★夏の三江線。まさに絵になる駅が鹿賀。暑すぎて待合室の中に入れず


JR西日本 鹿賀駅

JR西日本 鹿賀駅

↑因原駅からは徒歩(この道中は後術)で13:27頃鹿賀駅に到着。島根県道295号線から1本それた所に駅があって、鹿賀駅に直接クルマを止める事が出来る場所はない。
「土手」と言いたくなる田んぼから小高い所にキレイに舗装されて芝生で囲まれた小道を数十メートル歩く。

JR西日本 鹿賀駅

JR西日本 キハ120系(309)

JR西日本 キハ120系(309)

↑すると、13:30発の浜原行きの425D(キハ120-309)が到着。
鹿賀駅で乗降するお客はゼロ。車内を見るとボックス占領している区画が1つか2つあって、ロングシートも多少埋まる程度。浜原行きなので遠方からの同業者(鉄道ファン)には敬遠されがちな列車で、三次行きのような足の長い列車よりは明らかに空いている。

JR西日本 鹿賀駅

↑大きな木がホームの端にあった。この駅の歴史を物語るかのような”大木”。これこそ「田舎の駅」なんだと思う。

JR西日本 鹿賀駅

↑1972年(昭和47年)の豪雨の時に待合室の天井付近まで浸水した。このような表示は三江線駅に限らず沿線各所に見られる。自然の力はすごいものである。とても想像できない豪雨だったんだと思う。

JR西日本 鹿賀駅

↑待合室に入りたかったが、エアコンがあるわけがなく締め切りの室内は相当な暑さ。少しでも入ったら熱中症になるリスクがあるので、入らなかった。これは三江線どの駅でも言えることで、列車待ちの間暑い夏の昼間は入らない方が良いだろう。
それにしても窓際にぶら下がっているCD。何の目的があるんだろうか?と思って調査してみたら、「鳥よけ」。鳥はキラキラ光るものを苦手としている事から鳥が近寄らない効果があるようだ。

JR西日本 鹿賀駅

↑待合室はそれなりに大きい。着席出来る場所もこの中にある。

JR西日本 鹿賀駅

↑石見神楽の演目による駅名では「道返し」。

JR西日本 鹿賀駅(三江線上部を通る道路の橋)

↑三江線と交差する道路には、「三江線」と小さく書いてあった。
決して交通量は多くない。数分1回1台クルマが通る程度だ。

JR西日本 鹿賀駅(江津方を見る)

↑江津方面を見てみると、緩やかにカーブしており、自然豊かな風景だ。

JR西日本 鹿賀駅

↑鹿賀駅全体も緩やかにカーブしている事に気付いた。

JR西日本 鹿賀駅

↑江の川の土手沿いから鹿賀駅を見ると、「まさに絵になる駅」。
絵葉書にしたいくらいだ。春になるとサクラの名所として三江線撮影の有名地となるようだが、今の時点ではもうそれは完全に過去の話となってしまった。来年(2018年)サクラが咲く時に三江線と言う鉄道路線は残っていないし、キハ120が走る事もない。
ずっとぼんやりと居たいくらい素晴らしい駅である。

★夏の三江線。因原から島根県道295号線を鹿賀まで歩く。三江線の地形の悪さ・線形の悪さがハッキリわかってしまう道中

因原駅から三江線運輸(有)の目の前を通って、江津方面に進むと三江線は鉄橋となる。

JR三江線 因原~鹿賀

↑5分ほど歩くとその鉄橋に着く。この川は江の川ではなく支流のようだ。

JR三江線 因原~鹿賀

↑橋には「JRマーク」が付いていた。河川管理者に対して鉄道用の鉄橋である事を知らせるためだろうか?

