皆さん、こんにちは。ニッパーです。
今回はPer Henrik Wallinの "Moon Over Calcutta" (Dragon of Sweden, DRLP 143)
を紹介します。ジャズピアノのソロアルバムでございます。

ジャズっていうと、どうしてもアメリカに偏りがちですが、世界にはすごくいい
アルバムがいっぱいあるんです。世界のジャズフェアーって感じでこのブログでは
出来るだけ世界中のかっこいいジャズを流していきます!

で、この人、前情報は一切なしです。でも、つべこべ言わず、まずジャケット見て下さいな。
どうですか。めっちゃくちゃかっこいいですよね。これだけでお部屋のインテリアになるくらい
いけてます。はい。きっと有名な写真家が撮ったんでしょうね。

それはさておき、肝心の音楽ですが、聞いてみると、またビックリ。日本人ジャズピアニスト
山下洋輔っぽいゴリゴリのフリー感漂うアグレッシブなアルバムに仕上がってます。はい。

ぼくは山下洋輔の名盤「バンスリカーナ」を思い出しました。オリジナル曲&スタンダード曲が
バランスよく入っていて、とっつきにくいフリーな割に聞きやすくて、入っていけるんですね。
山下洋輔よりも馴染みやすいです。スタンダードも程よくあってお得感満載です!



例えばですけど、モンクのラウンド ミッドナイトみたいな超有名な一曲があるかと思いきや、
アーマッド ジャマルのポインシアーナとか、いわゆる通好みな品揃えありーの、さらに
バリバリのスタンダード曲、ジェローム カーンのイエスタデイなんかもあります。それらが
オリジナル曲に混じって心地よいサウンドを作り上げてます。

先程フリーと書きましたが、これは言わば準フリーといった感じで、そこまで壊れてません。
あくまでリスナーを意識して、自分の中の壊れそうな部分もうまく出してる心憎い出来栄えです。
意外に日本人っぽいスウェーデンのジャズピアニストです。肘鉄で鍵盤壊す手前の山下洋輔です。

とは言え、魂感じますよ。命がけでピアノ弾いてます。こうでなきゃ、ジャズじゃない。
テクニックや流行じゃない三島由紀夫言うところの「死を賭して」音楽やってる真剣さが
ひしひしと伝わってきます。

でも、普通にワイン飲みながらいい気分で聞くこともできる、本当優れものなんです。これ、
例のジャズ喫茶Daysで仕入れた逸品です。是非ご賞味あれ!


クラシックとジャズの関係ってどうなんだろう?
この問題を最も前景化しているのはキースとウィントンかなと個人的には思います。
ジャズミュージシャンなのにクラシックもバッチリやっちゃう人たちですね。

気になる方は中山康樹氏の著書『キース ジャレットの頭の中』(シンコー ミュジーック エンターテイメント, 2014), 『ウィントン マルサリスは本当にジャズを殺したのか?』(同, 2015)
などで、クラシックVSジャズの熱い議論を読んでみてはいかがでしょう?面白いですよ。



でもぼくは難しい事抜きでもっと気楽にクラシックの要素を織り交ぜたジャズを紹介したいと思います。今回は日本人ピアニスト森本洋子さんのアルバム "Arbitrio" (Victor, PRC-30560) です。
ジャケットからも分かるように秋にピッタリなアルバムです。選曲も秋って感じで切ない
ニュアンスがよく出ています。まずショパンの夜想曲第3と15番それからマズルカの第5番
前奏曲第20番っていうラインナップです。これだけでも聞いてみたいというクラシックファン
はいるはず。ショパンをどうやってジャズに料理するんだろうと思われるかもしれませんが
これがとても合っている。素材として無理なくジャズピアノトリオにピッタリなんです。

そして極めつけは先述したあのキースのアルバム「マイソング」(My Song) からのタイトル曲です!サックスのヤン ガルバレクが担っていたメロディラインをピアノで美しく奏でながら、クラシック寄りのキースのピアノをじつに見事に解釈して、しかも誰が聞いてもとても心地よい仕上がりになっております。

クラシックっぽいジャズが好き、またはキースのカバー聞いてみたいという方、あるいは
そんなこと関係なく秋に素敵な音楽を楽しみたいあなた、ぜひこのアルバムを聞いてみては
いかがでしょうか? 日本人独自の侘び寂び感も盛り込まれていてめっちゃオススメですよ。


まるで高級焼肉店の牛タンみたいに(この比喩は果たしてPC的にどうなんだろう?)
ジャズ喫茶では絶対レコードの片面しかかけない。
(単に片側しか焼かないとういうことが言いたかっただけなのですが、
厳格なベジタリアンの方には申し訳ないです、はい)。

でもとにかく、A面でもB面でも片側だけで、そのレコードの良さは一発で分かります。
僕は去年の夏、ジャズ喫茶の聖地、仙台は一関のベーシーに行ってきました。
やはりそこでも片面が終わるとマスターは次のレコードをかけてました。

僕は丸2日間、開店から閉店まで居座っていましたが、マスターは一貫して片面だけ
ターンテーブルに乗せて終わると、次の盤をかけてました。はい。この目で見ましたから。
で、最近は、本山にある名古屋のジャズ喫茶 "Days" に通ってますが、やっぱり
そこでも案の定マスターは片面で、次!です。これは流儀のようなものでしょうか?




それで、ジャズ喫茶、Daysで片面だけ聞いてWow! と思ったのは、このアルバムです。
クレア フィッシャー(Clare Fischer) の "First Time Out" (Pacific Jazz Record) です。
マスターはB面だけかけました。それは、かのジャズ評論家、油井正一が次のように評した↓
「ドン フリードマンと並んでビル エバンスのストレートな後継者といえるのがこのクレア フィッシャーだ。これは彼の初リーダー作であり最高傑作」(ジャズピアノ~ベスト レコード セレクション、新潮社、1989)ピアニストのアルバムです。

B面1曲目の "Free Too Long" が、咬みごたえ抜群です。いわゆる「ロイシー系のピアノ」
なんですが、なんだか哲学的なストイックなトリオ演奏に痺れます。エバンスとはまた
ひと味違った苦みがあります。

そしてベースはキースのトリオでおなじみのゲイリー ピーコックです。若き日のピーコック。
じつは僕はゲイリー ピーコックに会って一緒にビール飲んだことあるんです。昔ですけどね。
菊池雅章、ゲイリー ピーコック、ポールモチアンのテザート ムーンで来日した時の事です。

コンサートの後に楽屋に何となく忍びこんで、いろいろ話しました。(僕はそんな感じでめちゃ
ミーハーなんです)今でも覚えてますが、ゲイリー ピーコックはその時マルボロ ライトを吸って
ました。もちろんふたりでタバコ吸いましたよ、僕はマルボロ メンソール ライトだったんです
けどね。写真とってもらいましたよ。紳士かつハンサムでとてもいい人でした。はい。
(ちなみにモチアンとも写真いただきました)。

とにかく、このアルバムは、そんなベーシスト、ゲイリー ピーコックのエキスが十分に味わえる貴重な一枚でもあります。ピアノトリオが好きな人に特にオススメです!