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朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

前号のブログで朝鮮の銀河3号発射直前にアメリカの高位官吏がボーイング737特別飛行機で代表団を引き連れ、極秘に平壌を訪問したことについて報道した「リセットKBS」のニュースを紹介しましたが、それに誰が乗っており、目的は何だったのかについては謎のままでした。ところがその後在米のハン・ホソク統一研究所所長が電子新聞チャジュ(自主)民報への寄稿文で自身の解明を試みており、その解明が事実に極めて近いと思われるので,それを紹介することにします。


彼によるとこの秘密訪問は日韓両政府にも秘密とされ、日本側が先に察知して韓国側に知らせたのでは無く、韓国側が日本の民間航空総局(JCAB)傘下の航空交通管理センター(ATMC)に問い合わせたところ日本側もまったく知らず、西太平洋最大の米日合同空軍基地である三沢空軍基地に問い合わせたところ三沢空軍基地が米国防部に緊急に照会し、その航空機が米軍所属のボーイング747特別機であることが分かったというのです。日韓共にまったく知らされずに秘密裏に事が運ばれていたと言うことです。


ところでこの飛行機にいったい誰が搭乗していたのでしょうか。「リセットKBS」によれば「米政府高位関係者を含む代表団」だったと言う事ですが、ハン氏によれば米空軍の特別機は三種類があり、大統領専用機のボーイング747を改造した空軍1号機(VC25)と副大統領、国務長官、国防長官、連邦上院議長、連邦下院議長らが乗る母音具757を改造した空軍2号機(C32),それに大統領特使などが乗るボーイング737の改造機だと言います。そこでハン氏は平壌に飛んだのは大統領特使一行だと断定しています。


そしてその特使は国長官のすぐ下のウェンディー・シャーマン政務次官である可能性が極めて高いと判断しています。そこで一体何の目的で米大統領が日韓に秘密で特使を平壌に派遣したのかということですが、ハン氏は大統領の親書を朝鮮の金正恩第1委員長に送ったと言うのです。そして今の状況を考えた場合、特使派遣の決定が出るまでに時間がかかったであろうし、3月末には特使派遣を決定しただろうとみています。ところで「リセットKBS」によれば特使代表団はその日のうちに平壌を発っていうことから、会談のための特使では無いと考えられ、やはり親書の伝達が目的であったとしています。


ではなぜ大統領が親書を送ったのかという問題が残ります。時期的に見て極めて緊急な問題があったのでしょう。


その問題と関連してハン氏は2月2日の朝鮮国防委員会政策局が報下「公開質問状」に注目します。特にそのなかの「朝鮮半島の緊張を緩和し平和体制を樹立するために」「朝米高位級軍部接触」が始まったとしている事に注目します。朝鮮半島の平和体制を築くと言うことはとりもなおさず平和協定を締結すると言うことですが,そのためにも朝米最高軍幹部の接触は必要です。朝鮮が高位級軍幹部接触を要求するのは当然です。そこでハン氏はオバマ大統領の親書の内容は朝米国防長官会議(朝鮮側-人民武力部長、米側―国防長官)に同意するという内容では無かったのかと推測します。


しかし、米大統領がなぜ急に特使を送ったのかという疑問は解けません。これと関連してハン氏は朝鮮が世界最大の大陸間弾道ミサイルを開発し実践配備していることを知ったためだと指摘し、4月2日の朝鮮日報の記事を紹介しています。その記事によると米軍偵察衛星が平壌近郊のサンウム洞のミサイル工場で従前のテポドン2号よりも規模の大きい全長40㍍にもなる大陸間弾道ミサイルを捉えたというものです。しかもこれが衛星運搬ロケットでは無いことが確かだというのです。問題はこの弾道ミサイルが想像を絶する程に大型だと言うことです。


太陽節の軍事閲兵式で初めて姿を見せた大陸間弾道ミサイル「ファソン(火星)13号」の全長が20.7㍍程であったのと比べると,これよりも倍近い超大型ミサイルだと言うことです。これまで世界最大の弾道ミサイルはソ連(旧)のR7大陸間弾道ミサイルでしたが、その全長は34㍍でその次が中国の「東風5」で全長32.6㍍、三番目がアメリカの「タイタン2号」で全長は31.4㍍であることを見てもアメリカが全長40㍍を超える朝鮮の大陸間弾道ミサイルの映像を見て度肝もを抜かれたと言ってもいでしょう。


