道明寺の運転する車に否が応に乗せられて言われるがままに到着したチャペル

 そこは知らないはずがない、本当なら私が式を挙げるはずだったチャペル

 
 「ここ…」

 『お、気づいたか?』

 「何考えてるの、あんた」

 『何も?お前にドレスを着せることだけだ』


 真顔で言ってるし、あんた道明寺司なんでしょ?

 ここは美作さん系列なんでしょ?いいの?

 魔女が怒り狂うんじゃないの?


 『お前全部口に出てる』

 「へっ?」

 『まずババァに関しては何も言ってない
  まぁ怒り狂ったら俺と一緒に怒られろ』

 「やだよ、それ」

 『なんでだよ、連帯責任だろ』

 「えーっ」

 『それからドレスは仮のもん、参列者はあいつら』

 「類たち?」

 『ああ、あと滋たちな』

 
 散々私が着る予定だったドレスが似合ってないって言ってた類

 今度は大丈夫かな、エステもダイエットもしてないけど


 『んでここで撮った写真をプレス公開する』

 「いやでも…」

 『もちろんお前の顔は隠すぞ』

 「うん、お願い、あとパパやママたち」

 『ああ、そこはすでに指示を出してるから問題ない』

 「よかった…」

 『時間がないから着替えてこい、俺も着替えるから』

 
 そう言って放り込まれた控室

 その中の壁にかかっていたウェディングドレス

 何も装飾がなくシンプルなもの、逆にすごく高いような気がした

 道明寺家御用達のスタイリストさんがすでに準備していて

 私にドレスを着せてくれた


 「これ私…?」

 自分でも見間違いを起こすくらい…自分じゃないみたいだった

 髪型も似合うようにまとめ髪にしてもらい、お化粧も薄っすらとしてもらった

 最後にヒールを履いて控室を出る

 「あっ」

 『お、似合うじゃん』

 
 それは自分でしょ?と言いたいのに言えない

 道明寺のタキシード姿に目を奪われた

 あつらえたような寸分狂いない姿

 隣に並んでるだけでドキドキが止まらない

 
 「ヒール履いてるから転んじゃいそう」

 
 絨毯にヒールをひっかけないか心配

 でも道明寺ならそんな心配は杞憂に終わりそうだ

 
 『大丈夫だ』

 「うん、中にみんないるの?」

 『ああ、お前の超絶似合うドレス姿を見せつけてやれ』

 
 聖堂に続く扉が開かれた

 そしてステンドグラスの隙間から入る陽の光が私たちを祝福してるようだった