ざっくりわかるファイナンス
- ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)/石野 雄一
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“ファイナンス”、日本語では“財務”である。
前者がカタカナ英語として定着したのは、2000年代を迎えてからだろうか。
新聞、雑誌記事、そして書籍のタイトルにおいても、財務よりはファイナンスを使用しているものが目立つ。
ファイナンスがまだ、“財務”であった頃、同系列に扱われることの多い“経理”より遥かに遠い存在だったように思う。
財務より身近に感じるのは私だけであろうか。
その役割が想像しやすくなったような気がするのである。
私は、“ファイナンス”という言葉から“借金”を連想する。
なぜなら、世の中には“ファイナンス”という単語を社名に用いている金融業者が沢山存在するからだ。
こう言うと、「ファイナンスの役割とは、金を借りることか、もしくは融資することか」と思われるかもしれないが、間違いではない。
そこに、「ある組織の価値を最大化する為に」という副詞が付けば。
企業の、と付けば、コーポレートファイナンスである。
つまり“ファイナンス”とは、この目的を果たす為に、資金調達、投資、配当を行ってゆくことを指すのであり、借金も融資も、その主体客体は入れ替わるとは言え、ファイナンスの一部だ。
こういった”富の増幅装置”としての役割を、ある組織は、ファイナンスを活用して果たすことが求められているのである。
当然、このある組織は、価値を最大化する過程で社会に貢献する。
雇用、革新的なサービスなどなど。
だからこそ、ファイナンスは単なる金儲けとは異なる。
本書は、ファイナンスの基本的な部分について分かりやすく概説している。
入門書としてお勧めしたい。
コーポレートファイナンスがテーマであり、読者対象はビジネスマンだ。
おそらく、営業や販売に関わっている方であれば、よりスムーズに内容を掴めるだろう。
加えて、読後は、会社全体、ビジネス動向全体を見る視点が生まれているはずだ。
日々目にするM&Aのニュースやあなたの会社が取り組んでいる新規事業、これらが身近になる。
身近になるとは、その背後にある企画・試算段階での担当者の苦悩や思惑が想像できるようになるということである。
しかしながら、 我々ビジネスマンとしては、1点注意しなければならないことがある。
それは、我々がたくさんの変数に囲まれた、極めて流動的な舞台に立っているということである。
ファイナンスには確立された理論と公式があり、あくまで予測とは言え、この流動的なものを数値化することが可能である。
だが、企業がお金を動かす時に、下心と無縁ではいられない。
あなた自身が試算する場合でも、他者が行う場合でも。
また、試算はあくまで試算である。
想定外は必ず起こる。
努めて客観的に、そして柔軟であろうとしなければ、道を誤るだろう。