先日、X(旧Twitter)に於きまして、この様なポストが流れて来ました。



所謂フィンランド症候群と呼ばれるものですが、どの様なものかとザックリ申しますと、

フィンランドの保健局が約600人の管理職に定期的な健康診断をし、たばこや飲酒を控えるなどの摂生を求めた。別な600人には何もせず様子を見た。15年後に比べたら、何もしない集団の方が死亡者が少なかった

【出典:朝日新聞 2002年11月9日 『窓』】

というものです。


当該論文は、こちらですね。


さて、この論文ですが、フィンランド全体で行われたかの様に思われるでしょうけど、これはヘルシンキの男性管理職者を対象としております。


そして介入群には「飲酒や喫煙の節制」を求め、対象群には何も指示指導はしなかったとの事です。


その結果、上の画像の表をご覧戴きますと分かります通り、対照群だけが外因死(脳卒中、心疾患、癌以外の死亡)が極端に少ない事が分かると思います。


いや、(健診及び医療の)介入が無かったからストレスが少なかったからだ!!

とお考えの方もいらっしゃるかとは思います。


しかしそれは、「拒否群」にも同じ事が言えます。


また、介入終了時点では、介入群の32%が降圧剤、37%が脂質降下剤の投与を受けておりまして、対照群ではそれぞれ15%と0%でした。


その上での、上記の画像の数字です。


また、生活習慣指導がどの様な影響を与えたかにつきましては、保健指導をしても介入群・対照群間の喫煙量や飲酒量にいずれの時点でも有意差はなく、両群ともに、どんどん減っていたのです。



ここまで来ますと、偶然の産物と言われましても、不思議ではないでしょう。


さて、喫煙は兎も角、飲酒につきましては、次の論文がございます。



英国男性で最も一般的なビールやシードルのみを摂取する男性9,029例と、健康志向の高い女性にも人気が有ります赤ワインのみを摂取する女性6,989例を調査しました論文です。


それによりますと、男女共にアルコール摂取量が多いほど、動脈硬化のリスクが高い事が分かりました。



よく、健康を扱いますテレビやラジオ、雑誌記事などは「ポリフェノールは動脈硬化を予防する」と言われておりますが、実際には動脈硬化に対しましてポリフェノールのご加護は存在しない様です。


また、こちらの論文です。



アルコール摂取と痛風との関係を調べました、英国バイオバンクのデータ(男性…179,828人、女性…221,300人)を用いました前向きコホート研究です。


それによりますと、男女共にビール、或いはシードルを1日1パインド(約568ml)を呑む人は、飲酒をしない人と比べまして約1.6倍の痛風リスクが有る事が分かったそうです。


「酒は百薬の長」とは言われておりますが、ほどほどにしておきましょうね。

先日、X(旧Twitter)の私のタイムラインに、以下のポストが流れて来ました。


このポスト主は、これらの画像を根拠にして新型コロナワクチンの“危険性”を主張している訳ですが、ザックリと検証をしてみたいと思います。

まず一枚目がこちらです。


四つの論文を根拠に、新型コロナワクチンの作用機序を記している訳ですが、のっけから引用している論文が笑えます。

既に撤回済みです。

この論文ですが、反ワクチンの医師が「ついに査読済みの論文が出ました」とか言いながら嬉々として動画をあげていたものなんですよね。


その時点で、一枚目の画像は撃沈です。

さて、二枚目がこちらです。


論文としましては、こちらになります。

  • 接種群を300名以上除外した
  • その事で高い有効性が出せる
としている訳ですが、分母が小さくなりますと分子が少し動いただけで数字の変動幅が大きくなります。
つまり、
  • 有効性を低く出せる
  • リスクを高く出せる
という事にもなるという訳ですね。

また、接種から7日しか経過していないという事は、ワクチンの効果(影響)がまだ出ていない期間となりますので、除外する事は当然だとは思います。

次に三枚目です。


該当する論文が、こちらになります。

まず気になりますのが、「重症」の患者は接種群が多いのですが、「生命の危機」に至りました患者数は大差はございません。
(むしろプラセボ群が多い)

