福島原発事故、人命と引き替えの利益追求がもたらした災い 東日本大震災③ | 朝鮮問題深掘りすると?

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福島第1原発と関連してショッキングな情報が入ってきました。福島第1原子力発電所の原子炉は6号基まですべてアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社のマーク1モデルで,このモデルは導入当時から爆発の危険性が高く、原発の建設を中断すべきだとの勧告を受けながらも強行したという指摘が、14日、アメリカの核監視団体である核情報サービス(NIRS)が暴露したのです。


以下、これを伝えている韓国のインターネット新聞「プレシアン」の記事(3月15日)を要約してお伝えします。


イギリスのガーディアンなどがNIRSの発表を引用して報道したのによればとくに福島第1原発の1~5号機は1971年から1979年に建設されたもので,マーク1モデルの問題点を改善する以前の初期のモデルだ。


GEはアメリカで沸騰型軽水炉(BWR)の独占的製作会社である。このモデルの最大の問題は経費節約のために大型コンクリート格納施設の代わりに総体的に規模の小さい格納容器を採択した点だ。衝撃的なのはすでに25年前の1986年に地震とは関係なくマーク1モデルが重大な事故を起こす確率が90%に達するという警告があったという点である。


アメリカ原子力規制委員会(NRC)の安全担当責任官僚であるヘラルド・デンタンは当時原発産業関係者らと会った席で、「マーク1モデルは圧力制御装置を備えているものの内圧能力が小さく圧力制御に失敗する確率が90%に達する」と警告していたと言うことだ。


NIRSはすでに1996年にこのような内容を含んだ報告書を出しており、その内容は地震がなくても、現在日本で起きている原電発事故が発生するのは「時間の問題」だったということを教えてくれる。


この報告によればGEのマーク1型モデルの原子炉では、いったん冷却システム事故が発生した場合、手のつけようがない。そのためにこのモデルが生まれるや1972年アメリカ原子力委員会(AEC)の安全担当官であるスティーブン・ハヌア博士は、圧力制御方式の沸騰型軽水炉を使用した原電の建設は中断されねばならないと勧告した。GEの核技術者3人もこの勧告が出た後にGEモデルは深刻な欠陥があることを認め退社した。

アメリカ原子力規制委員会(NRC)も1985年に分析報告書を通じて「マーク1モデルは事故発生から数時間後には炉心溶解につながる可能性が高い」と警告した。


このように問題のモデルは核専門からとアメリカ核規制委員会関係者らから爆発の可能性が高く、圧力制御機能が故障しやすい構造だと数十年前から指摘されていたのである。


NIRSによればこのモデルはいったん冷却システムが故障すれば原電運用業体は格納容器から放射性蒸気を流出する以外にない。そうしなければ炉心溶解が進み格納容器が破裂しながら大量の放射性物質が放出される他ないためである。

福島第1原電1,3号機はすでに放射性蒸気流出のため建物が爆発し,2号機は格納容器が損傷し炉心溶解が進む極めて深刻な状態を見せている理由がここにある。


問題はこうした状況の進展を防げなかったのは地震のためと言うよりも,マーク1モデル自体が最初から安全性が低かったと言うことにある。こうした事実は、日本政府や一部の御用学者らが福島第1原発は「沸騰型軽水炉」であり、多層構造になっているので放射能の大量流出の可能性は極めて希薄だと言う主張と相反する。


また日本の原発事故を見守ってきたアメリカはどの原発国よりも大騒ぎである。現在アメリカで稼働中の110の原子炉のうち実に36の原子炉が福島第1原発と同じGEモデルであるためだ。


14日アメリカの政策研究所(IPS)の核専門家ロバート・アルバレズとアメリカエネルギー環境研究所(IEER)のアジュン・マキザニ博士は記者会見で、「福島第1原発で冷却システムと格納容器に損傷が起き、核燃料棒が過熱し燃えることにでもなればとんでもない量の放射線を振りまくこともある」と警告している。


この内容に間違いがなければ、福島第1原発の事故は,津波による電力供給の中断によって冷却水を注入することができなくなったために起きたと言う以前に、地震や津波がなくてもいずれこうした事態が起きる可能性が90%あるという欠陥を持っていたと言うことです。しかもそれは数十年前から指摘されてきたにもかかわらず、当時の自民党政府と御用科学者らはそれをひた隠しにしてきたという事実は重大です。


これを機会に日本の原子力政策を根本から再検討し、少なくとも現存するすべての原子炉の安全性を再度綿密に再検討する必要があるでしょう。また、これほど重大な事故を起こしたのですからGEの「マーク1モデル」の採用を決定した当時の閣僚や政治家、官僚、それを支持した御用科学者らに対する法的措置が取られるべきではないでしょうか。そうしたことがない限り、政治家や官僚、科学者らの無責任な態度が是正されることはないと思うのですが。


マスメディアもNIRSが暴露した内容やガーディアンの記事について把握しているはずです。もし把握していないとしたらそれは怠慢であり,把握しながら報道しないのは言論の義務を果たしていないと言うことになります。言論の自由について言う前に、自己の義務を果たすことが先ではないでしょうか。今のマスメディアに言論の自由を主張する資格が果たしてあるのでしょうか。


それにしても人命をないがしろにした経済建設とはいったい何なのでしょうか。多少の不便があっても安心を得ることの方がより大切でしょう。やはり人間を中心に据えた経済について考える必要があると思います。