サンマーク出版。栗城史多著。
氏が書いた初めての本(のはず)。
内容は山を始めたきっかけ、初めて登った海外の山のマッキンリー、その後5大陸の最高峰を登った後のダウラギリ、エベレストが中心。
氏といえば7大陸最高峰無酸素登頂(?)というのがキャッチフレーズなのだが、彼自身言っているようにそれは本来の目的ではなく、ヒマラヤの高峰らしい。その思いがメディアでは中々伝わらず、彼自身誤解されたむきがあったと思うのだが、この本ではきちんとそのことが説明されている。また彼自身の山との出会い、純粋なものの考え方(父親の温泉の話は面白かった)などが赤裸々に語られており、それが伝わったという意味ではこの本の意義はある。
ただ残念なことに、先述のとおり彼の山の経歴のわりに内容が少なくあっさりしすぎていて、かつ最近の本にありがちな1ページあたりの字数が少ない本になっている(原稿用紙で約250から60枚くらいか)。故に他の山の本に比べると薄い印象を受けざるを得ない。また、言っては悪いが言っていることが正しいか立派かはともかく、青年独特の青臭さを感じる部分もないことはない。
しかし、今後も表現者であり続けようという彼の行動力に基づく将来性にはちょっと興味がある。グレートクーロワールというルート自体彼には流石に時期尚早の気がしたが、文才などまだ伸びしろはありそうだし、特にエベレスト以後の彼の先鋭的な登山を目指すという姿勢には期待したい。
追記
欲をいえば、マナスルの話を詳しく読みたかった。理由はここでは書かない。