本を整理していたら昔のジャズレコードの紹介本が出てきました。

 

1996年発行 「ジャズ知られざる名盤1000」 安原 顕編

編集者は村上春樹の原稿売却問題の安原顕さんです。

コンセプトは超有名盤ではない裏名盤を各人が被らないように短いコメントと共に紹介するもので、一人50枚をあげています。

 

岩波洋三氏は当り障りのないレコード解説で評価はまちまちですが、私は好きです。

それは黒人音楽としてのジャズを理解するのにテキサス・テナーを聴かないでどうするのかと言い続けていたからです。

この紹介にも

アーネット・コブ 「スムーズ・セイリング」

ジーン・アモンズ 「アップ・タイト」

など良いアルバムを紹介していますし、私の好きなメリー・ルー・ウイリアムズもちゃんと紹介しています。

そしてピアノ・トリオはこの一枚しか紹介していません。

でもアート・ペッパー「ザ・トリップ」、ウエイン・ショーター「スピーク・ノー・イーブル」などの結構有名なレコードの紹介も忘れていません。

(私は50年代のペッパーの方が好きですが)

余談ですが、昔吉祥寺のディスク・ユニオンでよくお会いしました。

よく書かれていた通り、高額廃盤には目もくれず、床の餌箱に置いてある500円以下のレコードを血眼で探されている光景を何回も見ました。

 

佐藤秀樹氏はこれぞ王道と言えるものばかりで、今発行しても十分に通用するものばかりです。

デイヴ・ベイリー「バッシュ!」

デクスターブロウズ・ホット・アンド・クール

ジェリー・マリガン「ナイト・ライツ」

トニー・フラッセラ

Dotのロレイン・ゲラー

これなら初心者から中級ファンまでおすすめできますね。

さすがです。

 

寺島靖国氏は初めての本で我々の知らないレコードを紹介されて名をあげました。

ノーマ・メンドーサなんか驚きましたし、当時はどこを探してもなかったので気になって仕方がありませんでした。

ただ、この1冊以降は挑発的な文章で気を引いたりし始めたので読まなくなりました。

この執筆も新譜を聴けと言われていた頃の物で、ここでは新人を聴けと言われています。

当時私も新譜を多く聞きましたが、今も残っているようなものはほとんどありません。

紹介されているリン・ハリデイとかアンリ・テクシェとか覚えていますか?私はジャケットや音さえ浮かんできません。

まさにこの人も時代と共に消えていったと思います。

 

清水俊彦氏はフリージャズ評論家です。

ここでは文章を読まなければ面白いアルバムが紹介されています。

エヴァン・パーカーのIncus盤

デレク・ベイリー・ソロ

セシル・テイラーのFMP盤

文章は同人誌の自己陶酔青年が書いた下手な詩のようです。