★井川湖湖畔には井川線の廃線跡が残る

井川でそのまま折り返すのはつまらないので、簡単に周辺を散策して1時間後の列車で戻る。

大井川鐵道 井川駅

大井川鐵道 井川駅

大井川鐵道 井川駅

↑井川駅のホームは単式。線路はさらに1線分敷いてあって、有効長自体はホームが途切れた先まで延びている。車両を留め置きするスペースは存在するが、この時は留置車両なし。





↑折り返しの203レで千頭に戻る。井川駅は列車別改札のため、折り返し列車に乗る場合も一旦改札の外に出るように案内される。

大井川鐵道 井川駅

↑井川湖湖畔の堂平駅まで続く線路。トンネルを越えれば井川湖湖畔であるが、現在はトンネルが崩落しているらしく物理的に通り抜ける事が出来ない。

大井川鐵道 井川駅

↑井川駅は有人駅。発車10分前に改札口が開くためそれまでは閉ざされている。

大井川鐵道 井川駅

↑井川駅の駅舎。木造の建物に飲料水の自販機とトイレ。階段を降りると川の水が水量多く流れる。静岡県道60号線に面しており、土産物と飲食類を販売する商店が真ん前にある。ここに立ち寄る同業者(鉄道ファン)の姿も。

井川湖

井川湖

↑井川ダム周辺。駅から道なりに歩くとダムの頂上付近に立つ事になる。当然事ながらかなりの高さがある。

井川湖

↑井川湖から下流に向かって勢いよく水を落とす事になるが、その真上は県道60号線が通っており、静岡駅までだとクルマで約2時間かかる。ここも広い静岡市である。

井川湖沿いの井川線廃線跡歩道

↑井川湖湖畔を歩くと遊歩道が整備。レール・マクラギがそのまま残っていた。これが井川線の堂平駅に向かう線路の一部であった。井川駅に接続するトンネルも残っていたが、内部が崩れているようだった。

井川湖

↑遊歩道から井川湖を見る。無料の渡し船も日中概ね1時間~2時間に1便の割合で運行されている。これは井川ダム付近から井川地区の中心部(静岡市役所の井川支所付近)までで、片道10分程度だ。

しずてつジャストライン 539 日産Dスペースプランナー

↑井川駅に戻ると、静岡駅から来たしずてつジャストラインの路線バス。畑薙第一ダム行きのバスで、南アルプスへの登山者を主なお客としている。井川駅からの乗車は出来ないが(静岡駅行きは乗車可能)、休憩のため約15分止まっていた。
扱いとしては全席指定の7~8月の期間限定便である。今や通年静岡駅~井川地区の路線バスは実質的には途中で乗り換えと言う形で継続しているが、井川地区で完結するそれはジャンボタクシーを使う形なので、輸送力が低い事や事前予約が前提である。

★大井川鐵道の路線バスで閑蔵から寸又峡へ

井川からは204レ(12:33発)で1駅閑蔵で下車。閑蔵からは路線バスに乗り換えた。車内でも乗換の放送をしていたが、千頭には井川線列車よりも約1時間速く着く事が可能だ。便数は少ないがショートカットする事が可能で、井川線とセットにすれば1つの周遊コースが出来る。

【便名】52便
【時刻】閑蔵駅13:00→奥泉駅13:20
【車両】三菱エアロバス、静岡22か2618



↑204レから下車して、52便に乗り換える。このような動きをする人は他にもいて約10人いた。
今年3月に来た時は”冬眠中”であった手打ちそば屋は”活動”していた。バイクで来たお客が何人かいる程度で、他にこれと言ったものがないのが閑蔵だ。
定刻で発車し、谷と谷の間にある大きな橋を渡る。トンネルを越えて建物が増えると接岨峡温泉。2人乗ってきた。
ナンバープレートからわかるとおり、古い車両で約30年前から活躍しているように見える。案内放送は運転士の肉声のみで、運賃表示機はなく、いわゆる三角運賃表が掲示されているだけだった。
奥大井湖上駅近くの湖上入口からも6~7人が乗車。11%の登り坂のど真ん中にバス停があるので、リスタートが大変そうに見えた。

大井川鐵道 奥泉駅バス停

大井川鐵道 奥泉駅バス停

↑奥泉駅で下車したのは私だけ。「下開土遺跡」が近くにあるようで、縄文時代の住居=トイレとなっていた。

★寸又峡観光は意外と時間がかかる

【便名】81便
【時刻】奥泉駅13:30→寸又峡14:00
【車両】三菱エアロスター静岡200か12



↑奥泉駅で寸又峡行きに乗り換え。今度は新しい車両であった。
発車すると後ろからも同じタイプの車両が追いかけてくる。2便での運行。それだけお客が多いのか?と思うほどで、概ね10人位しかいない。
静岡県道77号線を進むが、幅員が狭く曲線も連続。なのに速度を落とす事なく”攻めの運転”でグイグイ進む。車内の揺れ方も半端ない。真面目に乗り物酔いしそうでまいった。



