米教授が教える北朝鮮外交の見方(下)  | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国政府は韓米軍事訓練が始まる直前の微妙な時点である12日、2件の対北実務会談を提案した。
ユ・ジョンハ大韓赤十字社総裁は、チャン・ジェオン朝鮮赤十字社中央委員長に送った電話通知文で、「離散家族の再会を始めとする人道的問題を協議するための接触を16日金剛山で開催しよう」と提案したし、チョン・ジョンファン国土海洋部長官はパン・ソンナム北朝鮮国土環境保護相(長官)に電話通知文を送り、「14日、開城経協協議事務所で会談しよう」と提案した。


過去であれば韓米軍事訓練に敏感な反応を見せ、あらゆる対話と接触を中断したであろう北が今回は実務会談に同意した。温家宝総理を通じては、アメリカとの関係改善だけではなく、「日本、韓国とも(関係を)改善しようと思う」との対話メッセージを伝達したりもした。


北の金正日国防委員長は温家宝総理との面談で、「朝鮮半島の非核化は金日成首席の遺訓」だとし、非核化原則を再確認した。温家宝総理訪北の最大の成果だ。北の最高指導者が北の「永遠な主席」の遺訓を語り、非核化原則を再表明したのは、北の立場からすればやることの出来るもっとも確実な非核化の約束であるからだ。


1次核実験以後にも表れた表現ではあるが、さる5月2日の2次核実験後には北の公式発言から消えていた表現だ。6月13日だけを見ても外務省は「核放棄は絶対に、徹頭徹尾ありえないことだ」と、例のない強硬な声明を発表している。


そうであった北が9月30日には、外務省スポークスマンの答弁と言う最も低い次元の対外発言という形式ではあったが、朝鮮半島の非核化は「金日成主席がすでにはるか以前に提示したこと」だと言い、変化の姿を見せ始めた。


その変化の端緒は対話であった。戴秉國中国外交担当国務委員の訪北から見え始めた変化である。金正日委員長が18日の面談で、戴委員に「朝鮮は非核化の目標を引き続き堅持する」と言明したそれが、変化の端緒であった。対話から始まった変化の芽が10月の「金日成主席の遺訓」(発言)にまで発展した。


対話は対話を生んだのである。


経済封鎖は150日戦闘および北・中国交流で力を失った。軍事的圧迫は軍事的対応を招来している。対話は対話を生んでいる。


北を理解するのが難しいと?予測があまりにも簡単であることの方が問題だ。
いまや韓国とアメリカは何を選択するのであろうか。いや、北のどのような対応を選択するのであろうか。


以上ですが、経済封鎖には経済的方法で、軍事的圧力には軍事的対抗で、対話には対話で、という北朝鮮の行動が端的に良く整理されています。先月の28日の国連総会で北朝鮮のパク・キリョン外務次官が、「対話には対話で、制裁には核抑止力の強化で」対応すると言った言葉が思い起こされます。ソ教授の文章は、まさにあらゆる問題に正面から挑む北朝鮮の正面突破外交を良く整理していると言えるでしょう。


むろんだからと言って北朝鮮があらゆる問題に直球勝負で臨むということではありません。直球も変化球も織り交ぜての正面突破と言うところに、北朝鮮外交の強靭さがあるのでしょう。それをこの文章は少なからず言い当てているようです。
日本のいわゆる朝鮮問題専門家や評論家、記者ら、ステレオタイプに囚われている者には見えないていないものが、冷静な観察者には良く見えているということです。


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