NYの大学院でつくしは持ち前の明るさと、前向きな性格で多くの友人を作ることが出来た
八乙女財閥の令嬢という肩書をひけらかすこともなく、誰にでも平等に振舞っていた
自分では全く気付いてはいないが、アッパークラスのレディーとしての振舞いもあり
誰からも羨ましがられるような美しい女性になっていた
大学院を卒業したつくしを、陽一はイギリスに呼び戻そうとしたが、つくしの自分の力を
試したいという強い希望を渋々聞き入れた
心配な陽一は自分もNYに拠点を移してしまった
ヨーロッパでの経営権をつくしの父に任せて…
最終的判断は、もちろん陽一がすることとなるが…
父のサポートをするため、進は大学に通いながら経営に参加することとなった
陽一:つくし、お前の就職先は、八乙女財閥に決まった
自分の力を試したいとの希望だから、牧野つくしとして仕事するんだ
文句は言わせないからな
八乙女財閥会長の威厳のある決定事項には、従うしかない
まずは、営業部からの仕事をすることになった
つ:おじい様、会社にはマンションから通勤します。NYの自宅からでは
おじい様との関係が漏れてしまいます。
これだけは譲れません
陽一:つくしの要望はそれだけか?
そう言って、笑みを浮かべた
つ:はい、本当はマンションも変えたかったのですが
おじい様は許してくれないでしょうから…
諦めて入るが陽一の様子を窺いながらつくしは言った
陽一:そうだな…それ以上の我儘は許さん…
やっぱり…といった表情で陽一の言葉を聞き
来週の入社式に出席することを確認してつくしはマンションへ
戻った
入社当日、式も無事終了し、予定通り【営業部一課】に
配属となった
新入社員全員でいくつかのグループに分かれ会社内を見学し、
それぞれの部署では配属となったものが挨拶を行った
翌日から一か月間の新人研修が始まった
同じ【営業部一課】配属となったことから、辻井由利、佐藤奏
野山慎太郎と、つくしは仲良くなった
由利:牧野さん、つくしって呼んでもいい?
仲良くしましょう!
つ:じゃ、由利って呼ぶね!よろしく!
奏と慎太郎:俺たちのことも名前で呼んでくれよ。
なぁ つくし
つ:…いいよ(はぁ何で男たちに名前呼びされなきゃいけないんだろう)
みんなよろしくね
男たち:やった!
こちらこそよろしく!
奏と慎太郎は大喜びだ
研修も無事終了し、それぞれの配属先での仕事が始まった
日系企業であるため、従業員も日本人が多かった。
職場では、日本語が飛び交じり英語で話すものは少なかった
しかし、ここはNY。英語での引き取りとなる
由利:つくしは英語話せる?私は何とかなる程度だから心配…
つ:NYの大学出たから、大丈夫だよ。由利もそのうち慣れるって
分からないことは聞いてね。私で良かったら協力するよ!
由利:ありがとう!持つべきものはやっぱり友達よね。そういえば
NYの大学ってつくし…お嬢様なの??
つ:アハハ…そんなわけないじゃん、庶民よ、ド庶民
お嬢様なら苦労しないわよ…(はぁ嘘ついちゃった…)
焦りながら、誤魔化すことが苦手なつくしは冷や汗をかいた
課長:牧野さん、会長がお呼びです・入社早々何かしたのか?
課長が蒼い顔をして慌てて呼びに来た
課長:牧野さん、会長室まで案内するよ。一緒に誤ってあげようか?
入社早々部下の失敗を心配した課長に会長室まで案内された
コンコン♪
課長がノックをしてドアを開けた
課長:失礼いたします。営業部一課の牧野つくしを
連れてきました
陽一:ご苦労様、君は下がっていい…
課長が焦って、次の言葉を言おうとしたが、会長の
必要ないという態度でそそくさと退室していった
つ:会長、いきなり呼び出すなんて…まだ何もしていません
心外だと言うようにつくしは抗議した
陽一:悪かったな、急な陽が出来たんだ…
今日、一緒にパーティーに出席することを伝え忘れていたからな
つ:いきなり無理です。準備もしてないし、仕事があります
きっぱりとつくしは断った
つ:なんでも従う約束だろう、勝手は許さん。今から準備しなさい
ホテルに用意させてあるから…
と陽一はつくしをリムジンに乗せ連れ出した
着いた先はメープル
玄関先には、つくし専用の使用人である岸さんが待っていた
岸:急な話でしたので、こちらで支度をと。旦那様の命令です
お嬢様、ご案内いたします。
そういってフロントで手続きを済ませ、部屋まで案内し、準備を始めた