「天安艦」ミステリー 「400ページ報告書」はあった? | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

23日、韓国国会・国防委員会では「北韓の天安艦に対する軍事的挑発糾弾および対応措置促求決議案」なるものを強行通過させました。この日、同決議案は採決の予定が無く、まったくの抜き打ちで「未だに多くの疑惑が残っている」としする民主党議員らの採決反対を力で押し切った強行採決でした。同決議案は28日の本会議に提出される予定ですが、仮に本会議でも採決されるとしたら、それはまさに「韓半島戦争危機をいっそう拡大する結果となって返ってくる」(民主労働党議員)という、いっそう重大な局面をもたらすことになるでしょう。


またこの日、放送通信審議委員会が、「天安艦は米軍潜水艦によって沈没させられた」「天安艦調査報告発表は政府の捏造」だと書いたインターネット書き込みの削除を要求しています。この日同委員会は「天安艦関連インターネット書き込み案件」を審議し、「事実を歪曲したり無理な憶測または過度な推測性情報を提供し不必要な疑惑を作り上げたり利用者の合理的判断を阻害する社会的混乱を生み出す」として、これらの書き込みを取り締まるというのです。


わけても北朝鮮の主張に同調したり、その主張をそのまま引用したりした86年については国家保安法上の不法情報として削除させることにしたと言います。完全な情報統制でしょう。このやり方であれば日本では全週刊誌が取締りの対象になり、全てのTV報道番組が取り調べの対象になってしまうでしょう。


ところがこうした取締り対象になる情報の氾濫と言う状況は、韓国の李明博政権自らが作り上げたものでもあります。何よりも政権自身が正確な情報を流さず、「北の犯行」だと結論すべくでっち上げたり、捏造して流す情報がほとんどです。国民が疑いを持つ他ないのです。そして国民はそのような疑いを明確にしようとする努力をしているのです。そうした国民の努力を再び「法」の名で押さえつけようとしているのですから、まさに何をやいわんや状態に陥っているわけです。


事実当局、特に当該者である国防部は嘘をつきっぱなしでした。つい最近も嘘が一つバレました。前号で紹介した「400ページの報告書」と関連したものです。この報告書は韓国当局がなんども「ない」と確認してきたものです。


この問題と関連して管理人は前号で「ところでその報告書が400ページで無く300あるいは350ページの可能性もあります。であれば『400ページの報告書は無い』という発言はまんざら嘘にはならないと言うことになります。」と皮肉を込めて書いたのですが、まさにそうしたことが展開されたのです。


韓国の24日付けネイル(明日)新聞が、251ページの天安艦報告書があるということが確認されたと伝えています。アメリカ大使館は韓国国防部から251ページ分量の報告書を受取ったと認めたと言います。特に国防部が米大使館に対し、報告書の存在如何については絶対に外部に漏らさないように要請されたとの事実も確認されました。


外交通商部も、軍民合同調査団も、国防部も、チョン・ウンチャン総理も知らないと言い続けてきた報告書です。表題は<Civilian Military Joint Investigation Report on The Sinking of R.O.K Ship Cheonan>。
国民に一切知らせず、秘密裏にアメリカに手渡した「報告書」についてないと言い続けてきたわけですから、いったい韓国と言う国はアメリカの統制を受ける、アメリカの52番目の州だということを、アメリカの眼前で自認したかったようです。


国民には徹底して情報を統制してきた政府が秘密裏にアメリカのためにせっせと詳細報告を作成し、手渡していたというわけです。


アメリカ大使館関係者に寄ればこの報告書は軍民合同調査団から手渡されたと言います。軍民合同調査団も信用できないと言うことになるでしょう。


しかしまだ疑問は残ります。はたしてこの報告書はクリントン国務長官の言った「400ページの」報告書と同じものなのかと言う点です。あまりにもページ分量が違いすぎます。150ページも差があるのですから掴んだだけでもその違いが判ります。間違えようがありません。では別のものなのか?軍民合同調査団の報告以外にアメリカが独自に作成した報告書が存在するのかもしれません。これもまたミステリーです。


もう一つ紹介します。合同調査団が国会天安艦特別委員会に提出した資料に寄れば、調査団は天安艦切断面周辺及び爆発原点周辺から爆薬成分が検出されたといいます。ところが「1番魚雷」からは爆薬成分がまったく検出されなかったのです。調査団が特別委に提出した資料では「爆薬分析のために証拠物であるプロペラ推進部分から白い物質2点を採集、分析した結果爆薬成分は検出されなかった」と明かしています。

この調査団資料は「決定的証拠」に対する「決定的疑問」を生んでいます。調査団の論理は天安艦切断面周辺から爆薬成分が発見され、その周辺から「1番」と書かれた魚雷の残骸が発見されたのであるから「1番魚雷」が「犯人」だというものですが、それは殺人の犯行現場周辺で血痕が発見され、その周辺に包丁が発見されたのであるからその包丁が凶器だといっているのと同じです。しかもその包丁からは如何なる血痕も発見されなかったのにです。裁判でこの包丁が凶器だと認定されるのは無理な話でしょう。


しかし調査団はそのまったく無理な話をでっち上げたのですから、つじつまのあわない事がいっきに吹き出ているわけです。そこでこのつじつまを合わせようと持ち出したのが魚雷のプロペラに付着したという例のアルミニウム・パウダーでした。しかしこのアルミニウム・パウダーは逆に爆発は起きなかったことを立証するだけだと米国の学者によって科学的に反駁されました。


「天安艦」事件を追い続けているととても虚しくなります。嘘で固められたでっち上げが平気で国連に持ち込まれる世界政治のありかた、「天安艦」事件の先行きは日本の安全を大きく左右する可能性があるにも拘らず、無責任な報道に明け暮れ、疑惑を究明し嘘を暴こうともしない日本のマスゴミの態度(イラクを巡るブッシュ・アメリカの大嘘に騙された教訓などまったくないようです)、その日本のマスゴミに踊らされていることを自覚できないでいる多くの日本人、「北朝鮮悪役論」にはすぐに飛びつくのに「北朝鮮善役論」には最初から疑いの目を向けるマスゴミとその影響を受けた日本市民の偏向姿勢などなど、問題が山積していることを思い知らされるからです。


それでも間違ったことは指摘していく必要があるでしょう。虚しさを乗り越えてブログを続けていくつもりです。