軍事独裁へ先祖返りか、遠からず激突の予測も | 朝鮮問題深掘りすると?

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初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国で李明博政権を糾弾する時局宣言が相次いでいるが、当ブログがこれまで発表された時局宣言を整理したのによれば、大学教授-時局宣言発表単位32、参加者3334人、ほかに歴史学者281人、社会人士102人、法曹界877人、作家188人、韓国作家会議514人、仏教会108人、30大學の総学生会長と42大学の学生2386人、演劇界1037人、女性界2009人、保健医療界2289人、天主教司祭1178人、清掃労働者4422人、全国農民総連盟など農民団体と農業関連学界の人士ら2009人、仏教人権委員会、全教組ほか個人の教職関係者ら16171人、圓佛経の教主200人など15829人、牧会者1000人、全国の大學新聞社記者85人、曹渓宗僧侶1447人、統一運動元老273人、釜山大學卒業生457人、「民主主義を愛する青少年」、ソウル大、慶熙大、高麗大などの学生会、第一期芸術系列大学生連合などの宣言署名人数は不明。総計で約5万人を突破している模様だ。今後もすでに公務員労組などの時局宣言が予定されている。


海外でも時局宣言が発表されている。すでにアメリカ在住の韓国人教授ら200数十人とヨーロッパ在住韓国人が時局宣言を発表しているが、これとは別に25日までにアメリカ在住韓国人1518人が参加して「祖国を憂い愛する米州韓人たち」の名で時局宣言を発表した。宣言署名者はカリフォルニア545人、ニューヨーク115人、ニュージャージー100人、テキサス88人、バージニア71人、ワシントン59人、ジョージア56人、メリーランド50人、フロリダ44人、ペンシルバニア43人、イリノイ42人、その他305人。
宣言は「韓国民主主義は国民の声から目を背ける李明博政府によって無残に踏みつけられ根から揺れ動いている」とし、「われわれは祖国の暗い現実を憂慮し立場を明らかにする」と始まっている。宣言は「政府がこの間国民を騙し、欺瞞で一貫してきたという確信を持つに至った。」「われわれ米州韓国人は国民との疎通を拒否し、民主国家の国民として当然の自由と権利を、公権力を動員して徹底的に黙殺している李明博政権を過去の軍事独裁時代と変わらない民主主義で仮装した独裁だと定義する」と指摘している。


26日には全国民主連合労組所属の「国を憂う清掃労働者」4422人の名で、「MB悪法改悪」中断を要求する時局宣言を発表し、政府と与党ハンナラ党が強行採決しようとしているメディア法と非正規労働法改悪に反対した。
また、演劇演出家、俳優、劇作家など演劇人1037人が時局宣言を発表、現時局を「民主主義の後退など総体的難局と診断。「国民の下僕であるはずの警察,検察,法院、国税庁,監査院などはすでに国民を脅かす権力の道具に成り下がったとし、公安統治の中断、言論悪法の中断、対北対決制作中断、生態破壊的開発中断、国民の意思に反する政策中断を要求した。


一方民主労働党に続き、民主労総も李明博政権を「反労働、反民主、反平和政権」と規定し、汎国民的退陣闘争に突入することを決定している。
民主労総は25日の第15回中央執行委員会で「民主主義を生かし、生存権を保障し、韓半島に平和をもたらすことの出来る方法は李明博政権を終わらせることしかない」年、このように決定した。この方針に沿って民主労総は「7月総力闘争」を展開する計画だ。


他方で警察は最近、国内スパイ摘発および安保を口実に「安保危害事犯100日捜査計画」を立て全国の地方警察庁と警察署に下達した。主な内容は今年中に1800人に達する警察官を保安専門捜査員として再編成すると言うもの。保安専門とは主に「国家保安法」適用容疑事犯を専門に担当すると言うもので、当面してインターネット上の親北朝鮮掲示物と「利敵団体構成」「スパイ行為」にいたる、国家保安法を適用対象になるあらゆる「安保危害」事犯を対象に来月10日まで一斉検挙体制に入るという。
期限を100日と切っていることから、短期間に「公安事犯の一掃」を狙っているだけに、相当強硬な治安統治が展開されると思われる。それでなくても「保安事犯」で検挙されたものは日に日に増えている。昨年中の「保安事犯」でッ検挙された人員は40人だったが、今年に入ってからは6月25日までにすでに30人に上っている。今後その数も急増するものと思われる。


さらに韓国では、国情院(国家情報院)が進歩的市民・社会団体や統一運動団体を極秘査察しているとの疑惑が浮上している。わけてもこれら進歩的市民・社会団体に対する企業などの支援が次々と途絶えているが、その背後に国情院の介入があるとの証言が相次いでいるのだ。国情院による市民・社会団体に対する査察が、警察の「保安事犯」専門捜査員の増員と再編成、「安保危害事犯100日捜査計画」と軌を一つにしており、さらにハンナラ党が単独国会の強行-メディア法、非正規労働法、情報通信法などの改悪の強行採決へ向かっていることと合わせてみれば、明らかに反李明博勢力を北朝鮮と結びつけ、民主化闘争を「治安事件」「公安問題」にすり替え国家保安法を振り回しながら徹底的に押さえつけるつもりであることがわかる。


それはまさに過去の軍事独裁政権が好んで使った手法だ。李明博政権は軍事独裁政権への先祖返りを果たそうとしている。間違いなく遠からず韓国の民主運動との間で大激突が生まれよう。そして今の日本政府はそうした李政権を積極的に支援しているのだ。それは民主主義を守るための韓国民衆に敵対するということである。マスコミもお隣の韓国で起きている事態に無関心のまま、イランの事態について語ることの矛盾に気がつくべきではないだろうか。