先日、外国人の在留資格「特定技能」に
自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を加えることが検討されている
との報道がありました。
それによると、自動車運送業ではバス・タクシー・トラック運転手など、
鉄道は運転士・車掌・駅員・車両製造など、林業は育林など、
木材産業は木材加工などが想定されているそうです。
「特定技能」とは、深刻化する人手不足に対応するため、
特定の産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる
外国人材を受け入れるために創設された在留資格です。
コロナ禍が終息し、外国人人材の活躍が多いに期待されるなか、
「特定技能」と労働者派遣に関するお問い合わせも最近多く頂いています。
そこで、「特定技能」と労働者派遣の関係を取り上げます。
まず「特定技能」には、1号と2号の2種類があります。
「特定技能1号」は特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を
必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格、
「特定技能2号」は特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する
外国人向けの在留資格となっています。
◎特定技能外国人の受入れ分野と労働者派遣
特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は、
次の12分野となっています。
そのうち、特定技能2号での受入れ対象は、介護分野以外の11分野となります。
※介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるので、特定技能2号の対象分野とはなっていません。
・特定技能受入れ分野
1. 介護分野
2. ビルクリーニング分野
3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
4. 建設分野
5. 造船・舶用工業分野
6. 自動車整備分野
7. 航空分野
8. 宿泊分野
9. 農業分野
10. 漁業分野
11. 飲食料品製造業分野
12. 外食業分野
このうち「派遣」の雇用形態が認められる分野は、
現在のところ、「農業分野」と「漁業分野」の2分野のみです。
そもそも、特定技能は、直接雇用が原則であるところ、
この2分野のみが認められています。
その理由は、法務省「特定技能制度に関するQ&A」のよると、
「農業及び漁業については、季節による作業の繁閑が大きく、
繁忙期の労働力の確保や複数の産地間での労働力の融通といった現場のニーズが
あるところ、これに対応するためには、派遣形態を認めることが必要不可欠と
考えられるものです。」とされています。
今回追加されると報道された中に、派遣が認められる分野があるかは不透明です。
ただ、「農業」と「漁業」が認められている背景を考えると、
「林業」は認められる可能性があるのではないかというのが、個人的な印象です。
以上のように、農業分野と漁業分野の2分野において、派遣の雇用形態による
受入れが認められていますが、派遣元には当然ながら労働者派遣事業の許可、
特定技能外国人を受け入れる機関としての届出が必要です。
さらに、それに加えて、派遣元・派遣先ともに、特定技能外国人を
受け入れる場合の一定の要件を満たす必要があります。
実は、たまたまではありますが、弊社が開設しているサイト内にて先月、
「特定技能外国人と労働者派遣事業」というタイトルのコラムを掲載しています。
(投稿日2024年1月5日)
もう少し詳しくお知りになりたい方は、こちらも見て頂ければ幸いです。