土砂災害は、大雨などが続いた後に地盤がゆるんで起こることがあります。
火災保険では、こうした甚大な被害がある土砂災害について補償しているものなのでしょうか。
土砂災害と火災保険の補償についてのお話です。
土砂災害でマイホームに被害…火災保険はどう役立つ?
大雨が降ると土砂災害が起きやすい
台風や集中豪雨などがあると、これらを原因に土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害が発生することもあります。
家が潰されたり、家の中に土砂が入ったりと大きな被害がある土砂災害ですが、実は火災保険で補償をつけることができます。
土砂災害と火災保険の補償について、契約の際のポイントや注意点とともに解説していきます。
土砂災害と火災保険の補償内容
最初に、火災保険の主な補償内容について確認しておきましょう。
保険会社ごとの火災保険商品やプランによって違いがある点を念頭におきつつ、読み進めてください。
火災保険の損害保険金の補償内容は、主に次のとおりです。
- 火災
- 落雷
- 破裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 建物外部からの物体の飛来・落下・衝突
- 給排水設備の不備による水濡れ
- 騒じょう・集団行動・労働争議に伴う暴行
- 盗難
- 『水災』
- 偶然な事故による破損など
1~4までの補償はたいていの火災保険で補償されています。最近では、自分で必要な補償を選ぶ火災保険などもあり、補償内容もさまざまです。
土砂災害は上記の内容の9.の「水災」で補償します。 水災というと大雨や台風、ゲリラ豪雨(集中豪雨)などによる洪水や高潮、床上浸水などです。
火災保険の補償上、ここに土砂災害が入ります。
火災保険では水災といいますが、水害と同じ意味です。
土砂災害と水災の補償、各社の火災保険商品の状況は?
現在、損保各社が取り扱っている火災保険は、水災の補償を自分で除外したり、自分で除外されているプランを選ばない限り通常は補償されます。
すでの発売されていない旧来損保各社の共通商品であった火災保険のうち、住宅火災保険・普通火災保険などでは水災の補償はありません。
補償があるのは、住宅総合保険・店舗総合保険です。
仮にこれらの契約が残っているとすれば保険期間20年、30年などの長期契約でしょうが、保険金額(契約金額)の設定や保険金の支払いなどは現在のものとは違いますので、こうした機会に確認しておいてください。
土砂災害を火災保険で補償する際のポイント
土砂災害を火災保険で補償する注意点は?
火災保険も以前とはかなり状況が変わってきています。
火災保険も安いものに目が行きがちです。
住居が高台にある、もしくはマンションの高層階に住んでいるのであれば、水災の補償はいらない(その分保険料は安い)というような話はよく聞きます。
近くに川などもなく、床上浸水の心配はないと思っても、自宅の後ろに崖や山があって土砂災害の可能性があるなら、安易に水災補償がないタイプにするのはリスクが大きいということです。
自然災害や事故は何があるか分かりません。
どんなことに不安があって、自分の住まいの周辺の環境がどうなっているのか、自分に必要な補償、負担する保険料など、さまざまな角度から火災保険のプランを検討してください。
土砂災害と火災保険金の支払い
土砂災害、つまり水災補償と火災保険の損害保険金の支払いについても知っておきましょう。
水災関係の補償は、通常「床上浸水もしくは地盤面から45センチ超の浸水」「損害割合30%以上の場合」といった規定になっていることがあります(損保会社によって多少規定は異なります)。
単に水災の補償があるから安心というのではなく、災害にあった場合の保険金支払いにこうした規定や自己負担などがないかも、契約のときに確認しておきましょう。
実際の水災の保険金の支払いは商品によって細かく規定されています。実際の損害を支払う「実損払い」や損害割合に応じて支払う「定率払い」があります。
<定率払いの例>
損害額が新価額の30%以上 損害額
損害額が新価額の15%以上30%未満 保険金額×10%
損害額が新価額の15%未満 保険金額×5%
このように結構細かい部分がありますので、必ずチェックしておきましょう。
水災の危険が高そうであれば、この部分の補償を厚めにできる実損払いの火災保険を検討するのも選択肢の一つになります。
もちろんその分保険料は高くなるので、保険料とのバランスは考える必要があります。
損害保険ガイドから今日のポイント
土砂災害も火災保険で補償できます。保険金支払いについても確認した上で火災保険の水災の補償を設計してください。
損害保険ガイド 平野 敦之