世界ではあまり聞かれていないけれども日本では常に人気のある指揮者がクロアチア出身のロブロ・フォン・マタチッチ Lovro von Matačić です。
彼は独裁者チトーに対抗しナチス側に回ったために一線から遠ざかった人です。親ナチのレッテルでしばらく復帰できなかったところはフルトヴェングラーに似ています。
彼は数多く来日し、N響とも多くの録音を残しました。
よくある名盤〇〇選にはあまり入りませんが、私はチェコフィルとのブルックナーよりも好きなCDがあります。
それは1966年と1973年にN響と残したベートーヴェンの第九です。
クラシックに精通していない私でも第九のCDやLPを相当枚数保有しています。特にフルトヴェングラーの51年バイロイト祝祭は前にも書きましたが、新しく出るたびに買ってしまいます。
それでも一番好きなのは、このマタチッチのN響です。
私のクラシックの聴き方はジャズと同じで、感性に訴えるか否かだけですのでどこが良いのか説明できませんが、一言で表現するならば「圧倒的な迫力と熱意」だと思っています。
特に73年の録音が好きなのですが、この時代のN響は私の耳でも弱いかなと思います。特に管楽器にそれを感じます。弦も今のN響とは違い、たどたどしいと思う個所もありますが、それらをすべて超えてしまう迫力があります。
この音を引き出したマタチッチはどんな指揮をしていたのでしょうか。実際に見たかったですね。
あと、73年のCDは最後に鳴りやまぬ拍手を7分も収録しています。
いつもこれを最後まで聞いてしまうのですが、制作した方も私と同じような気持ちだったのではないかといつも思っています。