マスコミが報じない中国の姿勢(3) | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国の連合通信によれば、中国政府は25日、北朝鮮との正常な交易関係を中断する気が無いことを示唆したという。
秦剛(チン・ガン)中国外交部スポークスマンはこの日の定例ブリーフィングで、中国が対北朝鮮支援を中断すれば、北朝鮮が協商に復帰するだろうという分析に対する中国政府の立場を聞かれて、「北朝鮮と関連した措置は北朝鮮の民生と正常な経済貿易行為に影響を与えてはならない」と答えた。
連合通信は、この発言は中国が、北朝鮮と繋がった送油管を閉め石油の供給を中断し、対北朝鮮支援を中断するなど、対北朝鮮制裁にでるのではないかといった噂がある中で、北朝鮮に対する制裁を施行しないばかりか、その計画もないという点を、迂回的に明かしたものだと受け取っている。
チンスポークスマンは「国連安保理の対北朝鮮制裁決議案には、国連の制裁が北朝鮮の民生と経済・貿易交流・人道主義的援助に影響を与えてはならないという規定がある」と強調した。
さらに安保理決議1874号は、金融制裁と関連して、北朝鮮住民にとって直接的な助けとなる人道主義的および開発用途については、公的な金融支援制限対象から除外している。
チンスポークスマンはまた「氷凍三尺、非一日之寒」という中国の成句を紹介し、北朝鮮の核問題を解決するためには、忍耐とお互いの信頼、問題を解決しようとする情熱が必要」だと強調したと言う。


中国政府のこうした姿勢は北京大学での中国最高の学者、北朝鮮問題専門家らの非公開討論会での発言を紹介する、当連載の第1回目で紹介した「6派」のなかの、5番目のグループの主張するところと合致している。それを念頭に置きながら連載を続ける。


チャン・ホンリャン教授の討論の続き。

「戦術的に表面上朝鮮を譴責(けんせき=警告よりも弱い戒め)する模様を最小限取ることもできるが、実際には中国は朝鮮に対して政治経済的支持を送るべきである。また仮に朝鮮が危険な状況に陥ることになった場合、中国と朝鮮は共に東北地域の各地方で連合を実現すべきである。これ(中国と朝鮮の連合)は東北アジアの政局の将来を決定付ける決定的なモメントである。これは中国にとって極めて大事なことだ。結局公が私よりも先立つのである。」
「したがってわれわれは当然、朝鮮を支持しなければならない。もちろん中国の国家利益から植民地体系から逃れる問題にいたるまで、さらに人類の脅威となる核兵器を完全に除去しなければならないという道義的義務の角度から見ても、中国は朝鮮を支持しなければならない。他にも中国は朝鮮の核実験が挑発というよりも、自身の国家生存を守らねばならぬという状況下で起きたという事実を、明確に明かさねばならない。朝鮮が最初に戦争しようといっているわけではない。アメリカの圧迫から逃れるために仕方なく当面して、核開発の道を歩まねばならないといった状況下で選択した道だった。こうした状況なので、中国が朝鮮を制裁する如何なる理由もないのだ」


北京大学のコン・チンドゥン教授の発言
「朝鮮の核実験について正しく答えるために、われわれは何よりもまず、アメリカの「二つの栓政策」について深く学習する必要がある。現在表面上は、アメリカが朝鮮を見責する状況が進行している。しかしこれは西欧の宣伝媒体にとって耳障りの良い話でしかない。アメリカと西欧の宣伝媒体の論調はほとんど同じだ。このような状況下で何をすべきであり、何をすべきでないのかを正しく知らねばならない。
まず、朝鮮との関係を積極的に拡大するために、具体的な協商に臨まなければならない。とくに現在の中国言論上の朝鮮に対する態度を改めなければならない。朝鮮の対米攻勢と情緒を誇張して、風刺化するのに手馴れたアメリカの論理に、わが国の言論媒体の論調もまた同調している。
しかし実際のところこれは、アメリカの一貫した手法に過ぎない。過去にアメリカが、ソ連と中国に対して行ってきたことを、今日は朝鮮に焦点を当てて、まったく同じような手法を使っているのだ。対象だけが変わったのであり、手法は変わってないのである。政治指導者を愚昧で乱暴な専制君主のように風刺し、戯画化することなどだ。今日わが国の言論媒体も、まさにそうしたアメリカ式論理を盲目的について行っている」

「これは非常に大きな問題である。われわれは朝鮮半島において今後もあるがままに、つまり正面報道を行う必要がある。朝鮮を悪魔化し、醜くそして歪曲するのを止めるべきだ」


「この機会にわれわれは朝鮮に対する支援を大幅に強化すべきである。恐れる必要はない。アメリカの朝鮮に対する支援は100万米ドル程度だ。彼らはそれだけでこれを全世界が知るように騒ぎ立てている。しかし中国はこの間にいったいどれだけ朝鮮を支援したのか。
…どっちにしても朝鮮が直ちに必要としている、安全保障問題で積極的に支援する必要がある。
物質的な利益においても、実質的な効果が表れるように支援すべきだ。…
こうした支援は朝鮮をして、中国を政治的に信頼できるようにするであろう。他にも中国の国家利益と関連して、朝鮮の重要性を正しく認識しなければならない。過去の歴史を見れば、明の時代に豊臣秀吉が朝鮮を侵略したときに、皇帝は国のあらゆる力を集め朝鮮を支持した。1950年代の『抗米援朝、保家衛国』もまた同じだ。中国は朝鮮を支持すべきなのだ。これこそまさに中国を守ることでもある」