実存的に吹っ切るしかない。創造主との対決だ。ぼくの念が神の力を引き寄せるかどうかだ。
実存とは、己れの神の力を毅然と頼りにして創造主の法と対決することである。いわゆる原因結果法則を突破する反抗に基づく、己れの神への帰依なのだ。「己れの」という言葉が、その意識が、重く響く。なぜヤスパースが「己れの超越者」という表現を強調するか、それは、その実存的帰依が一般的なものへの反抗を前提するからだ。
ヤスパース的超越者への関係のためには、どんなに自我が強くてもよい。自我の極端なまでの強さをこそ、信仰は前提する。
自我の強さ、これひとつで向かう処敵無しだ。この秘密を世はひたすら隠そうとしてきた。