また、死亡者数に関しましては、以下の記述がございます。

藤川氏の表では接種群のみが加算されておりますが、本来ですとプラセボ群に2名を追加しなければなりません。

そうなりますと、
  • 接種群…………15名
  • プラセボ群…16名
という事になり、プラセボ群が多いという結論になります。

そして最後に四枚目ですね。


一見しますと、ワクチンの接種者数と死亡者数の動きが一致しているかの様に見えますが、実態は以下の通りです。

なお、データの出典は、以下のサイトからです。

【図1 新型コロナ関連死亡者数と全死因死亡者数(2020年2月~2024年2月)】

【図2 新型コロナワクチン接種者数と全死因死亡者数(2021年4月~2024年2月)】

この二つのグラフを見ましたら、一目瞭然でしょう。

藤川氏の主張が、どうもチェリーピッキングの様な気がしてなりません。

なお、mRNAワクチンの作用機序は、以下のサイトが分かり易く説明されております。

こちらのX(旧Twitter)に投稿されましたポストを、ご覧下さい。



東京都日野市議会議員の池田としえ先生のポストです。

こちらのポストで日野市のデータを出しまして、
「子宮頸がんで死亡している年代で最も多い年代は、『85歳以上』です」
と記載されております。

では、実態を見てみましょう。

データは全て、こちらからの引用となります。
【図1 子宮頚がん年齢階級別死亡者数の比率(2022年)】

ご覧の通り、85歳以上は17.07%となっております。

むしろ、50歳代や70歳代が多かったりしますが、特筆するべきは40歳代以下が17.5%と、85歳以上とほぼ同数なんですよね。

これが、マザーキラーと呼ばれる所以なのです。

にもかかわらず、池田としえ先生は更に、
「若年層に死亡者はほとんどいないのが特徴です」
と投稿されました。

40歳代以下と85歳以上が、ほぼ同数(むしろ若年層が多い)だというのに、です。

そして、子宮頚がんの特徴は、他のがんと比較しまして、割りと若い段階で命を落とされるという事なのです。

【表1 部位別年齢階級別がん死亡者数の割合(2022年)】

ちょっと文字が小さくて読みづらいかも知れませんが、ご容赦下さい。


他の部位のがんと比較しますと、如何に若い世代から犠牲になっているのかが分かります。

このガセを吹聴する市議会議員は、先の統一地方選で2,278票を獲得しまして、24名当選する中で11位で当選されております。

しかし、池田としえ日野市議会議員が何を仰ろうと、この癌はワクチン接種で予防が可能なのです。


キャッチアップ世代の方で、まだ一度も接種されていないかたは、9月までに初回接種をされませんと、無料接種期間中に修まりません。

どうか、これを機会に接種を、また、もし身近にまだ接種をされていない方がいらっしゃいましたら、是非とも接種を薦めて戴けますでしょうか。

暑い日が続きますねェ。


こう暑い日が続きますと、時折コーラが飲みたくなります。


コーラと言えば、

  • ペプシコーラ
  • コカ・コーラ

が二大勢力といったところでしょうか。


昔、ペプシコーラが、コーラを二つ、ブランドを隠して並べまして、

「美味しいと思った方を選んで下さい」

というCMをやっておりました。



皆様も、どちら派かという事で、意見が分かれると思います。


その二つに対しましてほとんどの人が、微妙な味や香りから好みを判断していると思われるでしょう。


これにつきまして、その「好み」の実態を暴く研究がございます。

https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(04)00612-9#%20


この研究は67名の参加者にペプシコーラとコカ・コーラの銘柄を隠して飲んで貰いまして、

「どちらが好みですか?」

と質しましたところ、参加者の好みは半々に分かれました。


ところがブランド名を明かしましたところ、

「コカ・コーラが好み」

とする参加者が過半数となったそうです。


何故この様な結果になったのでしょうか?