↑後ろから追いかけてきた車両も同一車種。前ドアのみ乗降可能で、リクライニング出来そうに見えるシートも実際には出来ない。
本来は寸又峡温泉の中心部まで行くが、バスは手前の駐車場に止まって、ここで降ろされる。
お盆期間中のため、温泉街に車両乗り入れが出来ないための処置で、千頭行き最終の17:20発以外はここからの発車。17:20は温泉街からの発車。

意外に観光客が多かった。大井川流域ではメジャーな観光地ではあるが、都市部からはアクセスが大変で距離もある。クルマで来た人がほとんどで、静岡県外のナンバーも目立つ。ほとんどがカップルや家族連れだ。

寸又峡 温泉街

↑寸又峡の温泉街。日帰り入浴施設を含めれば10軒程度あって、それだけなれば500円もあれば温泉が楽しめる。

寸又峡の夢のつり橋への道

↑温泉街を抜けると山道を歩く。基本的には歩行者天国で保守管理用のクルマを除き、クルマが通る事はない。
とにかく人が多くて、ガラガラかと思ったがそんな事はなかった。人が切れたタイミングで撮影したが、少しすると再び大勢に人々とすれ違う。前述のとおりほとんどがカップルか家族連れで、名古屋や大阪から来た人が多いようだ。

寸又峡 夢のつり橋

寸又峡 夢のつり橋

寸又峡 夢のつり橋

↑30分ほど歩くと「夢のつり橋」。
エメラルドグリーンを期待したが、先日の台風で水は濁ったままで水量も多め。
近くまで行ってみると、夢のつり橋を渡る人の行列。1回にわたる事が出来る人は10人までである。最大では2時間待つ事もあるとの事だが、それでも今回は20分も待つ事になった。
夢のつり橋までは急な階段や坂があるため、歩行には注意が必要だ。
夢のつり橋では、写真撮影等する人が多いがスマホを川底に落とす人も多いため、基本的にはやらない方が良いだろう。

夢のつり橋が終わると304段もある心臓破りの長い階段。傾斜もキツイ。尾崎展望台が休憩場所でここで10分程度休憩。飲料水の自販機もあった。
この先の飛龍橋は夢のつり橋を含めて寸又峡全体を見る事が出来て、いかに深い谷の中にあると思うと、秘境に来た感じがたまらなかった。

寸又峡の温泉街に戻ると16:30頃。予定していた16:00発の84便には乗る事が出来ず、約1時間次発の86便が来るまで待つ事になった。
この辺は土産物店や飲食店、温泉もあるので時間を潰す事は出来る。

思っていた以上に時間がかかった。寸又峡中心部の温泉街から夢のつり橋等の観光地は意外と離れており、単純に往復するだけでも90分。そこで、つり橋を渡るまでの待ち時間、この周辺でゆっくりする時間を考えれば、ざっと120~150分は必要だ。
短時間にパッパッと観光できないのが寸又峡である。



↑千頭行き最終の86便は閑蔵から乗った52便と同じ車両であった。
この便に乗ったお客はこの先、千頭で16レ金谷行き(18:28)に乗り換えて金谷までの”通し”であった。

・・・1年ぶりに大井川鐵道に乗ったが、ソフト面で大幅に変化していたのは、非常にビックリした。
昔は結構”変な接客”で、それはそれで面白いが、世間的な常識で見れば「そのやり方はないんじゃないの?」と言えるものだった。
それが、やっと世間的な常識レベルに追い付いた格好で、やや丁寧な言葉の言い回しだったのが印象的。
これは経営体制が名鉄からホテルを営む北海道の会社が親会社になったので、ホテル業界の当たり前をそのまま大井川鐵道に導入しても、何らおかしくない。

”トーマスさまさま”のような所もあって、客車も業績も牽引した。数年ぶりに1億円を超える利益を残せたようで、こうなってしまえばトーマスを捨てる事は出来ない。
むしろ、捨ててはいけないだろう。
「リアルトーマス」が毎年夏に必ず乗れる体制は来年以降もしっかりと整えていただきたい。
一方で、大井川本線だけではなく、井川線や路線バスでも展開すれば、もっと面白くなるし、トーマスで楽しんだお客が千頭から先の井川線や寸又峡にも足を伸ばす事は確実だ。
これは大井川鐵道だけではなく、川根本町の経済効果、観光客増加はまちがえなく、静岡県ワーストの過疎化進行の町にとってメリットはあまりにも大きすぎる。
私としては、来年大井川本線に電気機関車のトビー(7)が登場する事を期待している。