彼女は僕の部屋に住み着いてしまった。
「アパートの大家さんが心配するから帰った方がいいよ。」
「お母さんや友達から電話が掛かってくるだろうから、自分の部屋にいた方がいいよ。」(当時はまだ携帯電話は普及していなかった。)
といくら言っても、「だって快適なんだもん。」と言って彼女は帰ろうとしなかった。
着替えの下着は大学からの帰り道にアパートに寄って持ってきていた。しかしある日、着替えの下着がなくなり、アパートに取りに行くのも面倒だと言って、僕のパンツを履かせて欲しいと言い出した。
普通、女の子は他人の、しかも男のパンツは、彼氏のものであっても履きたくないのではないだろうか?
それに僕の方もたとえ彼女であっても他人が自分のパンツを履くのは嫌だった。
僕はしばらく嫌がっていたが、「ちゃんと洗って返すから」(そういう問題じゃないが…)としつこくせがむので、根負けして貸してやったのだった。
僕のパンツ(トランクスに近い形のブリーフだった)を履いた彼女は、「あーっ!これいい! 快適!」「締め付けないし、程よく包まれる感じが安心感がある!女ものは小さすぎるし、キツイから好きじゃない!」と、すっかり気に入ってしまったのだった。
それからは、時々僕のパンツを借りて履いていた。
僕は他人とパンツを共有するのは嫌だった。
数日後、彼女は週末実家に帰ることにすると言う。彼女の家は電車で1時間半程度のところなので、気軽に帰ることができる。
ずぼらな彼女は自分の洗濯物を全部カバンに詰め込んで、実家に持って行き、お母さんに洗濯してもらう魂胆だった。
そうやって詰め込む洗濯物の中に、僕のパンツも含まれていた。