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「思っていた以上に良かった、注意点はあるけど他人にも勧めたい」というのが全体的な感想です。

実は上野千鶴子さんの本を読むのは初めてです。「オトコvsオンナ」の二項対立でセクシズムを暴き出すスタイルは、分かりやすくあると同時に、その狭間、2項に馴染めないクィアを切り捨てています。本書はまさにそのスタイルが炸裂していて、「あとがき」で著者が書いているのとは別の意味で苦痛を感じました。ただ、一旦はそうやってミソジニーを暴き、えぐり出すような作業をしなければ、その先に進めないのだろうな、と本書を読んで思いました。

冒頭は「女好きの男」がなぜ「女ぎらい」なのか、というところから始まります。文学・芸能・エンターテインメントから日常生活に至るまで、そして皇室、「非モテ」や同性愛者、女子校などあらゆる場面に潜んでいるミソジニーを、具体的な事例を次々と挙げて告発していきます。ある程度フェミニズムを学んでいれば「これもミソジニーだな」とわかるものばかりですが、ネタ元の幅広さに感心します。研究者であるとはいえ、相当な量のインプットをしたうえで書いているのがよくわかります。そういった列挙のなかにフーコーやセジウィックなどを引用して学術的な考察をしているのですが、学者の名前など詳しくなくとも、事例が具体的なのでよくわかります。

14章から空気感が変わり始め、15章で一気にガラッと変わります。ここから哲学的・抽象的な話になります。といっても、ここまで大量に見てきたミソジニーの具体例が頭に入っていれば大丈夫でしょう。そのまま16章まで駆け抜けられます。

そのあと、文庫化にあたって増補された章が2つあります。ひとつは伊藤詩織さんの告発などから日本でも広がったMeToo運動のこと。そしてもうひとつが「こじらせ女子」をめぐる話です。

読み切ってメンタルがギリギリのところ、最後は中島京子さんによる解説で救われます。「自分を嫌いになる前に」。なんとホッとするるタイトルでしょうか。