朝鮮問題深掘りすると? 閲兵式で登場した火星13号


ハン氏はここまで言ってはいませんが、管理人が推測するに、これほどの大型ミサイルであれば,その推進力はとてつもなく、弾頭も多弾頭だと思われます。当然「火星13号」のように移動式にするには無理があり(山岳の多い朝鮮の地形を見ても全長40㍍を超える車両が曲がりくねった道路を移動するのは事実上不可能です。そこで弾道ミサイルは垂直型地下格納容器(サイロ)に収めたものだと考えられます。


そこでなぜ地下垂直サイロに収まっているはずのこの新型の大型弾道ミサイルがアメリカの偵察衛星に撮られたのかと言う問題が生じます。ハン氏は米軍事偵察衛星が四六時中腸炎を監視していることは朝鮮も十分に承知していると言うことから、朝鮮側がわざと見せたのだと指摘します。


そしてこの新型弾道ミサイルを軍事パレードの時に「火星13号」とともに登場させると脅したのだと言うのです。仮にそうなったらアメリカは大打撃を受ける事になります。オバマ政権の「悪意ある待ちの戦略」「戦略的忍耐」に基づいてオバマ大統領が「国際的制裁網」によって「朝鮮は急速に疲弊し根を上げる」という、もはや神話に近い妄想を持ち続けている間に、朝鮮が揺るがぬミサイル強国に変貌した現実が世界に明白となり、朝鮮がアメリカに直接打撃を与える事の出来る軍事強国である現実を認めざるを得なくなるからです。


そしてそれはオバマ大統領の再選を絶望的なものにするでしょう。ネオコンをはじめとする共和党右派は朝鮮問題で集中的にオバマ陣営を攻撃することは目に見えています。しかもその程度を越えて、ネオコンや共和党右派にさえも彼らの強行政策が結局は朝鮮を揺るがぬ軍事大国へと促したことで、ヨーロッパ列強の非難を免れなくなるでしょう。アメリカの朝鮮政策の総破綻です。もちろんそれはアメリカの対朝鮮、対韓国政策の根本的練り直しを迫るでしょうし、仮に朝鮮と平和条約を結となってもそれは朝鮮に力で強いられた敗北だということになってしまいます。


3月29日の米下院歳出委員会予算聴聞会が開かれ、サムエル・ロックリア米太平洋軍司令官、ジェームズ・シャーマン駐韓米軍司令官が出席し、同じ日にひらかれた米上院軍事委員会任准聴聞会にジョームズ・ミラー米国防部政策担当次官(まだ指名者の段階)ピーター・ラボイ国防部アジア太平洋担当次官補(当時は代行)が出席しましたが,そこで太平洋軍司令官は「北の状況が最も切迫した安保懸案となった」と発言しています。


しかし、彼はそれが衛星発射問題だと特定しませんでした。その日は銀河3号が発射場に移動した日でした。ジェームズ・ミラー次官は「外交的解決策を探すべきだ」とのべましたが、やはり銀河3号発射には触れないまま「北朝鮮問題」と言う包括的な表現を使い朝米直接協商の必要性に言及しています。銀河3号の発射について触れたのはかれらよりワンランク低い駐韓米軍司令官トラボイ次官補だけでした。
それでは太平洋軍司令官が「最も切迫した安保懸案となった」という「北の状況」とはいったい何を指して言っているのでしょうか。


ハン氏はそれこそまさに全長40㍍を超える新型大陸間弾道ミサイルのことを言っているのだというのです。


このハン氏の分析が当たっているとしたらもはや朝鮮の弾道ミサイルの開発は終局に入っており、かつ核開発も小型核爆弾の開発に成功したという情報もあって、核攻撃能力は止めようのない段階に入ったと見た方が良さそうです。もはや解決方法は協商によるディールしかないという事です。朝米対決もいよいよ終局に入ろうとしているようです。


ハン氏の分析はhttp://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=98537 (ハングルです)

あくまでも参考にしてください。

重要なニュースです。日本ではいっさい報道されていません。スト中のKBS新労組員らが立ち上げた「リセットKBS」が17日に報道した内容です。


「リセットKBS」によれば「先月7日朝6時40分にグアムを発った米国防部所属のボーイング737が韓国の領空に接近する。国土省傘下の航空管制センターはこの航空機の目的地が平壌のスナン飛行場だという事実を日本側から通報される。1時間後航空管制センターは北側に韓政権を引き渡し,航空機は8時頃平壌に到着する」


