以前思ったことを思い出したので記しておく。人間の親切は部分的な限られた人々にたいしてしか出来ないので、親切から漏れた他の人々の不満をかならず引き起こす。親切は、煩わしいなかを敢えてするサービスだということを、本人が、善行をしているつもりになって忘れると、妙な自縄自縛的な良心のやましさに苦しむことになる。これが、この世における親切の陥穽であって、限界状況もどきのものである。一般の者の生活のなかでの一こまとしてはまだしも、これが為政者ともなると大変だろうと察しはつく。為政の工夫とともに。あまり察したくないものはこのあたりで。