June Christy Recalls Those Kenton Days

How High the Moon

 

スタン・ケントンのバンド専属ヴォーカルだった女性たちを「ケントン・ガールズ」と親しみをもって呼びます。他のバンドでこんな呼び方をしないのは、それだけスターが多く在籍したからでしょう。しかしネットで "Kenton Girls" と検索してもヒットしません。或るCDでは(男性も入っています) Stan's Singers なんてタイトルもありました。これって日本だけの呼び名ですか?

 

「ケントン・ガールズ」で一番好きで、ソロのレコードをオリジナルで全部集めたのは June Christy だけです。

スタン・ケントンは当初多くのシンガーを使ってきました。最初に有名になったのはジーン・クルーパのバンドから移ってきたアニタ・オディです。そして彼女の後を継いだのが June Christy です。当時はアニタに驚くほど似ていると言われたのでケントンもこの系統のシンガーを探していたんでしょうね。


アニタまではしっとり歌う普通のバンド・シンガーが多かったのですが、彼女以降の有名なシンガーはハスキーで粋なフェイクを適度に織り交ぜ、(いい意味で)主張の多いスタイルを踏襲していると思います。

最初のヒットは Tampico です。このころは後年の独立後に残したレコードとはずいぶん違いますね。

June Christyも決して声量が有るわけではないのに抜群の音感とセンスの良さが在籍中から徐々に増えていきました。

 

彼女にとって一番大きかったのは在籍時に知り合った 編曲家 Pete Rugoro でしょう。独立後もキャピトル・レコードから離れなかったのが幸いして彼とは長い間コンビを組み、素晴らしい作品を残していきます。

 

独立後一番有名なのは10インチで発売した Somithing Cool でしょう。

当時も大ヒットしたようで、後に4曲足して12インチで発売し、ステレオになってから同じアレンジで再録音しているくらいです。10インチのスタンパーだけを見ても(私の知る限り)D-15まであります。(D-2がプロモでありますがD-1はあるのでしょうか)

  

 

この10インチレコードは大好きで、もっと音のいいレコードをと思い10枚ぐらい購入しました。

音の良さは色々な条件が加わるので買ってみるまで分かりません。或る意味それが楽しみなんですが。

 

彼女はキャピトルに多くのレコードを残しますが、信じられないぐらいの大酒豪だったようで、声の劣化がどんどん進んでいきました。しかし、Pete Rugolo と彼女の抜群のセンス(特に選曲の素晴らしさ)から20枚近い名盤を残しています。(海賊版も数枚ありますが)

 

しかし1976年に復帰したレコードは無残で聞くに堪えません。もう少し酒量が少なかったらもっと素晴らしいアルバムを残せたのではないかと思うと残念でなりません。