★春の三江線。毎日12~14時は石見川本駅のゴールデンタイム

424D(三次10:02発)は石見川本行きとして運行。だが実質的には江津行きで、石見川本から先は426Dという列車番号に変わる。
つまり、12:18~13:45が石見川本での停車時間であるが、この間車内に残るは出来ず、お客は全員下車しないとならない。車両はそのまま留置されて、エンジンも切られて、運転士は昼休憩となる。

JR西日本キハ120-310石見神楽トレイン

↑424Dが着くと、反対ホームにはキハ120-310の石見神楽トレイン。サボは「回送」。行き先は不明であった。424Dと一緒に並んで停車する時間はわずかで、すぐに発車してしまった。本音は10分くらい止まっていてほしかったが・・・

JR西日本 石見川本駅

↑江津方面を見る。424Dは駅舎前のホームに着き、こちらが江津方面行き。跨線橋を渡った反対側のホームが三次方面行きだ。

JR西日本 石見川本駅

↑反対側のホームは江の川の堤防の目の前だ。



↑反対ホームから、キハ120-357+キハ120-317の編成写真を撮る。一応有人駅であるが、運賃の精算は車内で行う。私のようにキハ120やホームの写真等を撮影する同業者(鉄道ファン)はそれなりにいるが、私のように跨線橋を渡って反対ホームに出向いて撮影する人は他に居なかった。

JR西日本 石見川本駅

↑石見神楽の演目にちなんだ愛称は「八幡」である。

JR西日本 石見川本駅

↑改札口前にある駅名表。山陰地区では標準とも言えるデザインだ。国鉄時代からあったものか?

改札を出るときっぷの発売窓口。指定席券の発行が出来ないため、「みどりの窓口」とは称していないが、近距離の乗車券類であれば買う事は可能だ。
左側には広い待合室。飲料水の自動販売機にベンチが多数あるもので、三江線の主要駅としては規模が大きい事がわかる。
ホームで撮影している時から、そばのニオイがしてたまらなかった。
駅頭では地元の商工会が500円でそばを売っており、長い行列が出来ていた。

JR西日本 石見川本駅で食べたそば

↑島根県川本町特産のカモ肉を使ったそばで、ちょうど良い汁の濃さでおいしくいただいた。

JR西日本 石見川本駅 石見交通路線バス

↑石見交通の路線バスが回送で石見川本駅を発車。
サボには「申し訳ありません 回送中です」と丁寧過ぎる詫びを入れていた。
JR西日本 石見川本駅

↑424Dから下車したお客で多くの人が駅周辺には居た。
撮影はしていないが、写真の裏側には12~14時の間だけ開店する「三江線おもてなしサロン」と言う無料休憩所。

「JR三江線石見川本駅前に無料休憩所オープン」(しまね観光ナビホームページ)

↑詳細はこちらに譲る。
中には行ってみると、休憩所として自由に利用出来る事、川本町特産のエゴマ茶やコーヒーの提供(無料)、土産物の販売、三江線沿線の写真展、観光情報の提供も。せっかく来たので、エゴマを使ったお菓子を3種類購入し後で食べてみると、やはりおいしかった。また食べてみたいとも思った。

12~14時の120分限定と言うのがポイントで、424D~426Dに乗り換える時間が約90分もあるので、この時間帯を有効活用。
悪く言えば「時間つぶし」であるが、この間に川本町の魅力、三江線沿線各地の魅力を私のように遠くから来た人に伝える事が出来るのは、まさにビジネスチャンスだ。
三江線が廃止されれば、確実に遠方から来る人は減少する。
しかし、鉄道が消えても遠くから来てもらえる工夫をしっかりと行っており、無料休憩所における「おもてなし」は非常に良かった。
三江線廃止までに残り2回は必ず行くので、この無料休憩所でゆっくり過ごしてみたいとこの記事を作成していて思った。