参加者がブランド名を知らずに飲みましたところ、脳の前頭前皮質と呼ばれます快感中枢が刺激されておりました。


この脳の領域は、私達が美味しい食べ物や飲み物を楽しんでいる時に反応する部分です。


つまり、味を楽しんでいる訳ですね。


一方でブランド名を知った状態で飲んだ際に反応しました脳の領域は、感情や記憶に関係が有るところでした。


つまり、ブランド名を知る事で感情が動いたという訳ですね。


この研究チームは、

「コカ・コーラ社の広告キャンペーンが記憶に大きく影響を与えた」

と結論付けております。


基本的に広告キャンペーン、つまりCMは、日本に於きましては、

  • 好感度が高いタレントを起用する事で、書津品の信用性を高める…ハロー効果
  • 目にし易い時間帯や媒体に流して認知度を高める…単純接触効果
  • 同じものを何度も繰り返して、「この商品は良いものじゃね?」と認知させる…真実性の錯誤
という事で、消費者の購買意欲をそそります。


ただ、場合によりましては炎上してしまうケースもございます。


このCMはすぐに「放送禁止」になった訳ではなく、コカ・コーラの部分にモザイクをかけまして、しばらく流していた記憶がございます。


さて、あなたの好みは、

  • ペプシコーラ
  • コカ・コーラの…


先日、X(旧Twitter)で、この様なポストが私のタイムラインに流れて来ました。



恐らく、ネタ元はこちらのニュースでしょう。



この報道によりますと、検出されましたのは、

  • 熊本産イチゴからフロニカミド…0.02ppm
  • 静岡産キンカンからフルベンジアミド…0.03ppm
という事の様です。


この報道を受けまして、

  • 日本は残留基準値が世界一甘い
  • アメリカの圧力で基準値を緩めたからだ
といった、完全に的外れな意見を散見致します。


実は残留農薬基準値というのは国毎に違いまして、各国の気候や害虫の種類のよりまして使用されます農薬がまちまちなのです。


例えば、台湾で使用されているが日本で使用されていない農薬の場合、日本の方が厳しくなる訳ですね。


【日本と台湾の基準値が同等、もしくは台湾が高い農薬-殺虫剤】



【日本と台湾の基準値が同等、もしくは台湾が高い農薬-殺菌剤】


ですから、このニュースを以て、

日本の農作物は農薬まみれで危険

という主張は、早漏過ぎると言っても過言ではないでしょう。


実際のところ、国別の残留農薬基準値の比較で安全性を計る事は、科学的には無意味な事です。


毒化の原則は量依存です。


ですから、安全性を検討する為に、まずは、

ADI(体重1kgあたりの一日の許容摂取量)

が重要になります。


まず、イチゴから検出されましたフロニカミドですが、これのADIが0.073mg/kg/dayです。

https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-hyouka-flocamid.pdf


体重50kgの人でしたら、

0.073mg/kg/day×50kg=3.65mg/day

という事になります。


検出量が0.02ppm(1kgあたり0.02mg)ですので、

3.65mg/day÷0.02mg/kg=182.5kg/day

という事になりますので、体重50kgの方は1日に182.5kgしか食べられないという事になります。


同様にキンカンですが、検出されましたフルベンジアミドのADIは0.017mg/kg/dayです。


となりますと、体重50kgの人の一日の摂取許容量は、

0.017mg/kg/day×50kg=0.85mg/day

となります。


フルベンジアミドの検出量が0.03ppmですから、

0.85mg/day÷0.03mg/kg≒28.33kg/day

となりますので、体重50kgの人はキンカンを一日あたり28.33kgしか食べられないという事になります。


そんなに食えるかい!!

あと、この残留農薬の基準値超過となりました原因ですが、どうやら輸出業者が日本と台湾の残留農薬基準値が違う事を考慮せず、国内向けに生産、販売された製品を市場から調達しまして、そのまま輸出した事の様です。


ついでに記しておきますけど、付着しております様な農薬は、重曹だのホタテパウダーだのを使用する事無く、水道水で十分に落ちます事を併せて記しておきます。