●「廣」クワウ、guăng→(日)「広」×、(中)「广」(「庵」の略字としてānという異読も辞書に記載)
●「擴」クワク、kuò→(日)「拡」×、(中)「扩」
●「纊」kuàng→(日)「絋」×、(中)「纩」
●「紘」hóng→(日)「紘」、(中)「纮」

 「広島」は中国大陸で「广岛」Guăngdăoになるが、日本の漫画の中国版で「広島」の「広」が「麼」と解釋され、「麼岛」と書かれたことがある。
 「廣」guăngは「黄」huángを音符とする。「黄」の音読みは「ワウ」または「クワウ」である。
 「廣」→「広」を「佛」→「仏」とあわせて考えると、日本では「ム」の使い方が不規則。「仏」と「払」は「私」sīと紛らわしく、「ム」sīはもともと「私」の旧字であり、注音符号では「ム」がs(i)をあらわす。日本のカタカナで「ム」をmuの音に使うのは「牟」móu、mùの簡略化であろう。

 手持ちのパソコンの漢字検索機能で「紘」を選擇すると、異体字として「綋(=糸+宏)」も出てくる。
 「広」はもともと、「宏」hóngの異体字だったようで、日本でこれを「廣」の略字として応用したようだ。「広(←廣)」と「宏」だけでなく、「絋(←纊)」と「紘(=綋)」も訓読みは同じ「ひろ」で、日本では混同する人が多い。『1リットルの涙』に出てくる山本纊子医師は映画版でも同じ名前で、DVDのパッケージでもその表記になっているが、インターネットにある映画版関連サイトでは「山本紘子」が非常に多い。
 また、日本の「歴史的かなづかい」で「宏」の字音が「くわう」になって、「宏遠」と「廣遠」がどちらも「くわうゑん」(「え=エ」と「ゑ=ヱ」の区別を明確にするため、ひらがなで書く)になっている。しかし、「宏」hóngと「廣」guăngの字音から考えて「宏」を「こう」、「廣」を「くわう」にして、「宏遠」は「こうゑん」、「廣遠」は「くわうゑん」と区別するほうが合理的である。

日本では「鑛」を「鉱」にしているが、中国では異体字「礦」kuang4の略字「矿」を使う。
もっとも、日本でも「砿」という略字を用意しているようだ。

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08年10/9



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