意識力のある者は原理的に皆、二重人格なはずだ、とぼくは思う。意識そのものが対自として、自己に対立し、自己を分裂させるからね。それをいまさら、特定の人間にのみ固有な性向や本質のように言うのはおかしいよ。

 

人間は危ないものであり、かつ、豹変するものだ。豹変は自分の本質の想起・覚醒、本質への還帰でありうるものだ。

 

むしろ、人間の本質である意識(力)のために二重人格にもなっていない者というのは、そうとう表面的に生きている者か、自分を自覚していない者だ。