フェミニズムとはそもそも何でしょうか。それは「女性の権利を向上させる社会運動/思想/学問」を総合したもの、といえるでしょうか。一般に「女性の」と認識されますが、私は「非男性の」と捉えるほうが良いように思います。18世紀末に成立したフランス人権宣言などの「人権」概念のなかで取りこぼされてきたひとたちの権利を引き上げて真の「平等」を目指すものです。
さて「フェミニズム」というと「○○派」だの「○○主義」だのと色々な派閥があり、混乱してわけがわかりません。まあ歴史的な発展のなかで、色々な考えが作られ、相互に批判があり、発展してきたわけです。「じゃあ、初心者はどこから手を付ければいいのか」。私は、まず「最新の到達点」を把握して、
そんな状況で「まず入口として」この本ならお勧めできるなと思うのが、最近出たばかりの「フェミニズムってなんですか?」(清水晶子/文春新書/2022)です。
とても平易な文体で書かれており、1つの章が短いので、興味を持ったところから読み始めることもできます。
実は元々WEBメディアに掲載していたものを本にまとめてあるので、元になった記事は無料で読むこともできます。が、ぜひ一冊、手元に置いておきたい本ではあります。
ほかに、「はじめてのジェンダー論」(加藤秀一/有斐閣/2017)もかなり良さそうです。入手済みですが読めていないので、ちゃんと読んで、またこちらに感想を載せたいと思います。
さて、「フェミニズムってなんですか?」の元になった連載、第1回のリンクを張ります。よければ読んでみてください。
https://www.vogue.co.jp/change/article/feminism-lesson-vol1
「フェミニズムとは何か」の基本ポイントを3つ挙げています。
どれも大切なことですが、基本1に着目してみましょう。
あらゆる「差別」の問題に共通することですが、社会に存在する格差、権力勾配、ヒエラルキーに対して、「上位にいる人が悪い=その相手を乗り越える」のではなく、「社会構造を変える」ことを目的にしなければなりません。それを、とてもわかりやすい喩えで示してくれています。
①「兄/弟に追いつけるように頑張ろう」というのは、勤勉ではあってもまだ「構造」の問題が見えていません。
②「兄/弟だけ優遇されてずるい」というのは、自分との間にヒエラルキーがある、構造に気付く入口まで来たところです。
その先、③構造を捉えたところに「フェミニズム」があるわけです。
ところで、この本から「②」の部分までが書かれたページを切り取って「ずるい」というところに気付いているのはフェミニズムでしょう!」と吹き上がっている方がいらっしゃいます。。
でも、残念ながらこの本ではそういう考え方をとっておらず、だから「まだ」というところに重要さをおいているわけです。
https://twitter.com/ekodayuki/status/1551083811445678081
本書がやや挑発的な物言いをしている、と捉えることはできるでしょう。でも、一番大事なのはその部分のあとに続く「フェミニズムとは社会構造とたたかうものだ」というところです。「まだフェミニズムではない」と記述することで「では何がフェミニズムなのだろう、この後それが説明されるのかな」と考えるのが普通の読み方です。
書籍の一部だけを切り取って投稿すると、それを見た人には続きが読めません。もちろん原著にあたることはできるのですが、続きが存在しないかのように画像を投稿して非難するのはアンフェアなのではないでしょうか。
考え方の違いがあるということなら、フェアなかたちで示すべきだと思うのです。まさか続きを読まずに勢いで投稿しちゃった、なんてことは考えにくいですよね、大学教授、それもジェンダー論を専門とする社会学者がそんな軽率なことをするなんて、ねえ、千田有紀さん。