真夏の夜のジャズ 4K修復版 Blu-ray

 

昨年(2020年)話題になっていた「真夏の夜のジャズ」がBlu-rayで発売されました。

VHSからDVDに買い替えて何度も見ましたが、どの程度きれいな画像になったのか確認したくて購入しました。

 

これは1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのドキュメンタリー映画で、演奏のみならず観客や会場の様子を撮影しています。私たちは当時のアメリカをこの映画を通じて肌で感じ取ったように思っていた映画です。

特にアニタ・オディのファッションなどは彼女のパフォーマンスとともにため息が出るほどあこがれたものでした。

1回見終わった感想ですが、画像は結構ノイズが残っている場面も多いのですが、Blu-rayの高画質の為かコントラストがはっきりしており、特にチコ・ハミルトンの演奏では暗がりでの顔やしぐさがわかるようになりました。ただ、この程度でいささか期待外れです。

 

期待以上だったのは音です。

カッティングレヴェルが高く、迫力があるとまではいきませんが、各楽器の音がよく聞こえるようになりました。これならそれなりの装置で聴いても聴きごたえがあると思います。

ただ、キーがずれていたり、ワウ・フラッターがある個所はそのままでした。

 

映画を改めてみると、白人が企画・運営したフェスティバルを白人の視点で撮影したドキュメンタリーだと感じました。黒人ミュージシャンや観客も出てきますが、あくまでも白人社会の中のワンポイントとして表現されており、1958年のアメリカ社会を垣間見られるような気がします。

 

見どころはアニタとともにルイ・アームストロングのトークと演奏があります。

マイルス・デヴィスは白人に白い歯を見せてたわいもない話で笑わせる姿を酷評していました。確かにルイは白人社会のなかでのエンターテイナーとなっているのですが、この演奏を見ると、彼は媚びを売っているのではなく、芸人として観客を楽しませたいと思っている様子がはっきりとわかります。観客もそれちゃんと受け止めているようにも感じました。

 

この映画は発売されてしばらくすると廃盤となり、その後中古で高額取引されることを繰り返してきたので、もしもお持ちでないのなら今のうちに購入された方が良いと思います。