JR三江線 因原~鹿賀

JR三江線 因原~鹿賀

↑石州瓦(せきしゅうがわら)の家並みが三江線の鉄橋の奥に美しく見えてきた。家並みは因原駅近くであるが、川の対岸には大雨等で氾濫する事に備えて線路を覆う水門。三江線では線路沿いに5ヶ所程度の水門が用意されており、大雨の時には列車運行を中止させた上で閉門する事により、浸水被害を防止する役目だ。

ここから因原駅に戻るにはやや遠い。距離にして1km程度だが、そのまま戻ってしまうと面白くないので、次の鹿賀駅まで進む事にした。
スマホアプリのGoogleMapsを起動すると、島根県道295号線を道なりに2,3km約30分歩くと着くようだ。

JR三江線 因原~鹿賀

↑少しすると三江線と並走する。県道295号線の交通量は少なくたまにクルマが1台通る程度だ。
江の川、県道、三江線、山の崖が短い距離に集中しており、崖は今にも崩れそうなもろい地形だ。

JR三江線 因原~鹿賀

↑そういう事もあってか、30km/hの徐行がこの先803mも続く。因原~鹿賀は3,1kmしかないが所要時間は7分もかかる。距離が短い割に時間がかかるのはこのような徐行があるからで、江津~浜原の昔の「三江北線」区間では、最高速度は65km/hであるがこの速度で走れる場所は短く、ほとんどが30km/h制限の徐行規制を受ける。

JR三江線 因原~鹿賀(江の川)

↑時々江の川の絶景が見られるが、三江線車内からだと一瞬過ぎるので意外と見る事が難しい。

JR三江線 因原~鹿賀(江津市)

↑島根県道295号線を道なりに進めばいいが、完全な直線ではなくて線形的に途中で右にカーブさせられる。この部分が川本町と江津市の境界。駅で言うと鹿賀~江津が長い江津市なのだ。
少しすると地形が悪い山が離れて行き、江の川の堤防近くに出るが、新しい道に分岐するとそこに行くようだが、駅とは方向違いのため引き続き県道を進む。

JR三江線 因原~鹿賀(鹿賀駅近く)

↑三江線のバラストが仕切るものなしで県道に出ていた。こんなにも「線路に近い県道」はそんなにないのでは?
こんなにも線路が近すぎると無断侵入する人も多くない・・・と思っていたら、「危ない!線路を渡ると危険です。正規の踏切を通行して下さい。JR西日本 米子支社」と注意書き看板が立っていた。
いくら本数が少なくても、列車がいつ来るかはわからないのだ。

★夏の三江線。「道の駅インフォメーションセンターかわもと」の真裏にあるのが三江線因原駅。昭和初期の木造駅舎がそのまま残り旅情感じる駅に「三江線」を名乗る運送会社が同居?!

広島から乗った高速バス「石見銀山号」で下車したのは、因原インフォーメーションセンター。私を含めて4~5人程度の下車があって、入れ替わりで2~3人が乗車して大田方面に向けて発車した。
バス停の規模としては大きく、何路線も乗り入れるターミナル的な存在だが、本数は多くない。運行会社としては石見交通、おおなんバス、川本町のスクールバス(小中高生が使う事を想定し通学時間帯に本数が多い)1本乗り過ごせば何時間も待つのがザラにあって、土日祝日は運休する便も目立つ。

道の駅インフォーメーションセンターかわもと(国道261号線沿い)

道の駅インフォーメーションセンターかわもと(国道261号線沿い)

道の駅インフォーメーションセンターかわもと(国道261号線沿い)

↑バス停は「インフォメーションセンターかわもと」と言う道の駅の中。

「道の駅インフォーメーションセンターかわもと」のホームページ(川本町観光協会)

↑川本町特産のエゴマを使った食品をはじめ、地元産の野菜や江の川の鮎を買う事が可能。レストランも完備。私が着いたのは昼時だったので、出店も営業していて、多くの人で賑わっていた。食事をしたいのも本音であったが、それに時間を取られているよりも三江線の駅めぐりが最優先でそれどころではなかった。
国道261号線沿いで川本町に入ってしばらく山沿いの道が続いた後、開けてきた所にあるのが道の駅だ。道の駅の目の前にはローソン+ポプラ(コンビニ)やドラッグストアーもある。
実はこの近くに三江線の駅がある。因原(いんばら)だ。道の駅とローソンの真裏にあって、駅までは歩いて5分ほどだ。

JR西日本 因原駅近く

JR西日本 因原駅近く

↑線路に向かって歩くとすぐに踏切。横切るクルマは比較的多くて、写真撮影をしている1~2分の間に3台ほどすれ違った。

JR西日本 因原駅近く

JR西日本 因原駅近く

↑線路とホームが1個しかない因原駅が見えてきた。ここにも「因原」と書いたバス停があったが、道の駅よりも便数は少ない。

JR西日本 因原駅近く

↑因原駅前の道路。規模は大きくないが昔からの住宅街。左側は山が迫る地形だ。国道からひとつわき道にそれると随分と雰囲気が違う。人が集まるのは国道沿いで、駅周辺は人が集まらず寂れている。これは因原に限った事ではなく、三江線の多くの駅で言える事。これを私は「立派な価値」とか「風情」と見るが、世間的にはそう見る人は少数派で、「活気がない街」と言う評価になってしまうのだろうか。寂しいと言うか残念な次第だ。

