受付に着くと、さっそく武甲への手紙を要求したが手配に1~2日はかかるとの事。何故なら前日に武甲への手紙があらかた出てしまった後だったからだ。
思いもよらず出来た休日をどう過ごすか迷っていると、不意に声をかけられた。
「お~!オバッちゃん!」
この呼び方も何だかんだ懐かしい。
「本間、こんな所で何してんだ」
「いや~、ここの隊長さんに被害者の女を連れて来るように言われてな、今は聴取中だ」
「そうか…少しずつでも進んでるようでなによりだ。良太や上野は元気か?」
「沖本さんは元気だ。それと報告があるぞ」
本間は何故か得意気に鼻を擦って見せた。
「俺と上野な、村内のじいさんの手伝いをしてるんだ」
「…何でまた」
「最近調子が悪いみたいでなぁ。俺らもちょくちょく世話になってたから沖本さんに相談したんだ。カタギになるつもりは無いが、じいさんが迎え入れてくれたもんで、自然にそうなっちまった」
「…随分な展開だな…大地はどうしてる?」
「自分が休憩所を継ぐんだって駄々こねてるが、じいさんが反対しててなぁ。今は冷戦中だ」
「……」
「俺達が休憩所を乗っ取るんじゃないかって思ってるみたいだ」
「いい時期に来たかもしれないな」
「あ?」
「いや…聴取は何時までだ?」
「そろそろ終わる頃だろうよ」
「そうか、2~3日したら休憩所に寄る予定だ。よろしく言っといてくれ」
「分かった」
ちょうどその頃、聴取を終えた女が警備隊駐屯所から出てきた。華奢な女は長い髪を一つに纏めて、とても商売女とは思えない質素な格好をしていた。
「本間ちゃん、終わったよ。あ~疲れた」
「アンちゃん、ちょうど良かった!こいつが例のオバッちゃんだ」
「オバッちゃん!ありがとう!あんたのおかげでアイツら捕まったんだってね!本当にありがとう!」
アンと呼ばれた女は潤伍の手を握り、ブンブンと力強く握手を振った。
「…いや…辛かっただろう。元気そうでなによりだ」
「あら、結構な男前じゃないの!今度来てよ!たっぷりサービスするからさぁ」
「…あ、あぁ」
曖昧に返事はしたものの、潤伍にその気はなかった。夏の冷えた爪先や柔らかい肌触り、その香りをまだ忘れられずにいた。
自分でもどうかと思う時がある。
どんなに想っても彼女はもう居ない。でも確かに居たのだ。そして潤伍の中にはまだ居る。
彼の中では、夏との思い出がまだ思い出に出来ていなかった。
2人と別れてから宿泊所にハギを落ち着けると、ぶらりと街に出た。
選挙ポスターの代わりのような、政策を刷った紙が街のあちこちに貼ってある。
池上の行動力には驚愕するばかりだ。
ここまで強行軍で来たので、暫しの休息時間にハギも少しは休まるだろう。元来、猫は引っ越しがあまり好きではない。
潤伍はそれと知っててハギを旅に連れて来た。
潤伍が送った身近な3人の死に際に立ち会う事が出来なかったのが大きな要因だったのだろう。
例えば、潤伍1人で旅に出たとして、羽鳥にハギを預ける方法も考えないでもなかったが、その間に何かあったらと考えると恐ろしくなった。
2日後、漸く武甲への手紙の束が集まると、潤伍はある決意を固めて休憩所を目指す。
晴天が邪魔をして到着は更に2日後の夕方になった。
潤伍は村内に会って驚く。たった半年で随分痩せてしまっていたからだ。
「郵便屋…遅かったな」
村内はベッドに横たわっていた。
店には上野と大地が居たので、ハギを任せて、寝室で話を聞く。
思いもよらず出来た休日をどう過ごすか迷っていると、不意に声をかけられた。
「お~!オバッちゃん!」
この呼び方も何だかんだ懐かしい。
「本間、こんな所で何してんだ」
「いや~、ここの隊長さんに被害者の女を連れて来るように言われてな、今は聴取中だ」
「そうか…少しずつでも進んでるようでなによりだ。良太や上野は元気か?」
「沖本さんは元気だ。それと報告があるぞ」
本間は何故か得意気に鼻を擦って見せた。
「俺と上野な、村内のじいさんの手伝いをしてるんだ」
「…何でまた」
「最近調子が悪いみたいでなぁ。俺らもちょくちょく世話になってたから沖本さんに相談したんだ。カタギになるつもりは無いが、じいさんが迎え入れてくれたもんで、自然にそうなっちまった」
「…随分な展開だな…大地はどうしてる?」
「自分が休憩所を継ぐんだって駄々こねてるが、じいさんが反対しててなぁ。今は冷戦中だ」
「……」
「俺達が休憩所を乗っ取るんじゃないかって思ってるみたいだ」
「いい時期に来たかもしれないな」
「あ?」
「いや…聴取は何時までだ?」
「そろそろ終わる頃だろうよ」
「そうか、2~3日したら休憩所に寄る予定だ。よろしく言っといてくれ」
「分かった」
ちょうどその頃、聴取を終えた女が警備隊駐屯所から出てきた。華奢な女は長い髪を一つに纏めて、とても商売女とは思えない質素な格好をしていた。
「本間ちゃん、終わったよ。あ~疲れた」
「アンちゃん、ちょうど良かった!こいつが例のオバッちゃんだ」
「オバッちゃん!ありがとう!あんたのおかげでアイツら捕まったんだってね!本当にありがとう!」
アンと呼ばれた女は潤伍の手を握り、ブンブンと力強く握手を振った。
「…いや…辛かっただろう。元気そうでなによりだ」
「あら、結構な男前じゃないの!今度来てよ!たっぷりサービスするからさぁ」
「…あ、あぁ」
曖昧に返事はしたものの、潤伍にその気はなかった。夏の冷えた爪先や柔らかい肌触り、その香りをまだ忘れられずにいた。
自分でもどうかと思う時がある。
どんなに想っても彼女はもう居ない。でも確かに居たのだ。そして潤伍の中にはまだ居る。
彼の中では、夏との思い出がまだ思い出に出来ていなかった。
2人と別れてから宿泊所にハギを落ち着けると、ぶらりと街に出た。
選挙ポスターの代わりのような、政策を刷った紙が街のあちこちに貼ってある。
池上の行動力には驚愕するばかりだ。
ここまで強行軍で来たので、暫しの休息時間にハギも少しは休まるだろう。元来、猫は引っ越しがあまり好きではない。
潤伍はそれと知っててハギを旅に連れて来た。
潤伍が送った身近な3人の死に際に立ち会う事が出来なかったのが大きな要因だったのだろう。
例えば、潤伍1人で旅に出たとして、羽鳥にハギを預ける方法も考えないでもなかったが、その間に何かあったらと考えると恐ろしくなった。
2日後、漸く武甲への手紙の束が集まると、潤伍はある決意を固めて休憩所を目指す。
晴天が邪魔をして到着は更に2日後の夕方になった。
潤伍は村内に会って驚く。たった半年で随分痩せてしまっていたからだ。
「郵便屋…遅かったな」
村内はベッドに横たわっていた。
店には上野と大地が居たので、ハギを任せて、寝室で話を聞く。