sideニカ

 

 


 ニカ「…ねぇ佐藤さん
    今の人何か言ってこなかった?」



 佐藤『何かって?』



 ニカ「いや、実はなんだけど…
    もしかしたら俺、あの人に見られたかも」


 
 佐藤『は!?』



 ニカ「いや、多分なんだけどね!
    あの人、車覗いて窓を叩いたんだよね」



 佐藤『叩いただけだろ?
    だったらバレてないだろう』



 ニカ「…いや、ごめん
    叩き返しちゃった…(笑)」


 佐藤『は!?
    まじ、お前何やってるんだよ!』



 ニカ「だって~なんか反射的に?
    ごめんなさい。でも顔まではバレてないはず…」



 佐藤『いや、顔バレてなくても
    誰か乗ってるってわかった以上
    着いてからお礼言わないとだろ』



 ニカ「だよね…
    でもさ、あの人なんか大丈夫そうじゃない?
    ほら!めっちゃ親切だし!
    なんかテレビとか観なさそうだし!
    俺らのこと知らなそう(笑)」


 
 佐藤『いや、どんな偏見だよ。失礼だろ!
    まぁ、でも確かにああいう人なら
    信用はできそうだけど。』



 ニカ「でしょ!? 
    だからさ、俺も着いたら降りて
    ちゃんと挨拶するよ!!
    実際あの女の人がいなかったら
    ここまで来れなかったわけだし!!
    それこそ失礼じゃない?」



 佐藤『うーん。それもそうだな。
    くれぐれも、余計なことは言うなよ
    お前がアイドルってことは知らなかったら
    それはそれで、いいことだし。』



 ニカ「わかってるよ! 
    でも、知っていたら!?」



 佐藤『その時は、俺が念押して
    誰にも口外しないように頼むよ(笑)』



 ニカ「佐藤さん本当にごめんね!
    俺、佐藤さんがマネージャーでよかった!」



 佐藤『はぁ…よく言うよ』



 ニカ「本当に思ってるって!笑 
    あの女性の名前って聞いたの?」



 佐藤『あぁ
    高梨さんって言うらしい』


 ニカ「高梨さんか~
    下の名前は?」



 佐藤『名刺持ってなかったし
    相手も苗字しか名乗らなかったから
    知らねーよ(笑)』



 ニカ「そっか~
    
    何の仕事してるんだろうね!  
    この時間に帰るってことは
    夜勤とかしてたのかな?
    だとしたら、夜勤明けで眠いのに
    よく案内するって言ってくれたよね!
   
    やっぱ親切な人!

    てかさ、高梨さんの
    笑顔よくなかった?
    
    ねぇ、佐藤さん聞いてる?」



  



 なぜか、名前を教えてもらった途端



 高梨さんの話が止まらなかった