ところがこの過程で空軍の中央防災統制所(MCRC)はこの航空機の目的地など」について事前に通報を受けておらず、「非常」がかかり、該当の航空機が韓国上空をしばらく旋回しなければならなかったと言います.空軍はしばらく混乱した後に、国土海洋省傘下の航空管制センターに問い合わせ、目的地が平壌であることを把握することが出来たと言います。また軍の報告を受けた青瓦台危機管理センターの高位関係者が,航空機に誰が搭乗しているのかについて駐韓米大使館に問い合わせたが、「知らぬ」という答えだけが返ってきたとも言います。


「リセットKBSニュース」は、「米国代表団の平壌行きは外交的目的ではなく情報次元の訪問だった」と言うのが政府高位関係者の説明だと言います。しかしこの媒体は「光明星3号の発射や核問題が核心的主題であったことはあきらかだ」とし、「北側の要請により代表団が発射準備の状況を直接確認した可能性も排除することは出来ない」としています。


この報道がどうやら事実であるようです。朝鮮の銀河3号発射強行後の国連安保理議長声明が出るまでのスムーズな進展や,それを受けた米側のお茶を濁すようなはっきりとしない対応、その後の目立った外交攻勢が見られないことなど,優柔不断な米国の対応が理解しにくかったのですが、その理由が分ったような気がします。


米代表団の隠密裏な平壌訪問を通じてアメリカは銀河3号の発射が、自国が決めつけていたような長距離弾道弾ミサイル実験では無く,朝鮮の言うように平和的宇宙開発のための衛星運搬のためだったことを認めざるをえなかったと言う事でしょう。もちろんそれまでの過程を考えると体面上、おいそれと事実を公表するわけにもいかず、表面上は衛星発射を妨害する姿勢を取りながらも朝鮮側になんらかの妥協案を提示したのではないでしょうか。


ペク・ハクスン世宗研究所北朝鮮研究センター長はこれについて、「誰が行こうと目的は技術的な事項では無く、政治的正確の問題を論議するためであったろう」と語っています。


であれば金正恩第1委員長の強行発射命令はこれら全ての動きを分析した上でのことであったと見るべきであり、その後の展開も予想した上での正確な判断であったと考えることが出来ます。


ところでこの事実は、果たして米韓両国がこの重大問題でどれだけ緊密に協議したのか、そして韓国軍当局がこのような事実をまったく知らないまま北側に対して傲慢無礼な態度を取ったのかと言う疑問を生んでいます。この報道と関連して韓国国防部の代弁人は18日「その内容はまったく分からない」と否認しなかったが、「米国大使館に問い合わせた方が良いみたいだ」「外交問題であり、アメリカとの問題であり、北との問題であるが、国防部が関与する問題ではないようだ」と無責任にも避けようとしています。


領空を他国の飛行機が、それも誰が乗っており,何処に向かっているのか(どの飛行経路を取るのか)などまったく知らない外国機が領空を飛んでいるのにそれを感知できなかったとしたら,そんな空軍は不必要です。もっとも知ったとしても止めることも出来ませんが。

しかもアメリカは銀河3号発射問題を巡って米日韓3国の緊密な連携を執拗に強調してきたし,特に2MBがそうでした。しかし、日韓とも米側の秘密行動をどうすることも出来ずに、ただ結果だけを固唾を呑んで待つという下僕のような醜態をまたもさらしたと言う事でしょうか。

Dr. Paul Craig Roberts氏がpaulcraigroberts.comに載せた記事の全文で、ブログ「マスコミに載らない海外記事」4月12日号に掲載されたものです。アメリカの言う人権、民主主義とはいったい何のことなのかをよく示してくれる文です。参考にして下さい。


アメリカ政府は、法治を実践し、人権を尊重し、国民に自由と民主主義をもたらすふりをしている。ワシントンの見せかけと、容赦ない現実とは全く正反対だ。


アメリカ政府当局は、非民主的で、人権を侵害しているといって日常的に他国政府を批判する。ところが、爆弾やミサイルや無人機を主権国家に送り込んで、一般市民を殺害する国は、イスラエルを除いて、この国以外にない。アブグレイブ、グアンタナモ拷問監獄と、CIAの秘密引渡しサイトが、人権に対するブッシュ/オバマ政権の貢献だ。


ワシントンは自国民の人権を侵害している。ワシントンはアメリカ憲法で保障されている市民的自由を停止し、法の適正手続き無しで、アメリカ国民を無期限に拘留すると宣言した。オバマ大統領は、彼の自由裁量で、アメリカにとって脅威と彼が見なすアメリカ国民を殺害できると宣言した。


