東日本大震災による巨大津波が引き起こした福島第一原子力発電所の事故は、放射線による被ばくへの不安をかきたてています。
外出しても大丈夫か、水は、野菜は 放射線研究の専門家に聞きました。
胃のX線集団検診=0・6ミリシーベルト
福島第一原子力発電所で事故が発生し、放出された放射線による健康被害を心配する声が強まっています。
中には、関東圏以外や海外にまで「避難」する人も出るほど。では、東北南部や関東地方は、そうしたことも具体的に考えなければならないほど、差し迫った危険にさらされているのでしょうか
事故後、「シーベルト」とか「ベクレル」とか、今まで耳にしたことのない用語が報道にあふれるようになりました。その分かりにくさも、実際に起こっていることを正しく理解する妨げになっているように思います。
チェルノブイリ原子力発電所事故後の医療支援にも携わっているあるお医者さんに取材した時、知っていると便利な指標を教えていただきました。
みなさんは、胃のレントゲンを撮ったことがおありでしょうか あの撮影1回で浴びる放射線量(被ばく量)は、およそ0・6ミリシーベルト(mSv)。この数値を「モノサシ」にするのです。
例えば、文部科学省の計測によれば、東京の放射線量は3月23日がこれまでの一日平均で最も多く、1時間当たり0・ 146マイクロ(マイクロはミリの1000分の1。これもややこしい!)シーベルト(μSv)。
これに24(時間)を掛けた3・504μSvが、1日の放射線量ということになります。
さらに365(日)を掛けると1278・96μSv。すなわち1・3mSvが、同じ状態で1年間放射線を浴び続けた時の被ばく量です。
さきほどのモノサシで計ると、2倍とちょっと。つまり、東京の放射線量がずっと変わらないとして、1年間に浴びるのは、胃のX 線検査のおよそ2回分ですね。
しかも、これは1年間昼も夜も(眠る時も)ずっと屋外にいた場合の話で、当然のことながら、屋内に入れば被ばく量は格段に少なくなるのです。
ちなみに、同じように放射線を使うCTスキャン(X線コンピューター断層撮影検査)では、1ケタ上の6~10mSvの放射線を浴びています。
実は、私たちは日常的に宇宙や大気、大地、それに食品などから、自然放射線を受けています。その量は、世界平均で年間2・4mSv。ブラジルのガラパリ地域の人々は、1年間に10mSv程度の放射線を受けています。
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ガイド南山 武志