《わたしは、わたしが幼時からさまざまな教育を受けながら感じ、見てきた人間というものを考察した。どこにも、鈍い、あるいは鋭い不協和音を見つけた。ただ幼な子のように単純な自分自身の世界のなかには、いまもなお純らかな旋律が見いだされた――「そうだ」と、わたしは自分にむかって言った。「蜜蜂となって、無邪気に自分の住み家をつくるほうがましだ、世の支配者たちと共に支配し、狼のようにかれらと共に吠え、人民を制御し、不純な材料をあつかって手を汚すよりは」》
ヒュペーリオン 32頁
読む歩みを止めて記すほどの共鳴を見いだすことの幸福