★新金谷を見れば大井川鐵道の全部がわかる!ジェームスの朝の準備風景を見る

新金谷駅は大井川鐵道本社、SLや普通電車を整備する新金谷車両区も同居する心臓部である。
個人的には2017年になってから大井川鐵道の撮影等は3月11日(土)に千頭で開催された「SLフェスタ」だけで、同社のホームページですらも定期的なチェックをしていなかった。
だから、今年の「トーマス」がどんな規模なのか、西武からもらった電気機関車やJR北海道からもらった客車がそろそろ稼働開始?のようなウワサを聞いていたので、現状どうなっているか知りたかったのが本音。

「新金谷を見れば全部わかる」

ことが頭の中に入っていたので、早速新金谷へ。

大井川鐵道 新金谷駅

↑改札口を通ると、駅員はトーマス仕様の制服と帽子。本線の普通電車の乗務員と少しだけ雰囲気が違う。
大きな変化として気付いたのが、ナント液晶式の発車案内表示機がある事だ。昨年の今頃も新金谷駅を利用したが、この時にはなかったので、この1年で新設したようだ。
この発車案内表示機がかなり丁寧かつマニアック。
時刻、行先、日本語と英語表示に加えて、両数、車種(それも南海21003と具体的な編成番号まで)、SLの空席状況までも出てくる。ここまで細かく出す事は珍しい。ただ中国や韓国からのお客も多いので、中国語やハングルに対応できた方が良いだろう。

大井川鐵道 新金谷駅

↑駅頭の郵便ポストはSLを連想させる「黒」。トーマスもお出迎え。
駅前にはすでに多くの係員が立っていた。SL利用者優先で専用駐車場を完備しており、具体的な駐車位置の案内等の誘導役であった。
クルマのナンバーを見ると地元の「静岡」は少数派で、ほとんどが静岡県外からである。新金谷へのアクセスも新東名の開通で飛躍的に向上し、島田金谷インターから約10分の立地だ。
SL乗車ではなく、単に新金谷駅の見学の場合は駅併設の有料駐車場に案内されるが、駐車できる台数が少ない事、「トーマスフェスタ」(2017年10月9日までのトーマス運転日に開催。メインは千頭)期間中は大井川河川敷(新金谷駅から約1キロ離れた場所)に臨時駐車場を用意し、ここに駐車するようにアナウンスされている。





↑金谷~新金谷で乗ってきた81レの南海21001系、21003編成は臨時に運行される急行の運用に就くため、既にサボが付けられていた。



↑SL用の客車。新金谷駅の側線のほとんどの部分に止められていた。



↑新金谷駅の駅舎から少し離れた場所にあるのが、新金谷車両区。
SLは全てここの所属で既に煙が上がっていた。電車とは異なり電源投入しただけで稼働するものではなく、時間をかけて少しずつ準備しないと本線走行出来ない。発車は10時以降であるが、8:20頃の時点でご覧の通りなので、準備は6~7時台には開始されていたはずだ。「SLの朝」は早いのだ。



↑ジェームス(C56-44)が煙に包まれていた。周辺では作業員が何人も出て必要な作業をしている。



↑”化粧直し”もジェームスを美しく見せるための大切な作業。SLの煙による「すす」が付着しやすい。トーマスの運行が始まってから客層が大幅に若返ったような気がする。車内にはエアコンがあって当たり前、窓は閉まっていて当たり前、車内は明るくて当たり前、座席はリクライニングして当たり前・・・と言う考えを持った「SL本来の魅力」を知らない人が増えているため、「走行中窓から首や手を出さない」、「トンネル走行時や風向きによっては”すす”が衣類等に付着する事がある」と言った基本的な事を大井川鐵道が説明している。
あくまでも「トーマス」「ジェームス」と言う”お面”を既存のSLに被せただけなのだ。









↑ジェームスがゆっくりと車庫から出て来た。後ろには準備中のトーマスも姿を現す。
ジェームスは私がいる少し手前で停車。近くにいる作業員が分岐器を操作。ジェームスの居る場所を変更するための移動だ。





↑SL特有の汽笛を鳴らす事はなく、煙を足回りから吹き出すと推進運転(バック)開始し、元居た場所とは異なる線路へ。



↑すると今度は、いぶき501が登場。私には「トビー(7)」にしか見えなかったが、大井川鐵道のトーマスと仲間たちはSLが対象のため、電気機関車は設定されていない。私としては来年以降はトビーの登場と彼がけん引する営業列車を見てみたいものだ。



↑いぶき501はジェームスの前へ。横では元東急の7305が準備完了。





↑7305が単行の姿で奥へ。この後新金谷~金谷だけを往復する運用に就く。単行運転も可能であるが、実際に営業列車でそうなっているのを目撃したのは今回が初めてだ。基本的には7204と一緒に2両で営業する。



↑ジェームスは下にあるライトを点灯。大井川鐵道のSLは上部にライトがあるはずであったが、ここに設置すると「顔」がおかしくなるため、下に移設したと思われる。



↑新金谷車両区を離れて、新金谷駅へ向かうとお客はどんどん増えていた。途中にあるバスの整備工場。そこには赤い車体をした「バスのバーティー」が整備中。10:20頃に新金谷を発車して、塩郷付近でトーマスと一緒に走る事になっている。
大きなバスではないため、乗車定員が16人と少なく、旅行ツアー形式となっているため、トーマスやジェームスに乗車するよりも難関と言える。







↑新金谷車両区の反対側に移動。大きく回り込むため徒歩10分程度かかる。住宅街の狭い道を通るため、それなりに道がわからないと行く事が出来ない。
さすがにここから撮影している人は皆無に等しく、新金谷車両区全体をよく見る事が出来るので、私としてはオススメの場所だ。



↑元近鉄の16000系、16002編成が多くのお客を乗せて目の前を通過。9:06発の千頭行き5レで、6~7割のお客が新金谷で下車。トーマスがお目当てなのは言うまでもない。





↑至近距離からジェームスとトーマスを見てみる。



↑ジェームスの後ろに居たのは、当分の間使う様子がない元東急7204、元西武E32(電気機関車)、元南海21001・21002が。
7204はたまたまこの日運用に就いていないだけだと思われるが、それ以外については実質的に休車状態。21002には「休車」と書いた札がかかっていた。
ウワサでは元西武の電気機関車や後術する元JR北海道の客車が2017年度中に営業開始と聞いているが、実際にはそのような動きを見せない。

「鉄道チャンネル546」と言う動画サイトを見ていたら、大井川鐵道の名物広報マンが登場しており、この人の説明によると「ATSを設置する費用が用意出来なかったので、休車状態が長くなった。今年度(2017年度)中に営業出来るように準備中」と言っていた。
それが現実。JRや大手私鉄のように潤沢に資金があるわけではないので、必要な装置の搭載する費用が用意出来ない、全般検査(車検)する費用も用意出来ないからしばらくの間休車状態、それが出来ても自社で整備出来る範囲は限界があるので他社委託しているのも現実で、南海や近鉄の整備工場の都合にも左右されるのだ。



↑元JR北海道の客車は側線に置かれたままで、最近動かした形跡もない。これが使用開始出来れば、若い世代が当たり前と考える事、すなわちエアコンがあったり、リクライニングする事が現実のものとなる。
客車はSL以上に老朽化が進行しており、本音は新しく更新したいのであろうが、すでにJR・私鉄を含めて”出玉”が存在しない。そうなれば、大切に長く使うか、新造するしか選択肢がない。
新金谷車両区を歩いていると、良い所と悪い所の両面がハッキリと見えてきた。

3回目に続く。