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ぼくは、おさるです。

みなみの しまに、すんで います。

ぼくは この しまで うまれて、

この しまで、おおきく なりました。

ともだちも たくさん できて、

みんなと のんびり くらして います。

あさ、おひさまと いっしょに めを さまし、

まず、おしっこを します。

それから みんなで ごはんを たべて、

けづくろいを したり、

かえるなげを したり して、

よるに なったら ねむります。

みんなと いるのは、とても いい きもちです。

みんな、ぼくと おんなじ おさるなので、

まるで、たくさんの ぼくが、そこらじゅうに いるみたいです。

じぶんでも、どれが ほんとうの ぼくか、わからなく なります。

ところが ある ひ、かにが ぼくの みみを はさみました。

その かには、とても ごうじょうもので、いつまでも ぼくの みみを はなしません。

いたく ないので、ほっとく ことに しましたが、

かにを みみに つけた おさるなんて ぼくだけです。

ぼくは じぶんだけ、かにみみざるに なったような きが しました。

かにみみざるに なったら、こんなに なって しまうかも しれません。

もしかしたら、こう なって しまうかも しれません。

こんなに なっても こまった ものです。

ぼくひとり、かにみみざるに なるのは いやです。

ぼくは、みんなの みみを、かにに こっそり はさませました。

でも、この かにたちは、ちっとも ごうじょうものじゃ ありません。

やっぱり、ぼくひとりだけです。

ぼくひとり。

………。

あ。おじいちゃんが、ごはんを かかえて こっちに きます。

ぼくらは ならんで ごはんを たべました。

ごはんを たべながら、おじいちゃんは こどもの ころの はなしを して くれました。

おじいちゃんは、この しまで うまれ、このしまで おおきく なりました。

ともだちも たくさん できて、みんなと のんびり くらして いました。

ところが ある ひ、ごうじょうな たこが、しっぽに すいついて しまったそうです。

おじいちゃんは、じぶんが たこしっぽざるに なったと おもいました。

ぼくは、びっくりしました。たこしっぽざるに なったら、

こんなに なって しまうのかも しれません。

もしかすると、こんなかも しれません。

おじいちゃんも、ひとりだけ たこしっぽざるに なるのは いやだったので みんなの しっぽにも たこを すいつけたそうです。

でも、ほかの たこたちは、ちっとも ごうじょうものじゃ ありません でした。

おじいちゃんひとりだけでした。

『ぼくと おんなじ だね。』
『うん、うん。』

おじいちゃんが こまって いると、おじいちゃんのおじいちゃんが ごはんを もって やって きたそうです。

おじいちゃんのおじいちゃんは、おじいちゃんに、こどもの ころの はなしを して くれました。

おじいちゃんのおじいちゃんは、この しまで、みんなと のんびり くらして いました。

ところが ある ひ、ごうじょうな へびが、あたまに まきついたそうです。

いたく ないので ほっといたけど、じぶんひとり、へびあたまざるに なったみたいな きが したそうです。

ぼくは、びっくりしました。
へびあたまざるに なったら、

こんなに なるのでしょうか。

それとも、こんな。

もしかしたら、こんなに なっちゃうのかも しれません。おじいちゃんのおじいちゃんは、たくさん こまったのでしょう。

『ぼくと おんなじだね。』
『うん、うん。』

『おじいちゃんのおじいちゃんも、みんなの あたまに へびを まきつけたのかな。』
『うん、うん。』

『そして、おじいちゃんの おじいちゃんの その また おじいちゃんから、こどもの ころの はなしを きいたのかな。』
『うん、うん。』

『おじいちゃんのおじいちゃんの その また おじいちゃんも、この しまで、みんなと のんびり くらして たのかな。』
『うん、うん。』

『それでも なにか、こまった ことも あったんだろうね。』
『うん、うん。』

『おんなじだね。』
『うん、うん。』

『ぼくだけじゃ ないんだね。』
『うん、うん。』

きっと みんな、こんなことが あったり、

あんな ことが あったり、

こーんなに なったり しても、

みんなと まいにち くらして きたんだね。

その ひの ゆうがた、

ぼくは、おじいちゃんに きいて みました。

『しっぽに ついてた たこは、どう なったの。』

おじいちゃんは、すこし かんがえてから、『わすれちゃった。』と いいました。

わすれちゃった。

そう いえば、あんなに ごうじょうだった かにが いなく なったのに きが ついたのも、

かにの ことを わすれた ころでした。

おしまい。