私は、病院のベッドの上にいた。
右も左も動かないように固められて、天井しか見えなくて。
・・・・・・・・・・・・・・・・
保育園に子供たちを迎えに行き、帰りに買い物をして車で家に戻る途中だった。
なんだか、私も疲れていた。離婚してまだ日も浅かった。
すべてが新しく始まってしまった生活に、心も体も必死だったころ。
そんなことは無関係に、後ろのシートで無邪気にはしゃぐ子供たち。
道は渋滞。
「ああ、家までまだまだかかるなあ。」
って心でつぶやきながら、後ろの子供に「ちょっと静かにしてー」と話しかけたとき。
「ドン!!」
一瞬、地震が起こったのかと思った。それが追突されたとわかるまでに時間はかからなかった。
「子供・・・子供・・・大丈夫?!」
後ろを振り向くと、びっくりして声もでない子供たち。
「ママーーーー!!」と二人が泣き始めた。
近所の人が、警察を呼んでくれて話をする。
子供のことが気になっていたけれど、二人が歩いて警察官にあやされながら
笑っているのを見て、気が抜けた。「よかった・・・」
同時に、自分の体が痛い、と感じた。
「これはひどい事故やわ、救急車呼ぶから病院いったほうがいいで。」
警察の人が呼んでくれた救急車で、私は病院に運ばれた。
あれこれ調べられながら、まだ小さい子供のことが気になって仕方がなかった。
「先生、私帰ります。」
家族はパニック。
そりゃそうだ、ただでさえ「離婚」なんて受け入れられない状況の中、交通事故なんて。
せめて自分だけでも冷静でいなくては、というどこか「冷めた」気持ちがあった。
そう思っていた私は、今思えば「気力だけ」で子供のもとへ戻った。
ところが、次の日の朝、体が動かない。起きることさえできない。
「これはやばい・・・」
友人に迎えに来てもらい、さすがに入院しましょう、ということになった。
点滴をつながれて、「トイレもいかないでください。」とベッド上安静。
気持ちだけが焦った。
せっかく仕事が決まったのに・・・
子供たち、保育園はどうしようか・・・
という生活の不安と、
どうしてこんなことに・・・
どうして離婚なんて・・・
どこから何が違ったんだろう・・・
どうして、どうして・・・
答えのない問いが、頭の中を駆け巡る。
ただ、不思議なことに「そんな感傷的な私」と同時に、
どこか気が楽な自分もいた。
「もう、ここまできたら、どうにでもなるか!」
自分の運命なんて、自分でコントロールできないんだな、とか、
もう、現実を受け止めるしかないよな、とか。
なるようになれ、と無宗教ながら、神様に身をゆだねる自分もいた。
そう、この「なるようになれ」という気持ちが、今の「ときどき起業家」人生の
始まりだったような気がする。
ここから、私の人生は大きくベクトルの方向を変えた。
(続く)
