義仲は木曾の総大将だが、義経は頼朝の代官であり弟でしかない。
または、武門のやからには思い上がらせぬように躾おくに限る、という思いからか後白河法皇は中門の窓から義経達を見ていた。
年は25.6、鳶色の皮膚、しまった口元、眉濃く、まなこはつぶらですずやかである。
どこといって険しさはない。
その大鎧の装いに似ず、小柄なのが可憐であった。
つつましやかなうちに、颯爽の気を含んでいる。
後白河法皇からのねぎらいの御酒を、まだ味方が戦っているからと断ると、更に近々と寄り、合戦の様子を語れと沙汰が下る。
義経は終始、誇る色でもなく、実際戦った者達に語らせようと話しを向けて笑った。
笑うと、少し歯並びのわるい唇から、やえ歯がちらと見え、鳶色の頬にえくぼが浮いた。
それが公卿たちにも、こよなく愛でられ、何かこれが坂東武士を指揮してきた武者大将とは思えもしなかった。
平家に続き、木曾義仲にも幽閉され疑心暗鬼になっている後白河法皇ですが、好印象だったようですね。
人の心理を鋭く見抜く後白河法皇は、木曾義仲の場合、自分がいいこに見られたい心理をすぐ見抜かれ利用されましたが、義経は人より前に出る事はありません。
義経の場面は、本当に繊細に、可憐に描かれています