットが空くのを待ち、入院。


入院の日は娘の誕生日、

2人をいつも通り送り出してから入院するはずが、

下の子が熱を出してしまいました。


「家を出るとき、泣いてすがりつかれたら、どうしよう」

との、私の心配をよそに、


ディズニーのビデオを見る息子に、

「行ってくるね」と声をかけると、

目にいっぱいの涙をためながら、

私を見ることもなく、黙ってうなずいたのでした。


いつもは、「ママ、ママ」とべたべたする子が・・・


まだ3歳になって間もない、小さい子でも、

それなりに、理解しているのだと知った瞬間です。

今でもその時の顔が忘れられません。



私が、病気に気丈に出来たのには、わけがあります。


肉腫は、若い人も多くかかるらしく、

子供も珍しくありません。


私が、入院するための検査を待っていると、

上の子と同じくらいの男の子が、私と一緒に入院検査していたのです。


検査が終わり、診察室の前で待っていると、その子と母親が私の前に座りました。


母親の様子がおかしいことに気づいたその子は、


「お母さん、どうしたの?」と訪ねます。

「さっきね、先生から信じられないことを言われたの」


「なんて言われたの?」と聞いた男の子に、お母さんは

「お母さんが、美人だって」と明るく言ったのです。


それを聴いた瞬間、

今まで出なかった涙があふれ、

「私で良かった」と思い、涙がこぼれました。


「子供が癌になることを思えば、癌のひとつやふたつ、どうってことはない」と・・・




あれから、あっという間の14年、

1年に1度の検査に、片道1時間、

待たされるのも面倒でしたが、

毎年毎年私にとって、

その日が初心に返る日でもあり、

身を引き締める良い時間と思っていましたが、

なんだか来年で行かないと思うと、

うれしいような、寂しいような・・・



もう病院には、行かなくていい様にと願いつつ、本の執筆に勤しんで?います。




子供たちも、私が、思ったような生き方は選ばず、思うようには育たなかったけど、(子供にも思ったような母ではないと、言われそうですが)

まあ、素直?に育ち、恵まれたと思いつつ、毎日を感謝して、生きています。


辛かったときは、永遠に続くように思えたことも(当たり前ですが)、過去になるんですねキラキラ