北朝鮮17年ぶりのデノミをどう見る?(下) | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

⑥ 現在北朝鮮の全般的経済は確固とした上昇軌道に乗っており、非正常なインフレを根絶させるだけの物質的土台が形成されている。国内で生産される商品の、より多くの部分が国営企業のネットワークの中で流通するなど、国家の経済能力が強化されるにつれて市場の役割は漸次縮小していくだろう。


⑦ 今回の措置は電撃的に行われたので、一部無秩序な現象が現れるだろうことは予期しており、事前に措置が取られているので、大きな混乱は予想されない。公共通勤手段も正常に運営されている。


⑧ すでに市民らは正常な生活に戻っている。商店も新価格が3日には決まったので、4日からは正常運営に入っている。


⑨ 時期的には全般的経済が上昇気流に乗っており、それが「150日間戦闘」の成功裏の遂行と、続いて、「100日戦闘」へと繋がる時期に実施されており、確固たる経済的土台が築かれたという判断に基づいている。当局者はインタビューで「非正常な通貨膨張を根絶させることのできる物質的土台ができた」と語っている。


⑩ 通貨のデザインや質も、新たな「先軍時代」の時代精神を表すにふさわしいものになる必要もあった。


⑪ 今後漸次、外貨による直接の商品購入ができなくなる。在日コリアンなどが良く使う商店や食堂でも外貨は使えず、必ず通貨交換所で朝鮮通貨と交換した上で使うようになる。「外貨ショップ」の存続についてはわからない。


以上の内容から明らかなことは通貨切り替えは

第1に、インフレ要因の根絶を目指したものであること、


第2に、労働者、農民、事務員など、社会の利益のために誠実に働いている者の利益を、様々な方面で保証する形で行われた(つまり「市場」とつながった個人的商業行為は、多少なりの打撃を受けることが予想される)、


第3に、切り替え限度額についてはまったく言及されていない(確認できていない)、したがって「限度額を超える現金は事実上、国に没収され、『紙くず』と化す」(産経新聞水沼啓子記者)ということは確認できていない。即断すべきではないだろう。逆に一人当たり新券で500ウォン(旧券で5万ウォン)を奨励金として一律に与えられているとの情報もある。


第4に、今回の措置によって、一方では、「市場」での物価が一気に低下することで、歴史的事情により補助的手段として必要とされてきた「市場」(非公式な非社会主義的商業を含む)の機能は漸次縮小され、他方では上昇気流に乗った全般的な経済活性化により、計画的な供給流通システムに従って消費財など生産物が流通することになり、 社会主義経済管理の原則と秩序が強化されていく、


第5に、非正常な通貨膨張を根絶させることのできる経済的・物質的土台ができた。社会主義経済における「市場」の補助的役割は漸次縮小される方向にある。生産が拡大し消費物資の供給が十分に行われないようではデノミの意味は無い。消費物資の十分な国家的供給の自信の裏付けがあって初めて意味を持つ。政府はその自信を持ったのだろう。

第6に、国家が把握できない「たんす預金」などを吸収(銀行預金の奨励:預金に対する交換比率は10:1と優遇、3.6~4.5%の利子保障)することで、貨幣の流通をより正確に把握することによって、より科学的な土台の上で通貨政策を行える基本的前提を整える、


以上のように理解できるものと思われます。もちろんあくまでも現在公開されている情報に基づいての判断ですが。


スキャンダル好きな日本のメディアの最大の関心は、最初に紹介した久保田記者の関心事に代表されるでしょう。「電撃的な金融改革にピョンヤン市民はパニック状態に陥り、闇市場には元やドルに変える人々が殺到し、元やドルが暴騰している」などとあたかもその場にいたかのような錯覚を与える無責任で、センセーショナルな表現をつかう著名な北朝鮮ウォッチャーもいます。


だが、そうした情報は無限なほどにある人々の意見の中から、記者が、あるいは情報の買取者にとって「必要とされる意見」だけを意図的に収集して、それを「情報」として流しただけのものでしょう。そうして意図的に集められた「情報」をあたかも「客観的情報」として流すのは問題ではないでしょうか?


ただ、こうした「情報操作」が人々の好奇心を刺激し、したがって関心を呼びやすく、受け入れやすくし、知らず知らずの内に頭の中に刷り込まれていくということを忘れないようにすることが大事だと思われます。大切なのは正確な情報と、それに基づいた正確な分析と判断だと思われます。