JR西日本 因原駅

JR西日本 因原駅

↑古い木造駅舎が健在した因原駅。1934年に開業して以来使用され続けている。三江線では昭和初期に作られた駅舎が今でも現役使用されており、三江線の駅めぐりとか三江線途中下車をするならば、このような駅舎が残る駅にはぜひ訪れてほしい。この事を取り上げているブログ等のネット記事は少ないので、是非”参考”にされたい。

因原駅の駅舎はかなり大きいように見えるが、実際に三江線のお客が使う事が出来るのは上の写真の右半分。
残りの左半分は運送会社(詳細後術)のオフィスとして利用されており、用事がなければ入る事も出来ない。この日は土曜日であったが営業日で関係者が何人か勤務中であった。

JR西日本 因原駅

↑駅舎の中は立派な待合室。中央はよくある形のベンチだが、壁周りには木造のベンチ。このようなベンチはなんとも旅情を感じるもので、歴史も積み重ねているので、なおさらだ。よく考えてみれば他鉄道路線で開業以来そのまま使いづけられているベンチは、そう多くはない。パッと思い浮かぶものと言えば大井川鐵道本線の川根温泉笹間渡、駿河徳山等くらいだ。こういう駅舎は大好きだ。

JR西日本 因原駅

↑ホーム側から駅舎を見る。お客が使えるのは左半分で、右半分は運送会社が業務用として使うので、むやみに入る事は出来ない。

JR西日本 因原駅

JR西日本 因原駅

JR西日本 因原駅

JR西日本 因原駅

↑ホームは棒線化されていた。元々は列車交換が可能であったが、1999年に石見川本~江津の途中駅交換設備は全て撤去。同区間に入線可能な列車は1本のみとなってしまい、石見川本で長時間停車が発生するのもこれが理由だ。
交換設備を撤去する理由は、列車本数が少なくなった事で、本数が少ないと言う事は減便した分お客も減少した事につながる。
1キロ平均の利用者数はJR全国ワーストの58人(2016年)で、これだけの「数字」しか出せないならば、交換設備が撤去されてもおかしくない。

次の三江線列車は13:37発の425D浜原行き、13:51発の426Dの江津行きでそれまで約1時間ない。
一通り因原駅を観察したら出発する事にした。私が気になったのが今や使われていないホームに、バイクで来たと思われる同業者(鉄道ファン)が入ってきたこと。道の駅側から直接入る事が出来るらしいが、どうやって入ってきたのか?気になってしょうがなかった。

因原駅前の道を歩いていると、その名も「三江線運輸有限会社」と言う表札を発見。なんとも面白い(?)ネーミング。三江線は国鉄時代に貨物輸送を実施していたが、今は旅客専業の鉄道。
三江線運輸(有)は、日本通運(日通)の石見川本営業所として当初は鉄道貨物輸送が行われていた三江線で通運事業を実施していたが、三江線で鉄道貨物が廃止されて、貨物自動車による運送免許を取得。今はトラック輸送で邑智郡を中心に集配業務を行い、日通とも業務提携の関係のため荷物を全国に配達。コメ、野菜から木材までどんな荷物でも配達していると言う。
因原駅の左半分の運送会社のオフィスも三江線運輸(有)で、駅舎の隣にある倉庫も同社が使っているらしい。
三江線が廃線になったら社名はどうなってしまうのか?と思ってしまったが、廃線になっても「三江線」と言う名を残して営業してほしいものだ。

★秋の三江線。三江線沿線最大の”都会”因原

鹿賀から徒歩で次の因原まで何分かかるかと思い、GoogleMapsでナビ案内を設定すると到着予想は16:06であった。この時が15:10なので、約60分かかる計算だ。
私としては因原でのんびりしたかったので、「16:00必着」を目標に早足で出発。15:12である。「48分で着くのはしんどいだろうな」と思ったのが本音だが、因原でのんびりするために多少急ぐ。走る気は全くないので、早歩きで。