この120分は、まさに石見川本駅のゴールデンタイム。
424D~426Dを三次から江津に向かって乗る場合、必ず石見川本駅で下車する事になるから、ぜひ活用するべきだろう。


島根県川本町中心部

島根県川本町中心部

↑川本町の中心部を歩いてみた。
山間の小さな町ではあるが、この昔ながらの雰囲気が個人的には好きだ。

JR西日本 石見川本駅周辺

JR西日本 石見川本駅周辺

↑三江線の線路へ行ってみる。徒歩限定になるが、写真のように線路をアンダーパスする事が出来て、線路の真下を通れるのはダイナミックだ。

JR西日本 石見川本駅周辺(江の川土手)

↑線路を越すと江の川の堤防。石見川本駅周辺は遊歩道が整備されており、散歩をする地元の人や同業者が多かった。

JR西日本 石見川本駅 留置中のキハ120

↑そして、石見川本駅と言ったらこれ。江津方面は写真の奥(跨線橋方面)となる。保線用の車両も止まっていた。
13:13にはキハ120のエンジンが始動。運転士が発車の準備を行う。着席狙いですでに多くのお客が待っていたが、実際にドアが開いたのは13:30過ぎであった。
この間ずっとホームで待っているのはもったいない。
川本町と一体になった「おもてなし」は心が温まるものがあった。
街を歩いていると、「電車は1日たった5本」と書いたポスターにキハ120がトンネルの坂から下へ下がる立派な写真。
旅情を感じるポスターで、忘れられた姿を思い出せてくれた。それは川本町に鉄道があったと言う真実をしっかりと伝えてくれるもので、426Dが江津へ向けて発車する際には、駅員や川本町の人々が手を振って見送ってくれた。

★夏の三江線。規模縮小?活気がなかった石見川本駅のゴールデンタイム

424Dは石見川本行き。12:18に着くとお客は全員下車させられる。江津方面に向かう列車は13:45発の426Dまでないが、車両は全く同じ。石見川本到着前には、その旨が車掌から放送で伝えられ、車内で待機する事も出来ないと付け加わる。
JR西日本の業務的に見れば、12:18~13:45(厳密に言うと12:25頃~13:25頃)は運転士の昼休憩時間なのだ。

JR西日本 キハ120(357+312)

↑424Dからお客が全員下車。ざっと100~150人が石見川本駅に降り立った。同業者(鉄道ファン)の撮影場所はキハ120の目の前で

JR西日本 キハ120(357+312)

JR西日本 キハ120(357+312)

↑階段を渡ってキハ120の編成写真を撮影する同業者は皆無に等しく、私を含めてたったの2人だけだった。
ほとんどはキハ120の目の前で撮影終了後、川本町の中心部に進んだ。
424Dからお客が全員下車するとエンジンが切れた。運転士は線路に降りて車輪止めも設置し、車掌と車内整備員(どこかの駅から石見川本に派遣されているらしい)と一緒に詰所に入った。この時点で12:25頃でホームに居る人は数人となった。長く粘って撮影するのは私くらいしかいないのだ。

JR西日本 石見川本駅

JR西日本 石見川本駅

JR西日本 石見川本駅

JR西日本 石見川本駅

JR西日本 石見川本駅

↑12:25頃になるとお客はほとんどいなくなる。江津方面の信号機は進入不可の「赤」を示す。425D浜原行きが着く13:41頃までは信号機はそのままである。
石見川本は一応有人駅であるが、改札業務はやらない事が多くきっぷの確認等も424Dの車内で実施。「列車別改札」なんていう言葉とは無縁で、改札口もフリーパス状態。

JR西日本 石見川本駅

↑改札口の前に立っていたのは、三江線のPRキャラクター石見みえ。
三江線活性化協議会が作ったPRキャラクターで、三江線の運転士だった祖父の影響で列車運転士を目指している見習いである。おっとりした性格で、好物は鮎の塩焼きだと言う。
石見みえは三江線をPRするパンフレットやイベント等に登場しており、積極的に三江線の魅力を発信している。石見川本駅には「三江線引退まであと258日」と言う表示を出していた。
「廃止」でも「廃線」でもなく「引退」。いずれも消えると言う意味だが、「廃止」や「廃線」では印象が悪い。惜しまれながらも消えてしまうんだと思った。

