先日こんなコメントがあった。

「JR東海のバスの急行の休憩時間が短すぎ。5分だとトイレにも行けない」

これはJR東海を批判した記事で付いたもので、同社と直接は関係ない。
詳しくは書かれていないが、東名ハイウェイバスのJR東海バス(JR東海の100%子会社)担当の急行便に乗った時に感じた批判と思われる。
高速バスでは一部例外を除き、目的地までの途中にあるサービスエリア等の道路休憩施設に立ち寄りドアを解放。お客が下車してトイレや買い物等出来る事が多い。これを「解放休憩」と言う。

しかし、解放休憩をするタイミング、する場所、停車時間、やり方等は、便名やバス会社により大きく異なる。統一されていないのである。
便名は同じでも、運行するバス会社が異なれば休憩場所や停車時間等が異なったり、途中で運転士交代のために運転停車(お客が車外に出る事は出来ない)もある。

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↑例えば、東名ハイウェイバスの場合、運行区間や便名が同じでも運行会社により”差”が生じる。
前述のコメントにあった通り、東名本線上の全てのバス停に止まる「急行」は、解放休憩はたったの5分だけ。
これが停車駅が少ない「超特急」や途中無停車の「直行」になれば、それは10分に延長される。
東名経由で東京~名古屋を通る「東名スーパーライナー」の場合、JR東海バス担当分については、東名静岡(静岡インター)で必ず運転士交代となる。この駅は営業扱いもあるため運転停車にはならないが、停車時間は長めに設定されており、ダイヤ上は10分停車が基本だ。
解放休憩は足柄・浜名湖サービスエリアの2ヶ所。

一方、JRバス関東担当分では東名静岡での運転士交代は実施しない。
同社の場合、大阪行きは三ヶ日インターを降りた目の前の場所で西日本JRバスの運転士と必ず交代するが、名古屋行きではここでの交代もなく、東京~名古屋を1人の運転士が”通し”で乗務する。
そのため、解放休憩の回数が1つ多く、日本坂パーキングエリア(静岡IC~焼津IC)も加わる。

停車時間もポイントだ。
JR東海バスでは、例外なく「キッチリ10分」である。
私はある時、名古屋から東京行きの「スーパーライナー」に乗った。浜名湖サービスエリアで解放休憩する際、着いたのは9時43分。
運転士から告げられた発車時刻は10分後の9時53分であった。
これは他の便でも言える事で、特に昼行便では「キッチリ10分」(前述の「急行」を除く)が徹底されている。

個人的に、JRバス関東担当分のそれには乗った事がないので、わからない点もあるが、「駿府ライナー」で見てみると、「キッチリ10分」と言う事はなく、「キリの良い時刻に発車」だった。
ある時乗ったら、休憩場所に20時52分に着き、発車は21時05分であった。「0分」「5分」で発車時刻を決めているようで、これは「スーパーライナー」でも変わらないと思う。お客としてはこの方がわかりやすい。
すなわち、便名が同じでも運行会社が異なれば、休憩する場所、停車時刻、回数も違ってくる。

★「適切な停車時間」は何分が良いか?

バス会社に言わせれば、解放休憩はお客のためにやっているのではない。
長時間ハンドルを握る運転士が肉体的に疲れてくるため、概ね2時間おきに休憩させているのだ。これは法律でしっかりと決まっている。
「運転士がしっかりと休憩できてから発車する」が基本なので、運行距離や時間帯(夜行では長めになりがち)等によって変化してくる。
昼行では、概ね10~20分程度で、ほとんどは「キリの良い時刻」を発車時間と設定している。
お客にとっても、10~20分程度あれば、トイレや買い物したり、タバコ1本吸う程度の時間は十分あると言える。

「お客全員が自然と車内に戻ってきたら発車する」

これが適切な停車時間ではないかと私は思う。
私の経験上、15分もあれば全員自然と車内に戻ってくるので、ちょうど良い。
10分ではやや短く余裕がない。
逆に20分だとお客が発車を待つ格好になってしまい”退屈した雰囲気”が車内を漂ったりもする。

JR系のバス会社では、労組との契約もあるだろうから、そう簡単に休憩時間の延長や短縮は出来ないと思う。
その場で応じた休憩が出来ていないのも事実で、「キッチリ10分」と言うのは柔軟性がない。
運転士側に立ってみれば、「ダイヤを死守する」雰囲気が強い。制限速度(100km/h)ギリギリでの運転も少なくない。
一方、私鉄系のバス会社は正反対で、ダイヤ上10分となっていても、実際には10分以上になる事が多く、「キリの良い時刻に発車」が基本だ。「少しくらいはダイヤが遅れても仕方ない」と言う雰囲気だ。