鴎のobjet | 鱗粉転写
初めて人前で演奏した自作曲が
「鴎のobjet」という曲だったのを思い出した。

象の鼻公園で海を眺めていてふと思い出した。

「鴎のObjet」

埃に覆われたショーウィンドウの
平面のくすんだ蒼空を
機械仕掛けで羽ばたく
鴎のobjet

脱出することもなく
今置かれた状況の中を
ただ操られながら
途方に暮れているだけ

錆び付いた
命綱が断たれ
羽ばたけずに狭い空の蒼に
張り付いている

いくら羽ばたいても
前に進むこともできずに
何もしなくても
地上に墜ちることもない

歯車を
軋ませながら狭い
空を舞う
くすんだ蒼い色に染まらずに

籠の中の小鳥たちよりも
惨めな姿を人に晒し続けている
鴎のobjet…



今は無くなってしまったけれど、あるビルのショーウィンドウに鴎のオブジェがあってね。
それをそのまま歌にしたんだった。

若山牧水の
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」
という詩が凄い好きで、触発されたというか、パクったというか。