議会はこうしたとんでもない声明に対し、弾劾手続きで反撃しなかった。連邦裁判所、法学大学院や、弁護士会からの批判も皆無だった。国土安全保障省は"売女マスコミ"になるのを拒むジャーナリストを攻撃しているとグレン・グリーンワルドは報じており、我々は穏やかなウォール街占拠抗議行動参加者に対する警察の残虐な弾圧の映像を目にしている。クリス・フロイドは、アメリカを支配する拷問嗜好変質者について語っている。


今やワシントンは、世界中できるだけ多くの国々に、国際条約や国際法を捨て去るように強制している。ワシントンはワシントンの言葉だけが国際法だという布告を発したのだ。ワシントンの許し赦免を得た国を除き、イランと貿易したり、イラン石油を購入したりするあらゆる国がアメリカにより制裁されるのだ。そうした国々はアメリカ市場から排除され、そうした国々の銀行制度は国際支払い処理をする銀行を利用できなくなる。言い換えれば、ワシントンの“対イラン経済制裁”はイランに適用されるのみならず、ワシントンに逆らい、イラン石油でエネルギー需要を満たすような国々にも適用されるのだ。


クリスチャン・サイエンス・モニターによれば、ワシントンは、これまでの所、日本と欧州連合の10ヶ国に対して、イラン石油購入を継続する特権を認めた。イランがワシントンが据えつけた傀儡、イランのシャーを30年以上昔に打倒して以来ずっと継続している復讐、ワシントンの対イラン復讐に応じるため、各国の経済を停止させるという要求は、さすがにワシントンがやりおおせるものを越えていた。ワシントンは、日本がイランからの通常の石油輸入の78-85%を輸入し続けることを認めた。


ところがワシントンの許しは恣意的だ。中国、インド、トルコや、韓国にはこうした許しは与えられていない。インドと中国はイラン石油の最大の輸入国で、トルコと韓国は輸入の上位十ヶ国よ入っている。ワシントンの対イラン報復のあり得る意図しない結果を検討する前に、ワシントンの対イラン主張が何なのか見てみよう。


実のところ、ワシントンに論拠は皆無だ。単なる“大量破壊兵器”の嘘の繰り返しに他ならない。イランはイスラエルと違って、核不拡散条約に署名している。この条約に署名した全ての国に原子力発電の権利がある。イランは核兵器開発をして、条約に違反しているとワシントンは主張している。ワシントンの主張には、いかなる証拠もない。イランには2003年以降核兵器計画はないと、ワシントン自身の16の諜報機関が異口同音に言っている。更に国際原子力機関の兵器査察官がイランに駐在しており、エネルギー計画用核物質の、兵器計画用転用はないと一貫して報告している。


ごく稀に、ワシントンがこの事実を思い出すと、ワシントンは違う主張をする。核不拡散条約により、イランには権利があるにも係わらず、イランは将来どこかの時点で、原爆を製造することができるほど色々学んでしまうだろうから、イランは原子力発電をしてはならないのだと、ワシントンは主張する。世界覇権国が一方的に、イランがある日核兵器製造を決断しするかも知れない可能性は余りに危険なリスクだと決めたのだ。ワシントンは言う。将来イラン政府が核兵器を製造することを懸念するようになるよりは、石油価格を押し上げ、世界経済を混乱させ、国際法に違反し、大戦争の危険を冒す方が良い。これは、英米の法制度によって否定されている、法律に対するジェレミー・ベンサム流の専制的手法だ。


ワシントンの立場を、良い判断の一つとして描き出すのは困難だ。しかもワシントンは、イラン核兵器の可能性にワシントンが見ている膨大なリスクを決して説明していない。ソ連の核兵器やら、現在のアメリカ、ロシア、中国、イスラエル、パキスタン、インドや、北朝鮮の核兵器のリスクよりも、一体なぜ、このリスクがそれほど大きいのだろう?イランは比較的小国だ。ワシントンのような世界覇権の野望を持ってはいない。ワシントンと違って、イランは半ダースの国々と戦争状態にあるわけではない。一体なぜ、ワシントンは、可能性が未知な、あり得る将来の展開を巡って、法を尊重する国としてのアメリカの評判を破壊し、大戦争や経済混乱の危険を冒すのだろう?