JR西日本 石見川本駅

↑複数のバス路線のダイヤが駅の壁に掲示。三江線廃止後は廃止代替バスが石見川本駅に発着し、石見川本から江津方面行きと石見都賀行きの乗り換え地点となる。三江線廃止後は三次~江津の”通し”のバス路線は存在せず、石見川本と石見都賀で乗り継ぐ形で継承される事が事実上決まった。

JR西日本 石見川本駅

↑石見川本駅の駅舎は静まり返っていた。3月に来た時には川本町の地元の人が出て、そばを販売していたが今回はなかった。こんなに暑い夏に暑いそばを売っても”季節外れ”と言った感じか。

駅前にある「おもてなし休憩所」に入って、川本町特産のエゴマを使った「エゴマ茶」(ホット)を無料でいただく。ここは3月にも行った通りで、426Dが発車するまでの間、川本町のPRをするとともに休憩場所として開放。携帯電話の充電器や三江線の魅力を放映した動画(RCCテレビでかつて放映した番組を流しているらしい)を見る事が出来た。
だが、土産品が乏しく期待していた菓子等の食品がなかったこと、他にもお客がいたので長居せずにエゴマ茶を飲み切ったら外に出た。
やはり暑いから424D~426Dに乗り継ぐお客であっても、別の場所に移動する傾向なのだろうか?

駅にあったパンフレットには、「1時間20分で出来る事」と称して川本町の散策場所が手作り地図で説明されていた。
飲食店が周辺には何店舗かあるので、ここで昼食を済ませる事が出来るが、個人商店レベルの店舗は少なからずあっても、全国チェーンのコンビニは石見川本駅周辺には存在しない。

JR西日本 石見川本駅

↑江の川の堤防へ行くと、整備された歩道から石見川本駅を見下ろす事が出来る。炎天下だった事もあってか人通りは全体的に少なく、特に日差しが厳しい土手の上はなおさら。
川本警察署付近や昔の川本町役場周辺も歩いてみたが、人通りどころかクルマ通りも少ない。役場は別の場所に移転したらしく、旧役場庁舎は廃墟と化していた。街に活気がなくなり、人の動きがなくなる。移動需要もなくなるから鉄道が消えてしまうのが現実・・・と見えてくると、寂しい。

★浜原行きの”中途半端な列車”425Dは意外な穴場

【列車番号】425D
【時刻】石見川本14:00→粕淵14:37
【車両】キハ120-321

石見川本駅のゴールデンタイムは424D~426Dの間、すなわち12:18~13:45までだ。石見川本からは426Dに乗る流れが圧倒的で、川本町の中心部を歩いていたらこれから426Dに乗るためにスーツケースを持った地元の人もいた。少ないながらも地元の人の”足”として三江線が機能している事がわかるが、「数字」に直せばとんでもなく少ない。
石見川本駅に戻ると、三江線利用者の9割以上は426Dで、運転士の昼休憩が終了しドアが開くと既に座席がいっぱいだった。

JR西日本 キハ120(321)

JR西日本 キハ120(321)

↑13:41頃に江津から425D浜原行きが到着。単行でも十分な客数しかいない。せいぜい20人位だ。石見川本からこれに乗るのは私を含めても4人いたか、いないかくらいであった。
石見川本~江津は列車交換する事が出来ないため、425Dが来るまで426Dが待たないといけないのだ。

JR西日本 キハ120(321)

