ありがとう、朝倉さん。
先日、若い頃から大変お世話になった Tサックス奏者でレコーディングスタジオ・NMGオーナー朝倉さんを偲ぶ会に参加しました。
NMG立ち上げ前から、セッションに誘ってもらったり、ビッグバンドのコンサートのゲストに呼んでもらったりして可愛がってもらいました。
NMGでは、僕のアルバムも何枚かレコーディングさせていただきましたし、スタジオワークの録音に呼んでもらったりして、今に至る多くのアーティスト、演奏家やコンポーザー、アレンジャーの仲間達はNMGを通じて繋がることができました。
一昨年より和楽器アンサンブルチャンネルの楽曲提供を担当させていただいてるUSEN・スターラップのご縁もNMG繋がり・朝倉さんに紹介されてです。
10代20代の頃から僕は雅楽や和楽器と並行してバンドもしてましたが、それはたいていロックかフォーク、たまにブルースといったジャンル。
楽譜は幼少期に習って初心者で挫折したピアノの記憶でよたよたの読譜力(それは今もたいして変わらんが)、他のメンバーも誰も全く楽譜読めない・・・楽譜無くても何ら問題の無いトライアード3コードバンドの住人でした、
そんな僕に朝倉さんが、ジャズセッションに誘ってくれて、横笛で参加することになるのですが・・・
自分たちトライアード3コードプレイヤーにとって、ジャズミュージシャンなんてアマチュア愛好家でさえ、複雑怪奇なコード・スケール・リズムを自由自在にあやつる音楽エリートに見えて、プロなんて超人としか思えませんでした。
でも朝倉さんは、おだて上手で僕の良いところを引き出してくれながら、セッションの作法や約束事を伝えてくれてたり、音楽の理論メカニズムや、カッコ良くできるコツとかを、実践の中で、絶妙なタイミングで
「それや!それでええねん!」「そこでそれできたらもう100点満点や!」
「そこまで分かったら、あとはこれな、こうなってるだけやねん、見てみ、簡単やろ?」
また朝倉さんは音楽関係者の方々に僕を紹介するときには、
「出口くんの音にはな、匂いがあるねん」・・・はぁ?音に匂い?・・・何のこっちゃわからけど褒めてくれてみたいやな・・
「彼はな、耳がエエねん!」・・・オレ、絶対音感なんか持ってへんし、チューニングは時間かかった挙句、妥協していつも自信持てんまま開き直ってるんやけど・・・
「聴く力が凄いんや!」・・・いつも周りからは 人の話聞かへん、て怒られるんやけど・・・
と不可解な褒め方をしてくれました。
これが考えるキッカケになりました。
「音の匂いて何やろ?なんか分かる気はするけど・・・」
「耳が良い、とはどういうことなんやろ?」
「音を聴くって どういうことなんやろ?」
欠点を考えさせるのではなく、自分が気付いてない長所らしいことを考えさせてくれたんです。
今となっては、自分なりのその回答が、自分の音楽の価値観の根幹になってたりするんですね。
そう、随分 後になってわかったのは、朝倉さんこそが、僕の音楽業界における師匠だったんです。
そして、NMGを通じて知り合った仲間達は、兄弟姉妹や従姉妹達、同然だなぁと思いました。
この日は、朝倉さんの昔のお仲間さんが演奏しましたが、僕達も
朝倉チルドレン達として 朝倉さんの遺した『夜霧よ今夜も有難う』の音源で朝倉さんと共演できました。
本当に、ありがとう、朝倉さんです!
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