NGOは知り、マスコミは知らず | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

北朝鮮の労働新聞10日付け論説は、韓国の公安当局が、祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部を始めとする統一運動団体に対して、国家保安法違反容疑で大々的な家宅捜索を実施し、主要幹部らを逮捕したことと関連して、「統一愛国勢力に対する露骨な宣戦布告」だと非難した。家宅捜索はソウルの汎民連中央本部を始め京畿・仁川本部、光州・全南本部や幹部らの自宅、清州、江源地域の幹部宅に対しても行われ、6人が逮捕されている。

昨日、北朝鮮側が開城工団に関連して、韓国当局に送りつけた通知文の背景を理解する上で必要な情報なので書くことにした。

汎民連は6.15共同宣言の精神を民間レベルで実践するために、南北、海外在住のコリアンが思想、信条の壁を乗り越えて、「わが民族同士」のスローガンの下で民族大団結を実現し、その力で自主的、平和的に民族統一を実現しようとの目標を掲げて結成された団体だ。つまり6.15共同宣言の産み落とした嫡子だと言えよう。

だが、韓国の李明博政権は、政権発足直後から6.15宣言を反故にし、統一運動団体を弾圧し始めた。昨年5月の100万人ロウソクデモ・集会直後からいわゆる「背後勢力」なる妖怪をでっち上げ、「南北共同宣言実践連帯」を「背後勢力」とし、それを国家保安法における「利敵団体」として、そのメンバーらに過酷な刑罰を加えるなど、弾圧を本格化したが、今回の汎民連に対する強制捜索は、まさに統一運動勢力に対する弾圧が本格的な段階を迎えたことを示すものだと受け取られている。

家宅捜索や逮捕を指揮したのは情報機関である国情院(国家情報院)で、家宅捜索令状には「多年間の反国家団体活動」容疑としており、逮捕は裁判所の拘束令状実質審査が始まっていない状態のままで強行、汎民連幹部らはそのままソウル拘置所に収監されたという。今後、スパイ容疑を云々する可能性もある。


今回の事件は、李明博政権が明らかに6.15共同宣言を、反故にしていることを見せているが、韓国のこうした態度が、北朝鮮の態度を硬化させていることは間違いない。これこそ開城工業地帯問題の背景を形成している。北朝鮮が問題にしているのはこうした対北敵対政策、反統一政策なのであり、6.15共同宣言破壊政策なのだ。開城工業地帯問題と関連して北朝鮮が、「6.15宣言の精神に基づいて与えた特恵的措置を、6.15宣言を反故にするような相手にそのまま施すことは出来ない」と言っているのは、こういうことなのだ。

日本ではお隣韓国で繰り広げられている、国民運動に対する政治的弾圧がまったく報道されないので、それを背景にした開城工業団地問題に対する、北朝鮮の政策を理解できないでいるのだ。


現在、汎民連に対する国際平和愛好勢力の連帯と、激励が拡散していることも、多分知らないでいるだろう。つい最近アメリカ、日本、ドイツ、インド、タイ、ニュージーランドなど17カ国で活動する741の団体と個人らが「汎民連弾圧」を糾弾し、拘束者の即時釈放を要求する声明に参加している。「宇宙の武器と核に反対するグローバル・ネットワーク」のブルース・ギャグノン事務総長が、この国際連帯声明をニューヨーク駐在韓国領事館に伝達している。

声明は汎民連弾圧に怒りを禁じえず、逮捕された6人は即時釈放されるべきだとし、「この平和活動家たち、その家族たち、そして南と北の全ての人々に対し公開謝罪すべきである」「汎民連は合法的方法で、国の統一のために、南北の平和的対話を創造することを希望して活動してきた」「われわれは彼らの努力を支持する」「コリアの分断を持続させる、考えることを知らない軍事主義が終わりを告げるときが来た。」「これに終止符を打とうとする彼らの努力は、逮捕されたり、非人間的に扱われるのではなく、賛辞を受けるべきだ」と指摘している。

ブルース・ギャグノン事務総長は国際連帯声明と「貴方の政府が、市民の民主主義的権利を信じ、実践した彼らを弾圧せんと決心したという事実は明白である」「われわれは韓国の不当な行動を、全世界に向けて引き続き暴露するつもりである。」と書いた韓国当局への手紙を同封して伝達した。

ブルース・ギャグノン事務総長はまた、「アメリカの手が、この分離(南北の分断)に影響を与えなかったのか疑問視せざるを得ない」といつつ「アジア太平洋の高まる軍事化を正当化するために、南北分断を維持しているように思える。貴方の政府が、この危険で不安定にする戦略に加担することは悲しいことだ」と付け加えたと言う。

この声明には日本の18のNGO、116人の個人が参加している。個人名を紹介するのはチョッと問題があり、NGOだけをここで紹介することにする。(個人であってNGOの肩書きで参加している方も除く)


Human Rights and Peace, Hamamatsu (Shizuoka, Japan)
The Association for Realizing the Right to Live in Peace (Tokyo, Japan)
Kaku-no-gomi (Nuclear waste ) Campaign (Chubu, Japan)
Eco-Action-Kanagawa (Kanagawa, Japan)
Agenda Project (Kyoto, Japan)
No more Nanjing (Nagoya, Japan)
Peace through dialogue! Kobe Network for consideration on Japan-Korea relationships (Hyogo, Japan)
No to Nukes and Missile Defense Campaign (Tokyo, Japan)
Anti-War Network (Nagoya, Japan)
Peace Community (Osaka, Japan)
Voice in Peace Action Network (Saitama, Japan)
Union of Laborers for Peace in Three Tama Areas (Tokyo, Japan)
Citizens’ Network for Ban on Depleted Uranium Weapons (Japan)
Voice of Gifu Citizens for Protecting Peace, Human Rights, and Environment (Gifu, Japan)
Nipponzan Myohoji (Tokyo, Japan)
Article 9 Association OOGAKI (Gifu, Japan)
NGO Forum Fukuoka in Solidarity for Human Rights, Justice, and Peace (Fukuoka, Japan)
Political Eye (Miyazaki & Oita, Japan)