この疑問に対する良い答えは無い。対イラン主張の証拠の欠如を、ワシントンとイスラエルは、イランを悪魔化することですり替えている。現在のイラン大統領は、イスラエルを地上から消し去るつもりだという嘘が真実として確立されている。


アメリカとイスラエルのプロパガンダによって、イラン大統領の意図とされているものは、イラン大統領の発言のとんでもない誤訳であることを多くの言語専門家達が証明しているにもかかわらず、この嘘はプロパガンダとして成功している。またもやワシントンと、その売女マスコミにとって、事実は重要ではないのだ。計略こそ重要であり、計略を推進するためにはあらゆる嘘が利用される。


ワシントンの経済制裁は、イランを痛めつけるよりも、ワシントンの方を一層ひどく痛めつける結果となりかねない。

もしインド、中国、トルコや韓国がワシントンの脅しに屈しなかったら、ワシントンは一体何をするつもりだろう?

最近のニュース報道によれば、インドと中国は、ワシントンの対イラン報復を支援するために不便な目に会ったり、経済発展を損ねたりするつもりはない。中国の急速な勃興を目の当たりにし、北朝鮮がアメリカによる攻撃から免れる様を観察している間に、あとどれほどの期間、ワシントンの傀儡国家であり続けようかと韓国も思案しているかも知れない。文民で多少イスラム教主義的な政府が、アメリカが支配するトルコ軍から、何とか自立しているトルコは、ワシントンとNATOが、トルコの同類諸国に対しワシントンの代理人を務める“奉仕係”を、トルコにさせていることを、次第に自覚し始めているように見える。トルコ政府はワシントンの手先であることの利益を再評価しつつあるようだ。


トルコや韓国の決断は、本質的に、こうした国々が独立国家になるか、それともワシントン帝国内に組み込まれるのかという決断なのだ。

イランの独立に対するアメリカ-イスラエル攻撃の成功はインドと中国次第だ。


もしインドと中国が、ワシントンに肘鉄を食らわせたら、ワシントンは一体何ができるだろう?全く何もない。途方もない思い上がりに溺れているワシントンが、インドと中国に対する経済制裁を宣言したらどうなるだろう?

ウォル・マートの棚は空となり、アメリカ最大の小売業者がホワイト・ハウスのドアをハンマーで叩くことになるだろう。


アメリカ市場向けの製造を中国に海外移転しているアップル・コンピューターや無数の有力アメリカ企業は自分達の儲けが消滅する目にあうのだ。ウオール街の仲間達と一緒になって、これら有力大企業が、赤軍どころではない勢力でホワイト・ハウスの馬鹿者に襲いかかるだろう。中国の貿易黒字は、アメリカの財務省証券へと流れ込むのを停止するだろう。インドに外注している、アメリカ中の銀行、クレジット・カード会社の事務処理業務や電気・ガス・水道等の公益事業の顧客サービス部門は機能を停止するだろう。


アメリカでは無秩序が支配するだろう。それがこの帝国が育て上げたグローバリズム帝国への褒美だ。

ホワイト・ハウスの能無しや、彼にもっと戦争をやれとけしかけるネオコンとイスラエルの戦争屋どもは、アメリカがもはや独立国家ではないことを理解できていない。アメリカは、海外外注をする大企業と、そうした大企業がアメリカ市場向けの製造拠点を置いている諸外国に所有されているのだ。中国やインド (そして韓国)に対する経済制裁は、アメリカ企業に対する経済制裁を意味している。トルコに対する経済制裁は、NATO同盟諸国に対する経済制裁を意味している。


中国、インド、韓国やトルコは、自分達が勝ち札を持っていることを分かっているだろうか?アメリカ帝国に肘鉄を食らわせて、破滅させることができるのが分かっているのだろうか、それとも彼等もヨーロッパや世界の他の国々のように、強力なアメリカには抵抗などできないのだと洗脳されているのだろうか?


中国とインドは、アメリカに対して彼等の力を行使するだろうか、それともこの二国はイラン石油を購入し続けながら、この問題を誤魔化し、ワシントンの顔を立てる姿勢をとるのだろうか?


この疑問に対する答え。両国以外の国々に対するワシントンの独裁的権力を、中国とインドが認めるふりをすることの見返りとして、中国とインドに対し、例えば南シナ海からのアメリカ退去のような秘密譲歩を、ワシントンがどれだけするかにかかっている。


中国とインドに対して譲歩しなければ、ワシントンは自らの権力が消滅して行くのを見守りながら無視される可能性が高い。工業製品を生産できず、かわりに債務証書とお札が印刷できるだけの国家は強力な国家ではない。言い伝えの男の子が“王様は裸だ”と言うまで、もったいぶって歩き回っていられるだけの、用済みで取るに足りない役立たずだ。


記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/04/12/washington-leads-world-into-lawlessness


Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラム www.paulcraigroberts.org は世界中の支持者が読んでいる。