↑石見川本でまとまった下車があった425D。

JR西日本 石見川本駅

↑江津方面行きの信号機が進行可能を示す「青」に変わった。



↑ホームで撮影している同業者(鉄道ファン)は全員426D(写真右)に乗車し、13:45を少し回ったタイミングで発車。
少なくても424D~425Dと言うような乗り方をする人は皆無であった。それもそのはずだ。来た所を戻るわけだから。三江線途中駅下車の場合、425Dも上手く活用したい所だ。
425Dは山陰線の浜田発で浜田鉄道部(車庫)から出庫した形で直接営業に就く。浜原着は14:41で、三次方面行き列車との接続がない。先に進む事が出来ない。425Dとして営業した車両は折り返し17:08発の430D江津行きになるまで長い休憩となる。

425Dに乗車。粕淵に向かう初老男性集団が約14人乗車し、世間話で盛り上がっていた。それ以外は地元客が5人程度、同業者が5人程度と同業者の比率が少ない珍しいケース。やはり三次方面への接続が出来ない列車と言う事もあってか、425Dの乗車自体が選択肢に入っていないようだ。

★秋の三江線。乗り継ぎで口羽・宇都井へ行こうと思ったら・・・バスが来ない!

石見川本からは12:30発の島根県邑南町が町営で運行する「おおなんバス」に乗ろうとした。424Dは定刻より10分遅れて12:28に到着。
石見川本駅では426Dになるまでの約70分川本町の人による「おもてなし」が開催中。何回も書いているが、424D~426Dの間の12:18~13:45は「石見川本駅のゴールデンタイム」で、三江線の魅力を地元がアピールするには絶好の機会なのだ。
駅頭では、枚数限定の「三江線手ぬぐい」がこの日から販売開始していた。さらに三江線を収録したDVDをJR西日本と地元が共同製作中で、2018年3月に販売する見込みとの事。

JR西日本 石見川本駅

↑駅前のバス停を見ると、確かに12:30に、おおなんバスの三坂口行きがあると書いてあって、毎日運行のはずだ。少なくても発車時刻の12:30にはバス停の目の前に居た。

島根県邑南町のおおなんバス

↑こういうようなバスが来るはずであるが、来ない。30分待っても来ない。これは困ってしまった。
元々の予定は、石見川本駅から邑智病院へ行き、乗り換えて口羽へ。口羽駅周辺を見た後は、羽須美中学校で下車し、シャトルバス(INAKAイルミ開催日のみ運行)に乗り換えて宇都井へ・・・であったが、石見川本駅からのバスが来ないと話にならない。
何でバスが来ないのか?不明。12:30の段階でバス停に居たので、「早発でもしたのでは?」と思うしかなかった。渋滞等で遅れる事は考えにくいので、いつ来るかわからないバスをこれ以上待てず、13時に予定を急きょ変更する事にした。
運行実態やどこを通っているか?と言うのは、地元の人ではないとわからない。遠くから来た人からすれば、利用方法を含めてそもそも「本当にある路線?」と思ってしまう事もある。

★江の川河口から石見川本駅までの距離は「35」(サンコー)km。石見川本は三江線の聖地

JR西日本 石見川本駅

↑バスを待つのは仕方がないので、いつもの通り江の川の堤防へ。

JR西日本 石見川本駅 JR西日本 石見川本駅付近の江の川

↑堤防には大きく「35」の数字。これは江の川の河口から35kmある事を示す。山側を見ると石見川本駅のホーム。
今や石見川本駅から三江線の魅力を発信していると言っても過言ではなく、三江線廃止のサヨナライベントを「三江線の日」すなわち2018年3月5日に開催する予定だ。「35kmとサンコー線」上手い。

JR西日本 キハ120(321)因原~石見川本

↑425Dがまもなく石見川本に到着。

JR三江線 石見川越駅で交換

↑426Dと交換。

JR西日本 キハ120(307)石見川本~因原

↑426Dとして石見川本を発車。やはり424Dと比べて客数が減った。道の駅から送迎のバスが来ており、因原へ行ったお客もいたため、この先増えるのかもしれない。


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