ライフコースマーケティング
- ライフコース・マーケティング―結婚、出産、仕事の選択をたどって女性消費の深層を読み解く/著者不明
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”顧客の長期的な変化に関心を持ち、それに沿って自社も変わってゆくこと”
これが本書に込められたエッセンスであると思う。
本書は現代女性を題材にそれを提示している。
前書きにこうある。
“現代女性のライフコース変化に焦点を当て、それに起因する市場構造の変化や新たな消費動向、そして必要とされるマーケティング対応上の方向性について、3つのパートと7つの章という構成で論じてゆく”
(ライフコースとは、「個人が一生の間に辿る人生の道筋」を指す。同前書きより)
著者が指摘しているとおり、顧客つまり個々人の生き方に長期的な変化をもたらすのは世の中の変化である。
個々人のライフスタイルは世の中に適応しようとする中で造られてゆく。
世の中が変われば、個人も変わらざるをえない。
この当たり前のことを学ぶのに現代女性ほど適した教師はいないだろう。
他の先進国からは「遅れている」と揶揄されているとはいえ、一昔前と比べれば社会で活躍する女性は多くなった。
それに伴い働き方はもちろん、結婚、出産、育児といった重要な人生の出来事の在り様も変化し、現代女性のライフコースは多様化した。
ところで多様化する、というのはニッチマーケットを狙うマーケッターにとっては好ましいことだろう。
色々な提案が可能になるからだ。
ライフスタイルに関する流行り言葉が生まれては消えてゆくのを見るにつけそう思う。
草食男子、ちょい悪オヤジ、腐女子、おひとりさま、などなど。
これらのスナップショットとも言うべき流行りを生むことはマーケッターの力量の証であり、その発想、物事の捉え方に感心させられることも多い。
しかし、著者はこうした流行りの追求一本槍になることに警鐘を鳴らしている。
“(マーケッターは)目の前で起こる様々な「変化」には敏感に飛びつくが、木をみて森を見ずで、その変化の底流にある構造変化には鈍感である”
確かに企業はそのステークホルダーの為に永続を目指すべきものであり、単なる一発屋に終わるわけにはいかない。
一つの製品やサービスとともに消えてゆく訳にはいかない。
そうならない為には、一枚のベストショットに浮かれることなく常に顧客の行く先を読み、先回りしてファインダーを切り続けねばならないのだ。
であるならば、私はこの「ライフコースマーケティング」という概念は経営戦略に親和性の高いものであると思う。
経営戦略を立案するのに、将来の事業環境変化の分析は不可欠であり、その変化とは顧客の変化に他ならない。
真田幸村はその武勇と忠節で人々に強烈な印象を残した。
しかし、家を守ることはできなかった。
著者が本書でマーケッターに問うていることは非常に重い。