やはりオリジナル盤がエライと思うのはいい音に出会えた時です。
しかしオリジナル盤だからいい音ではありません。
それを強く感じたのが June Christy の "Something Cool" の10インチ盤でした。
私は彼女のセンスの良さが大好きで、キャピトル・レコードのセンスの良さと合わさって素晴らしいアルバムを多く残しました。
その中で最大のヒットがこのアルバムです。
最初10インチで発売し、後に12インチ用に4曲追加して再発、さらにステレオ時代に同じアレンジで再録音をしています。こんなアルバムは見たことがありません。
当然初めて買ったのは東芝の国内盤で、12インチオリジナルとCDを購入してからも解像度が高くなってきたのかなぁと漠然と思うだけでした。
その流れで10インチオリジナルを買い、何気に聴き始めて驚愕しました。
とにかくヴォーカルが生々しい!
まさに目の前で歌っているような感覚!
想像していなかっただけに目が点になりました。
通常10インチはのちの録音規格であるRIAAカーヴではありません。
ですから現代の一般的なフォノイコライザーでは知識を持ってトーンコントロールを操作しないと本来の音は出てないはずなのにこの音が出るとは思いませんでした。
この時聴いたレコードのマトリックスはD6でしたので、それならD1ならさらに良いはずだと思い探し始めました。
ビートルズのレコードだと、マトリックス番号だけでなく、スタンパーも丁寧に説明されて発売していることが多いのですが、このレコードで詳しく書いてあるレコード屋はあまりありません。
ですから見つけるたびに検盤をして確認しました。
この結果、D1からD16まで数枚集めましたが、結論として最初に買ったD6が一番良い音でした。
つまり、マトリックスも重要ですが、さらに重要なのがレコードの状態であり、どんな針でどのくらい聞いたのかが音質を左右する重要要素であると云うのが私の結論です。
最近CDも音が良くなり、このSHMーCDも結構いい音がしています。Mo-Fiあたりが出してくれればうれしいのですが。