島根県道295号線 鹿賀~因原の江の川

↑堤防沿いの道から再び県道295号線へ。この経路は2017年7月にも歩いているため(詳細前述)、どのような道なのかは十分把握していた。
江の川が大きくカーブしている事がわかる。

島根県道295号線 鹿賀~因原(川本町へ入る)

↑長かった江津市が終わり、川本町へ入る。石見川本駅は川本町の中心部で、三江線の駅はそれと因原、木路原しかない事を今回の遠征中初めて知った。もっと駅数が多いと思ったが、川本町は3駅しかないのが意外だった。今まで「かわもとちょう」と思っていたが、中国地方で唯一「まち」と呼ぶ自治体で、「かわもとまち」が正しい。


島根県道295号線 鹿賀~因原の江の川

↑再び江の川。絶景と思えるポイントはいくつかあるが、これと全く同じ姿を三江線車内から見られるのはほんの一瞬しかない。じっくり見たいならば県道を進まないとならないが、三江線に負けないほどの線形の悪さで、「険道」である。意外に交通量も多くあって、たまたま通りかかったクルマが私の前に止まって「乗りませんか?」と言われたが、徒歩移動にこだわったため、断った。

国道261号線 因原駅近く

↑早足で進んで15:50頃には国道261号線に出る事が出来た。ここまで来れば因原駅に着いたも同然で、写真のようにコンビニ、ドラックストアー、ホームセンター、パチンコ屋等のロードサイド店が集中する。すぐ先にある「道の駅インフォメーションセンター因原」で少し休憩する。ぼんやりとバス停でバスの時刻表を見ていると、決して本数は少ない。あっても1~2時間に1本程度で、「スクールバス」と称する一般人も利用可能?と思える便もあった。
因原周辺は三江線で最も活気がある地区で、ロードサイド店を見かけるのも江津や三次周辺を除けば、ここだけしかない。
極端な話、三江線は全線にわたって、現在文明から遠く離れた「ど田舎」を走る情緒ある鉄道であり、そういう世界が展開されているのだ。

★秋の三江線。因原から三次行きの429Dに乗車

JR西日本 因原駅

↑道の駅インフォメーションセンター因原の裏手から直接因原駅に入る事が出来る。2017年に7月に訪問した時に(詳細前述)、どうやって入るのか?疑問だったが、案外簡単で道の駅のバス停から建物沿いに進むと駐車スペースがあって、その奥に階段があるので登るとホームだ。
元々は因原も列車交換可能であったが、三江線の列車本数削減等により棒線化。今や駅舎前のホームしか使われていない。

JR西日本 因原駅 JR西日本 因原駅

↑因原駅のホーム。三江線にしては比較的有効長が長く、ゆったりした構造のように見える。

JR西日本 因原駅

↑因原駅の駅舎右には赤い郵便車が。2017年7月訪問の時(詳細前述)にも記したが、「三江線運輸(有)」の事務所や荷役スペースを兼ねており、旅客が使用出来る鉄道施設は見た感じよりも狭い。写真には写っていないが、駅舎右側の荷役スペースにはトラックが何台も止まり、作業中だった。業務の邪魔にならないように素早く写真撮影だけして、駅舎内へ。
三江線全通(1975年)当時の写真が多く飾ってあった。駅舎は16時にもなるのに、すでに夕暮れに入ってきており、薄暗い。照明も点いていない。因原駅はいろいろと面白い所があって、三江線の駅の中では好きな駅の1つである。

JR西日本 キハ120(321)因原にて

JR西日本 キハ120(321)因原にて

↑429Dは石見川越で遠くから見た426Dの折り返し車両。
江津~三次の数少ない”通し”列車で、混雑で乗車出来ない事を覚悟しつつ車内を見ると、立客が若干いる程度であった。
乗車すると、荷棚には大きな荷物が多い。やはり遠方から来た同業者(鉄道ファン)がほとんどであった。後ろ(キハ120-309)に一旦行ってみるが、雰囲気的に”鉄分濃度”が濃く、途中駅からのお客が入るには少々抵抗感がある感じ。
一応詰めてもらえれば着席は出来るが、その気はなかったので、前(キハ120-321)で探すと、運転席近くのロングシートである優先座席が空いていたので、ここへ着席したのであった。

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