陽一:つくし、支度は終わったようだな。今日は牧野ではなく
   八乙女の令嬢としての出席となる

 部屋まで陽一が迎えに来て告げた

 つくしは陽一と一緒にパーティー会場へと足を踏み入れた

 「何処の令嬢だ?」「綺麗な人」等、所々で囁く声がする


楓:これは八乙女会長、ご無沙汰しております。

陽一:楓さん、お招きに預かり恐縮です。今日は孫娘を紹介しようと思いまして
    連れてきてるんですよ。

 楓は、孫娘の売り込みに来たのかと思い、うっすらと笑みを浮かべた

 八乙女財閥と言えば、喉から手が出るほど欲しい繋がり、楓にとっては

 司の相手には申し分のない縁談である。

陽一:つくし!こっちに来なさい。紹介しましょう。
   これが孫娘のつくしです。

 つくしを見て、楓は目を見開き驚いた

陽一:驚きました?楓さん、あなたが溝鼠呼ばわりした娘が孫娘です。

つ:ご無沙汰しております。おばさま…道明寺と関わるつもりはありませんので
  ご安心ください…

 表情を変えずにつくしが挨拶をした

 楓は何も言えず…

楓:まだ、挨拶がありますので…

 とその場を去って行った

 
 入口からざわめきが起こり、秘書の西田とともに司が入ってきた

 次々に自分の娘を売り込もうと人だかりができる

ケン:つくしも行かなくていいの?

 振り向くと、ケンが立っていた

つ:何で私が行かなきゃいけないの?
  関係ないのに

ケン:あんなイケメンには興味はないってか?
   女遊び激しいって噂だしな

つ:本当そうだよ、あんたと同じだね

ケン:俺と一緒にするなよ。俺は運命の女を探してるんだから
   出会いを大切にしてるんだよ

 何時もの言い合いを始めた

 すると

司:おい、俺と一緒にするなって言ってたよな
  どういうことだよ!

 とさっきまで入口にいたはずの司がそばに来ていた

司:それにその女どっかで見たことあるぞ…
  確か類の女か?

つ:違いますよ、花沢類の女じゃないです。
  まだそんなこと言ってるの…

司:何!?
 
 と言ってつくしを殴ろうとしていた

 つくしは慌てて目を瞑った

 パシッ

ケン:おい、やめろよ。

つ:ケンありがとう。

F2(あきら):おい、司やめろよ!
        相手は女の人だぞ!しかもこんな綺麗な人に!
        って牧野じゃん
   
F2(類):今頃気づいたの?
      牧野久しぶりだね…


陽一:つくし、こんなところにいたのか。
   おや、そちらは今何しようとしていたのか?
   道明寺司君だよね?

司:はい、道明寺司と申します。
  すみませんがどちら様でしょうか?

陽一:アハハ、道明寺も困ったもんだな
   私は、八乙女財閥会長の八乙女陽一だ。
   よろしく。
 
 と言って名刺を交換した。

陽一:で、そこにいるつくしは牧野ではない。
   私の孫娘である、八乙女つくしだ
   今後一切、牧野とは言わないように。
   

F2(類・あきら):!!(嘘だろ!)

司:会長、申し訳ございませんでした
  もう二度としません。
  お許しください。

陽一:分かった、今回は許そう。
   今度同じことがあったら許さないからな
  
司:ありがとうございます

陽一;私は先に失礼するよ
   つくしは好きな時に帰りなさい

つ:…わかりました

ケン:俺も帰るよ
   マンションに帰るよ

つ:分かった

司:つくしさん…
  
つ:…はい
  
司:すみませんでした

つ:いいえ。
  じゃ、私は帰りますから

司:ちょっと待ってください

つ:はぁ、何ですか?

F2(あきら):おい、まだなんかあるのかよ…

司:お前が好きだ

F2:!!

つ:それで、何?
  付き合いましょうって?
 
司:あぁ、お前と付き合いたい。
  結婚前提で

F2:はぁ!?

つ:はぁ、私もう誰とも恋愛しないつもりだから
  もう道明寺とは関わりたくない。
  
司:もうって??

つ:分からないならいいよ
  友達ならいいよ…
  
ケン:おい、セフレにするのかよ
   俺だけじゃ不満かよ…

F2:!!

つ:ケンまだいたの?
  帰りなよ

ケン:はぁ、つくしが心配だったんだよ

つ:あ、そ
  セフレにはしないから安心して

つ:あと、いちいちびっくりしないでくれる?
  美作さん、花沢類。
  気が散る

F2(あきら):悪い…

ケン:じゃ、俺は帰るね

つ:という事だから道明寺さんとは付き合えない
  友達ならいいよ

司:友達から絶対に恋人になってやるからな

つ:好きにどうぞ
  記憶がないのにどうやって
  
司:おい、俺の記憶のことなんで知ってるんだよ

つ:ごめん、口が滑った
  気にしないで
  別に記憶なんて戻らなくてもね…

司:絶対に戻す!

つ:がんばれ!

つ:じゃ、私は帰るから
  またねー

F2(類):ねぇ、待ってよ!

つ:何?花沢類!

類:何で八乙女なのか説明してよ

つ:はぁ、分かったよ
  それじゃ、私の控室で説明するから
  ついてきて

類・あきら:分かった

 控室について経緯を類とあきらに話した

 そのころ司はつくしが類のことを“花沢類”と呼んだところで

 頭が痛くて倒れてしまった

 
 薄っすらと目を開けると、白い天井がぼんやりと見えた

あきら:司、大丈夫か?

司:あきら、類…思い出した…牧野のこと傷つけてしまった
  俺、とんでもないことしてしまった
  しかも、つくしが変わってた…

 後悔に苦し俯く司

あきら:記憶が無かったんだから…戻ってよかったな、司

類:でも許されないよ…牧野、かなり傷ついてたから
  やっと立ち直ったみたいだしね

あきら:類、今そんなに責めるなよ…司だって後悔してるじゃないか
    あの落ち込みようは尋常じゃないよな

司:あきら、類、こんなこと頼めた義理じゃないが
  牧野に会わせてくれ、今更遅いかもしれないが、謝りたいんだ

あきら:司に頭下げられるなんて、激レアだぜ。全く
    めったに見れないよな

類:ところで司、あの海って子どうした?まだ付き合ってるの?
  だとしたら、また牧野が悲しむ
  俺、嫌だからね。今度こそ司…許さないよ

 真剣な顔で類が言った

司:海?そんな女がウロウロしてたけど知るかよ
  こっちに来てから会ってないし、俺にとって牧野以外に大事な女はいないよ