千頭からは13:46発の井川行き列車に乗り、長島ダムに向かう。
車内は進行方向に向かって左側に1人掛け、右側に2人掛けの
ボックス席が配置。
どのボックスにもお客が座っている状況で千頭を発車。
千頭の街中を少し通ったかと思いきや、すぐに大井川の川沿いに
従い進んで行く。
↑川根両国では制服を着た大井川鐵道の関係者が
お客を3人車内に誘導する。
大井川鐵道の関係者と書いたが、川根両国は無人駅。
井川線の乗務員が所属する両国列車区があり、
ホームの井川方の奥にある電気の点いた
建物がそれであった。
恐らく制服を着た関係者は駅員ではなく、
井川線の乗務員か、両国列車区の内勤者であろう。
↑川根両国~沢間(さわま)
川根両国駅近くに架かるつり橋についての案内が車掌からなされ、
それが消えると木に覆われた山深い所をレールから大きな音を
軋ませながら右に左にカーブする。
線路周辺には「中部電力所有」と書いた小さな標識が
あちらこちらから見えてくる。
井川線のレール自体は中部電力が所有し、運行は大井川鐵道が
行っている形を取っている。
井川線で赤字が生じた場合は、赤字分を中部電力が補てんする
システムとなっている。
大井川流域のダムは長島ダムを除き全てが発電目的となっており、
それを発電・維持管理するために中部電力の施設が数多く存在する。
川根両国駅の周辺にもダムではないが、同社の大きな建物があり、
県道に通じる小さな道沿いには社員寮もあったりする。
↑沢間駅
乗り降りするお客はいない。井川線でそれがあるのは限られた駅と
言っても過言ではなく、大半が秘境駅若しくはそれに準じる。
ホームの高さがかなり低いのも特徴で、列車との段差がありすぎる。
↑沢間~土本(どもと)
窓が最初から開いているので、こんな写真も撮影出来る。
今の列車は換気するために小さく窓が開く程度で、
井川線列車のように窓を大きく開ける事が出来る列車は
かなり減った。
安全上の問題や空調効率を高めるために仕方のない事であるが、
窓から入ってくる外の空気は新鮮そのものである。
↑土本駅
↑土本駅に通じる道路
土本駅は1991年まで駅に通じる道路がなく、完全無欠の
秘境駅であった。
道路が出来るまでは生活に必要な物資は井川線で
運んでいたと言い、同線が命綱的な重要なインフラであった。
それは今でも変わりないが、土本駅周辺には4世帯しかなく、
そのうちの3世帯が土本姓である事から、周辺に住んでいる人の
名前が駅名になったのは全国的に見ても珍しいのではないか?
↑川根小山駅
この駅は列車交換が可能。千頭行き列車の交換待ちとなった。
↑千頭行き列車が着く。ホームの前方には車掌が立つ。
信号が変わったことを認めると、手笛を鳴らし客車内に乗り込む。
運転士に対して手を直角に上げると小さな衝動が
起こり発車してゆく。
客車列車なので、一般的に車掌は無線で運転士に
発車の旨を伝えるが、井川線では無線は使用せず、
全て手や動作で伝えている。
車掌が取り残されるリスクはあるのでそれを考えれば無線式が
良いと思う。
全ての車両に放送用のマイクや車掌ブレーキ装置。
車内の通り抜けが出来ないので、途中駅でお客が乗ったら、
乗った車両に車掌が乗務。
次の奥泉は有人駅。客車のドアは手動のため車内にいるお客が
走行中にドアを開けないようにするために、外からロックされている。
奥泉に着くと、降りようとするお客がいる車両のロックを解除するのは
駅員と車掌の役目であった。
奥泉でまとまって降りると、次は井川線最大の見もの
アプト式区間の小さな車両基地があるアプトいちしろだ。